フランソワーズ | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る


ドメーヌ・ロブレ-モノ ヴォルネイ サン・フランソワーズ 2004
開栓日     2006年9月28日
開栓した店   某ステーキレストラン
インポーター  飯田
店での価格   8500円

サンソン・フランソワというショパン弾きがいた。
1970年に、46歳の若さで心臓発作のため急逝した、個性的なフランスのピアニストであった。
わたしは、晩年の録音と思われるショパンを聴いたことがあるだけだが、かなり個性的な
弾き手であったようだ。

今回のワインとは、何の関係もないが、名前が似ている。
Alcoholic ArmadilloのHPによると、このサン・フランソワーズというのは畑の名前ではないらしい。

一昨日、とあるステーキレストランに行った。
初めての店であったが、おそらく開栓したくなるワインなどないだろうから、
ビールでも飲もうかと思っていた。

わたしは、自宅外では、気に入らないワインを飲むくらいなら、ビールかウーロン茶を飲む。
アサヒ・スーパードライを飲むくらいなら、「六甲のおいしい水」を飲んだ方がましだと
本気で思っている。

で、ワインリストを見たら、
ポイヤックのシャトーもの(9800円)、造り手不明のシャトー・ヌフ・ドゥ・パプ
(9000円くらい)、チリカベ(5500円)、サングレ・デ・トロ(3000円台)に混じって、
「ロブレ-モノ」と書いてある。

驚きましたねえ。こんなところで出合うとは。
ヴィンテージを聞いたら、2004でずいぶん若いが、選ぶならこれしかないでしょう。

案の定ずいぶん若かったが、すでに複雑味の片鱗がある。
酸味が強くて線が細く、甘みも乏しくて一見素っ気ない。しかし、ちゃ~んとピノの繊細な香が
立ちのぼってくる。

浅く焼いた薄切りのロースに合わせても負けていない。
まさに、飲み手の感性を試すワインである。
あと何年かしたら、きっともっと重心が下がって、異なる魅力を獲得しているに違いない。

店主のおじさんによると、普通は重めのボルドーか、パプを勧めるが、
飲みやすいワインを所望するお客さんには、これを勧める、とのこと。
この「飲みやすい」という形容詞、何とかならんのかいな。
フランス語教師である師匠の名言。
「ワインを飲みやすいと表現するのはシロウトである。それは、何も表現していないのと同じ」

ま、それはともかく、一見細身で軽いが、幾重にも重なる控えめな酸味と芳香は、
造り手の並々ならぬ技量を感じさせる。
思わず同じワインを3人で2本開けてしまった。

それで正解だったと思う。
チリカベは論外として、もし2本目にヌフ・パプを開けていたら、
チェンバー・オーケストラによるフランソワ・クープランを聴いたあとで、チャイコフスキーの
イタリア奇想曲を聴いた気分になっていたろう。

どこまでもフランソワにこだわるわたし・・・


飲み手の感性を試す・・・