豊かな黒系果実・・グロ・フレールのクロ・ヴージョ・ミュジニ | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

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テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

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ドメーヌ・グロ・フレール・エ・スール クロ・ヴージョ・ミュジニ 2001
購入日    2007年6月
開栓日    2010年11月27日
購入先    かわばた
インポーター モトックス
購入価格   6580円

勤務医ならいざ知らず、町医者が患者が多すぎるのに嘆息する、
というのもおかしな話だが、忙しくて大変である。
一昨日診療所を閉めて東京に行っていたら、その分の患者さんが土曜日の午前に押し寄せて、
40数人も診る羽目になってしまった。

今月は大学から外科志望の若い研修医が来ているが、なかなかの好男子である。
まだ来て3日だが、町医者も楽ではない、ということは分かったと思う。
自業自得とはいえ、休日は残務整理と原稿書きに追われているし、
もう少し仕事そのものを整理すべき時が来ているのかも知れない。


さて、もう2001は無いと思っていたが、ワイン庫から1本発見したので開栓した。
このワインのこれまでの印象にはかなりばらつきがあり、
2000年もので1本幸せワインを経験している一方、
開栓時期を見誤ったためか、凡ボトルも何本か経験している。

最近ますますスリムで酸味が勝っているワインを好むようになっていて、
濃く造られた良年のグラン・クルには食指が動かない。
さてそんな観点から、この2001はどう感じるだろうか。

2004年に同じワインを開けた際には、まだ若くてきつめの酸が際立っていたのを
覚えているが、もうあれから6年も経過してしまっている(ブログ開始前)。
あのころはウサギも若かった。

時間は正直で、開栓すぐはさすがにピークを過ぎたように感じる。
2004年にはエッジが立っていた酸も、丸くなってどことなく鈍で、溌剌感はない。
しかし元来このワインは長熟なはずで、数年前には蔵出しの50年代のものが
出回っていたくらいである。
今が中途半端な時期なのかも知れない。

予想通り時間とともにオフヴィンテージの頼りなさは消えていき、しっかりした果実が現れる。
そこはさすがグラン・クルで、黒系果実の香味を豊富に楽しめた。
翌日も翌々日も、まったく落ちる素振りを見せず、2日目の後半ぐらいが
一番飲み頃であったと思う。

昨年の11月初め、アキュイールにこの造り手のリシュブール1999を持ち込んだが、
ずいぶん輪郭が丸くて驚いた(ブログ未記載)。
その時に感じたのだが、こんなワインは2~3日かけて飲むべきで、たった2時間で
開けてしまうと本質が見えないかも、と思ってしまった。

そのリシュブールに共通した丸さ、というのをこのワインにもちょっと感じる。
それこそが、この造り手がカリスマ性を獲得できない理由ではないか、と愚考する。
今はやりの都会的なスタイルからは外れているようだ。

リシュブールもそうだったが、ちょっと下ぶくれでどってりした体躯のワインで、
これを好む向きもあるとは思うが、今のわたしのストライクゾーンからは離れている。
グッドヴィンテージのものなら、もっと持てあましそうである。

しかしこれは明確にグラン・クルであり、コストを考えると非常にお買い得である、
ということだけは書いておこう。
ただし、開栓時期は実に難しい。