リーガ・ロイヤルホテルでの新年会 | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

わが医師会では、年に2回会員全員(約600名・開業医約300名)を対象に、全員協議会が行われ、
特別講演を聴いたあと、宴会が行われる。
会場は2年に1回だけ帝国ホテルで、それ以外は中之島のリーガ・ロイヤルホテルとなっている。

阪神大震災から14年目の今日が、今年の新年会の日であった。
市長や国会議員、府会議員、市の役職の方々まで出席される、300人の大宴会である。
もっとも国会議員の2人は、挨拶だけ済ましたら早々に退席してしまうが。

今年の特別講演は、国立循環器病センターの総長だったが、とても良い話をされた。
ちなみに昨年の特別講演は、わたしが呼んできた親友の愛媛大学教授で、
医療崩壊の話をしてもらった。

毎年偉そうに高所から訓辞をたれる、自民党の府会議員の若造は今日は居なかった。
何にも医療のことなど分かっていないくせに、でかい態度で恩着せがましい話を毎年するので
不快に思っていたら、昨年主賓席で彼と談話した親友の教授も、あまりの不見識さにあきれていた。

ま、それはいいのだが、一昨年の夏の会で、出てきたワインがあまりにあまりだったので、
舞台裏でキレて若いソムリエの面々を叱責し、ブログでケチョンケチョンに書いたのである。
それ以来、まちがいなくわたしはこの大阪一のホテルのブラックリストに載ってしまった。

それが証拠に、臨床医会の準備会で宴会部に顔を出したら、しっかり顔と名前は知られていたし、
パーティでワインの写真を撮っていたら、アルバイトのコンパニオンのお姉さんから
「ワインな日々ですね~」なんて言われたし、
昨年の新年会では、明らかにワインの嗜好のベクトルが大きく変更されていた。

宴会の責任ソムリエである寺島さんとも、それ以来顔なじみになってしまって、
昨年も今日も、わざわざわたしのテーブルにやって来られて、丁重にワインの解説をして
いただいた。
これはたいへん名誉なことかも知れないが、家内に言わせると不名誉なことだと言う。

300人の宴会料理で、個々の客の好みを反映したメニューなど出せっこないし、
ワインだって最大公約数的にならざるを得ない。
客席数10席ばかりのフレンチレストランのソムリエの仕事とは、質が大いに違うだろうし、
何れにもプロとしての技量が要求されると思う。

わたしは医師会の幹部でも何でもないので詳細は知らないが、この宴会の予算は1人あたり
1万5千円くらいだと思う。
その根拠は、配偶者など非会員の参加費がその金額だからである。

わたしのようにワインに傾斜した人間なら、予算を料理とワインで半々にしてもいいと思っても、
まったく飲めない人もいるから、当然そんな訳にもいかない。
昨年ホテルの側からちょっと聞いたのだが、この宴会のワインの予算は、
1万5千円のうちのたった1000円少々だったということだ。

わが医師会から指示されたのかどうか知らないが、いかに名ソムリエを擁していても、
ホテル側としてこれは厳しい。
ホテルの宴会料理の難しさ、というのはこんなところにもあるのだなあ、と思う。

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乾杯用のスパークリングワイン
メルシャン ル・タン・メイユール・ブリュット

裏ラベルには、輸入ワイン・メルシャン(株)製造となっているが、どこの産だか分からない。
香りが乏しいもののまるでドライなシャンパーニュで、会場のほとんどの人は、
これをシャンパーニュだと思っておられたはずだ。
安泡を求める人には最適だと思うが、はてどこで売られているのだろう??

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白ワイン:ウルフ・ブラス・シャルドネ 2007 オーストラリア
赤ワイン:アントゥ・カベルネ・ソーヴィニオン・カルメネーレ 2006 チリ

一流ホテルのディナーのパートナーで出されるワインとはいえ、予算が厳しい事情はよく分かる。
しかし、そこのところがソムリエの腕の見せどころ。
白はオーストラリアのシャルドネで、若いから香りにはアルコール臭が残るが、
口に含むと意外なほどふくよかで広がりがある。
神経質なブルゴーニュのシャルドネとは異なる、陽当たりの良い畑のブドウだなあ、と感じる。

赤ワインは、チリの比較的新しい高地の畑でのワインだそうである。
カルメネーレという品種はボルドーから行ったとのことだが、ボルドーでもわずかながら
植えられているとのことだ。
チリでは最近になって分離されて栽培面積が増えてきているそうだ。

このワインの独特の香りと味わいは面白く、カベルネに一振りのスパイスを添加したようである。
例のシャトー・モンペラのような小賢しさがなく、イヤな重さもない。
デイリーに飲んでいると飽きるかも知れないが、今夜のメインであるフィレ肉にはぴったりであった。


300人という大人数対象の宴会料理を個人の好みで云々することは、ナンセンスだとは思う。
昨年はフレンチだったが今年は創作料理を、という趣旨であったそうだ。
保守的なこのホテルのイメージにあって、なかなか個性的であり、ワインとのマリアージュも
楽しめた。

一昨年までは、この宴会終了後、ワインにうるさい同期生と
「さあ新地のワインバーで飲み直しだぁ~」と言ってホテルを後にしたが、
その同期生も「以前よりずいぶん良いワインが出てくるようになったなあ」
と今夜は言って、お互い満足して帰宅の途についたのであった。

以下はわたしの推測だが・・
なぜ一昨年夏までこんな超1流ホテルで、あんなにひどいワインが出てきたのか。
シラー好きな医師会の大先生が交渉代表で、ホテル側がその先生の好みを最大限尊重した。
偉い先生なので、医師会の面々も誰も進言できなかった、ということだろう。

その大先生、医師として超一流で人格者だからなあ・・
わたしの役回りは、王様が裸だと言った子供だたのかも。

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