今が飲み頃では・・ヌーボーの延長線上 | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る


フィリップ・パカレ ペルナン・ヴェルジュレス 2003
購入日    2005年10月
開栓日    2007年1月8日
購入先    Alcoholic Armadillo
インポーター INA
購入価格   7000円(セットなので推測)

2003のパカレの3本目である。
1本目は9月に開けたポマールで、2本目は11月に開けたジュブレ・シャンベルタンであった。
マイナーなアペラシオンの村名ワインで、ネゴシアンものでありながらこんな価格が付くのは、
ひとえにパカレの名声によるものであることは言うまでもない。

ジュブレ・シャンベルタンとこのペルナン・ヴェルジュレスとポマール(北から順)とでは、
畑の位置もかなり異なるのだが、パカレの3本のワインからはその違いがはっきりしない。

これはあくまでわたしの主観なので、「まるで違うじゃないか、何を言っている」
という意見もあるだろう。
しかし、わたしにとっては、畑の違いよりパカレらしいビオビオした特徴が先にあって、
あとは同じワインのボトル差程度の違いしか感じない。
あえて違いを言えば、このペルナンだけ少々体躯が痩せていて、ちょっと神経質な面があること
くらいだろうか。

レナード・バーンスタインが振ったマーラーの9番では、ニューヨーク・フィルとベルリン・フィルと
コンセルトヘボウとで、オケの特徴が明瞭に聞き分けられるのとは対照的だ。

このワインの色は、他の2本に比べて若干薄めで、すでにえんじ色がかっている。
とは言っても、いくら何でもまだ枯れているわけではない。
他の2本より少しタンニンが少なめで、柔和な印象があるが、これまた
ボトル差程度かな、と感じる範囲ではある。
ちゃんと旨味は乗っていて、例の梅カツオ味もする。
手練れのブルゴーニュ党には、この薄くて旨いところがいいのかも知れない。

翌日にはちょっと落ちていて、旨味は残るが持続力はちょっと損なわれている。
3日目まで持ちこたえるのは、おそらく厳しいだろう。
余韻も長くはないし、えんじ色の液体の深奥に神秘が潜む、という可能性も感じない。
11月に飲んだビオ・ヌーボーの延長線上にあるような、早飲みワインの印象が強い。

リアルワインガイド10号を開けてみたが、このペルナンのコメントは無かった。
他の銘柄のほとんどの飲み頃を~2020としていることに、改めて恐れ入る。
わたしの印象では、今日のワインはおそらく現在がピークで、あと1年余で
下降に転じているだろうと感じる。

リリース直後にテイスターが一口含んだ際には、長熟なワインであるというインパクトがあって、
もっと明確なテロワールの違いを主張したのだろう。
そうとしか思えない。

ほとんど酔っぱらいの暴論だが、2800円で手に入った(今は売り切れだが)
ピエール・ボージェのレ・トゥルディと印象的には大差ない。
それを思うと、このワインを手に入れるのに、7000円も出さなければならないことに
ひどく抵抗を感じる。

毎度お金のことを持ち出すのは恥ずかしい限りだが、これはわたしが貧乏性なのか、
パカレが高すぎるのか、どっちのせいなのだろう・・・(多分両方です)。