完全なる若開け・・ラフルール・ペトリュス | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る


シャトー・ラフルール・ペトリュス 2000 ポムロール
購入日    2002年頃
開栓日    2007年9月29日
購入先    ピーロート
インポーター ピーロート
購入価格   5980円(だったと思う)

久々に1人で開けるボルドーである。
これぞわたしとフランス語研究者である師匠の、原点とも言えるワインである。
かつて六本木にあったFLO(フロー)というフレンチレストランで、オフヴィンテージの
ものを格安で出していた。
たしか1984年ものを1989年頃に飲んでいたと思う。
これがめちゃくちゃ旨かった。

2時間のディナーの間に開き、そしてピークを迎えて枯れていくさまは、
ボルドーワインの醍醐味であるとずっと思ってきた。
あとで気がついたが、それは飲み頃のオフヴィンテージのみでしか
体験できない現象であったのだ。
その後このワインのいろんなヴィンテージを飲んだが、良いヴィンテージほど
固く閉じていて、かえって欲求不満を覚えた。

2000年と言えば非常によくできたヴィンテージだから、今ごろ飲み頃になっている
はずもない。
それを何故開けたのか。
今の熟成具合を知りたかったのである。
そして、開栓後の移ろいを体験したかったのである。

実はこのワイン、ボルドーの中では特にわたしのお気に入りで、この2000は
ケース買いしてある。
2~3年前に師匠を交えて数人で1本目を開栓したのだが、当然それは若かった。
それに次いでこれが2本目で、まだ10本残っているから、遠慮無く開栓できる。

で、結論。
まだまだ若すぎ。
おしまい。

では愛想無いのでもう少し。
残念ながら、オフヴィンテージの6年目に見られた豊かなブーケもなければ、
洗練された酸味も少ない。
しっかりと閉じたメルローは、ピノに慣れたわたしには濃くて重苦しく感じられる。
泥臭いとは言わないまでも、洗練されていない土臭さが漂い、これがポムロールを
代表するシャトーのグッドヴィンテージかと思うと、何となく悲しくなってしまう。
このワインの本当の美しい姿を知っているだけに、真価を発揮するにはまだまだ
数年の月日が必要なのだということが分かる。

翌日には少し酸化したせいか、ほんのりと朱を差したように酸味を感じるが、
それとてよくできた村名クラスのブルゴーニュに及ばず、3日目には
タンニンをしっかりと感じさせながら下っていってしまう。

これがパーカーポイント95点(げぇ~)、予想される飲み頃2007~2015年。

次の1本を開けるのは最低でも2年以上してからにしたい。
さもなければまったく楽しめないワインでしかない。

良いヴィンテージばかりが高値で取引されるが、はっきり言ってボルドーの5大シャトーの
2000や2005など、数万円も出して買ってどうするんだ、と思う。
いつ飲み頃になるかも分からないし、その時まできちんと保管できているかすら
怪しいものだし、そもそも飲み頃にこっちが生きているかどうかも分からない。

ボルドーの中では柔らかくて軽めのポムロールですらこの体躯の大きさだから、
2000の5大シャトーなんて今なら飲めたものではなかろう。
高い金を払ってそんなものを現在開けている連中は、ボルドーの真価を
死ぬまで知らずに過ごすのではないか。

5大シャトーの97は全部飲んでみたが、すでに2~3年前から楽しめるものが
ほとんどであった。
おそらく82、83あたりがそろそろ飲み頃になりかけているくらいだろうが、
そんなもの高くて今では手が出やしない。
ボルドーの上級ワインは、オフヴィンテージを早飲み(といっても5~10年)で
開栓するのがいいだろう、とこのワインを開けて思った。

このワイン、今飲むならブルゴーニュの村名2002よりずっと楽しくない。
あと10本あるが、最後の1本を開けるのはおそらく10年以上、ことによっては
20年先だろう。

浦島太郎の玉手箱じゃあるまいし、まったく現実的な話ではない。