清楚だが深い | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る


ドメーヌ・グロ・フレール・エ・スール オート・コート・ド・ニュイ 2002
購入日    2004年12月
開栓日    2006年11月4日
購入先    ヴェリタス
インポーター ヴェリタス
購入価格   1780円

1年前の話だが、すでにこのワインの1998は、構成要素がバランバランになっていて
ワインとしての体をなしておらず、1999もまた物足りなくなっていたが、2001はピークにあった。

その経験から、このワインは飲み頃で開栓すると価格からは想像もできないレベルのワインとなるが、
ピークの期間があまり長くなく、せいぜい1年あまりではないか、と思われた。
そして、この2002を買ってからもう2年になるが、まさに今が飲み頃である。

オート・コート・ド・ニュイという土地は、よく見るブルゴーニュの地図からははずれている
場所のようで、西側の高い土地だそうである。
このワインを飲むと分かるが、いかにも気温が低そうで、陽当たりにも恵まれず、
ボーヌのワインのような大らかさがなく、神経質な感じがする。

多種多様な果実の香りや、華やかな花の香りを持っているわけではなく、
繊細で線の細いワインで、ブーケも控えめなのにもかかわらず、妙に深い。
ブルックナーのアダージョが持つ「静」のイメージである。
だから、飲んでいると何となく寡黙になる。
わたしが考える、ブルゴーニュのスタンダードのイメージに近いのがこのワインである。

一方、兄のミシェル・グロのオート・コート・ド・ニュイには、あまり感心したことがない。
どうも酸味が強すぎてふくらみに欠け、いつまで待てば丸くなってくるのか、まだよく分からない。

ともあれこのベルナールの最安値のワインも、2003は2500円くらいになってしまっている。
そこまで価格が上がってしまうと、他にも選択肢が出てくるから、どこまで高く評価していいのか
悩んでしまうが、少なくともこの2002は、ものすごく安いことは確かだ。

最近のヴェリタスは、グロファミリーの新しいヴィンテージをインポーターとして入れるのを
やめたのか、2003以降のものは売られていない。
3000円少しで買えたミシェルの村名ワイン、6000円くらいのベルナールの特級など、
暴騰するブルゴーニュにあって、良心を感じるワインたちだった。

どういう理由か知らないが、最近ヴェリタスがブルゴーニュから腰が引けているのは、
非常に残念である。