品のある酸・・ペノ | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

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マルク・ペノ ラ・フォル・ブランシュ 2005
購入日    2008年12月
開栓日    2009年1月9日
購入先    青葉台しんかわ
インポーター エスポア
購入価格   1900円

俳優や歌手の外見から、滅多に好き嫌いを言わない家内が(そもそもあまり知らない)、
珍しく嫌っている若手俳優が主演のドラマを、昨晩見てしまった。

昨日が第1回目であった「神の雫」である。
わたしは主演俳優の顔すら知らなかったが、まるでホストみたいに軽々しい。

家内と娘がギャグ漫画と言って笑いながら読んでいる原作は、わたしもほとんど読んでいて、
けっこう面白がっている。
最初の方のお勧めの安ワインを、何種類か買ってみて検証したこともある。
その結果、今ではこの漫画が勧めようが何も気にもならないが、最初は稀少なブルゴーニュを
持ち上げられることに迷惑な気持ちでいた。

どうせ見かけることもないし、買うこともできないからわたしには関係ないが、
ルーミエのレ・ザムルースみたいな稀少すぎるワインを取り上げて持ち上げることは、
いかがなものかと思う。
最近ではさすがにしなくなったようだが、これも作者の良識が反映された結果なのか、
市場にないものを取り上げても業界を利さない、という経済的理由からなのか。

この漫画は、ワインファンをいくばくか掘り起こしただろう。
韓国では相当なワインブームを巻き起こしたそうだ。
それらの人たちは、ある程度ワインに関心のある人々だっただろうし、
そこそこ高価なワインを購入する財力がある人々だっただろう。
何と言っても、ワインは酒の中では飛び抜けて高いのである。

わたしもワイン会などで20代の若い人とワインを飲む機会はある。
病院時代には、若手の医師や看護師や検査技師を集めてワインの飲み会をよくやっていた。
そんなメンバーの中に、年齢にかかわらず時に感性の優れた人がいて、年長であるこちらが
学ばされることだってあった。

わたしの知るそんな若いワイン好きは、昨晩のドラマの主役たちと、どうしても重ならない。
あまりにイメージが違いすぎる。
キャスティングの違和感を例えて言うなら、ゴルゴ13をドラマ化するのに、
伊集院光に演じさせた、という感じである。

どうせ娯楽番組だから、テレビの連ドラを原作と比べてどうこう言うつもりもないし、
脚本がどうか、ドラマの出来がどうかなど、まったく関心はない。
でも、おいおい、と思った点があった。

レストランのマスターが、遠峰一青を感心させて帰らせたあと、
「さあ飲みましょう」
と言って、DRCのリシュブールを思い切り振りながら出してきた。
ドラマの中でのワインの扱いが、まるでなってないのである。
ワインに詳しい監修役が、このドラマには不在なのだろうか。

原作が扱うテーマは、デイリーではない名醸ワインである。
その原作を好んで読んでいる層と、俳優の設定から想像されるドラマの視聴者の層が、
まるでちぐはぐである。
ま、ドラマを作る側は、わたしのような少数派のワインオタクの感想など端から無視だろうが。

初回の視聴率は10.3%で、この種のドラマとしては低い数字であったそうだ。
ま、どうでもいいが。


さて、年末に青葉台しんかわから購入した、ペノの3種のワインのうちの1本である。
多分全部ミュスカデだと思うが、それぞれ個性的で味わいが大違いだ、と言いたいところだが、
残念ながらどれもこれも同工異曲といったところ。

もちろん少しずつ違う。
ニュイタージュとこのラ・フォル・ブランシュには、クロ・ラ・デジレのようなとろみがない。
上品でミネラリーな酸の魅力は3者に共通している。
あと1つの最安値のワイン、グロ・プラン「ラ・デジレ」は、ちょっと酸味が少なめで甘みを含み、
もっさりしていた印象がある。

このワインは、これまで飲んだことのあるペノの3種と比べて最もドライであっさりしており、
和食にはしっくり来る、と思う。
先週行った直心では、店の日本酒とともに料理を頂いたが、ドライなシャンパーニュと
このワインを持ち込んだ方が、わたしには満足度がもっと高くなるだろう。

決して日本酒が嫌いなわけではなく、年とともにどんどんあっさりして酸味が強い酒に
好みがシフトして行っている。
30代の半ばにはワインより日本酒、それも極上の吟醸酒を飲む方が多かった。
それがどうしてか、今ではそうした日本酒を和食に合わせると甘くしつこく感じてしまう。

一流ホテルのバーで、2万円クラスの高級シャンパーニュやボルドーの極上の若ワインを
飲んで帰ってすぐ、ボトルに半分残っていたこの1000円台のワインを追い酒で飲んで、
こっちの方がずっと美味しい、と感じるわたしは、やっぱりビョーキ?