ツゲにツツジを接いだそれ -12ページ目

ツゲにツツジを接いだそれ

感想と解釈のブログ

ごきげんよう、柘榴です。

ありがとうマジフォー!ありがとうラグポ!ありがとうユニコ!
そんなわけで、アニメ『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第12話(最終話)「KISSから創造(つく)るBig Bang」の感想とゆるい考察、時々小ネタ紹介を書いていきます。前回の感想&考察はこちら
なお、今記事でいう「原作」は主にショートストーリーやドラマCD、公式Twitterなどを指しています。



★考察:ルイに始原-はじま-りルイに終焉-おわ-る世界


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第12話より】

今回、物語を大きく動かし、あまつさえアニメ版サブタイトルを回収したのは、メインヒーローであるアトムではなくルイでした。第12話のルイまわりの描写には、アニメ初期の描写を踏襲・反復しながらも当時のそれを上回る、ルイの際限ない才能が静かに輝いています。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第12話より】

第12話では、第2話でアトム達の行動を「馬鹿馬鹿しい」と一蹴したルイが「馬鹿げた」と言われる提案をし、第1話でルイを評価した上でさらなる格の違いを見せたシャイが彼のサポートに回る。最終話にしてルイの王子たる力はシャイをも越え、「馬鹿げた」行動のスケールは我々の想像を優に越えていった。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第12話より】

「そんなのはただのプラセボ効果です!」
指で発言を制する行動と上記台詞はそれぞれ第1話、第2話のルイの言動の踏襲。しかし第12話ではアトムを肯定する文脈で用いられることに、第2話以降築いてきたメンバーと信頼関係が顕れている。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第12話より】

「KISSから創造るBig Bangです!」

本作はルイの台詞から始まり、ルイの台詞でサブタイトルを回収しました。換言すれば、アニメ『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』はルイに始まりルイに終わったのです。この一貫性こそ、本作がハチャメチャコメディながらも一本筋を通して作劇し続けてきたことをもっとも象徴していると考えます。
極論をすれば、この世界はすべて、Mr.StarrySkyたる彼の掌の上ならぬ星空の下だったのです。


★演出:通話による死面楚歌Situation

第12話の作劇におけるキーアイテムのひとつに「スマートフォン」が挙げられます。当事者のアトムや参謀役のルイとの連絡を不十分にすることで、ピンチからの脱出をより困難なものにしていきました。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第12話より】

アバンでアトムがいつにもましてスマートフォンを操るのは、今回スマートフォンが頻出することの伏線。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第12話より】

通話やメッセージは基本的に受信側を映し、視聴者にアイドル達の期待や焦り、緊張感を共有させる。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第12話より】

代わる代わる他のアイドルが通話することでアトム・ルイ間の連絡手段を断ち、アトムに情報不足を起こさせる。今回の全員ライブで大切なアイドル達の信頼関係を逆手にとった展開と言える。


★演出:衣装による性 Evolution!

第12話のもうひとつのキーアイテムは「衣装」です。OPの「キス一丁!」からの衣装チェンジや、本編の制服での日常描写からのEDのステージ衣装でのダンスなど、本作の「着替える」という行為には「変身」または「進化」の文脈が存在します。最終話では、それがもっとも顕著に表れていました。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第12話より】

今回の衣装チェンジは制服→寝巻き→私服・稽古着→初期衣装→アニメ初登場衣装→新衣装と、徐々に日常(高校生活描写)からステージ(アイドル描写)に近づいていく。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第12話より】

アトムが未だ到着しない(私服でいる)中三人の衣装チェンジのシークエンスを挿入することで、アトムの窮地、ひいては視聴者に緊迫感を与える。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第12話より】

通話描写から手元を画面に収め、ルイのネイルを自然に映す。ネイルはルイのアイドルモードの特徴、転じて舞台が日常からステージへ変容したことの象徴。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第12話より】

全員まずは初期衣装(『100万回の愛革命!』『カタストロフィ』『PANDORA BOX』)に身を包むのは、新衣装になる前のいわば進化前の段階であるため。ちなみにテルマの衣装は原作よりもスカート部分がやや誇張されている。かわいい。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第12話より】

MARGINAL#4が一度上着を羽織ったシークエンスは、変身ものアニメにおけるキラキラシルエットのような「変身途中」のメソッドを内包している。四人は新衣装へ進化する時は全員一緒、実際にもこの間に私服や『愛革命』の衣装から新衣装へ、上着の中で衣装チェンジをした。

ツイ廃なアトムが多用してきたスマートフォンや毎週替わった衣装など、今まで描写を積み上げてきたアイテムを最大限に生かした演出は、さすがオールスターな最終話だと言えます。衣装数が多かったのも色々な姿の彼らを見られて単純に嬉しいですしね。


★感想:KISSから創造るラストライブ

今週のライブはピタゴラス★オールスターで歌う「KISSから創造るBig Bang」。ラストを飾るに相応しい、しかし決して終わりを感じさせない、アツく激しいロックサウンドのステージでした。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第12話より】

キラとシャイのキャラカラーはそれぞれ金と銀だが、アニメのサイリウムの色にはメッシュと同色の青や紫、ないし白が用いられる。実際のライブでも、青や紫のサイリウムを併用するユーザーは少なくない。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第12話より】

テルマの衣装もお揃い!スカートルック以外のステージ衣装は原作シングル『カシマシLOVE』以来。
テルマ……パンツルックだった……やっぱりかわいい……最後までテルマはかわいい……。



そんなわけで、『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第12話(最終話)のあれこれでした。
これでアニメ感想もおしまいと言いたいところですが、最後に総括記事も書いていきたいと思います。

それでは。

ごきげんよう、柘榴です。

昨日はイベントに参加してきました。落ち着いたのでようやく感想ブログです。
そんなわけで、アニメ『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第11話「離別(わかれ)から絆(つなが)るプロミネンス」の感想とゆるい考察、時々小ネタ紹介を書いていきます。前回の感想&考察はこちら
なお、今記事でいう「原作」は主にショートストーリーやドラマCD、公式Twitterなどを指しています。



★考察:アニメにおけるMARGINAL#4

第11話はアニメ『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』の集大成と言える回であり、今回のテーマは「四人がMARGINAL#4を結成したことによる成長」だと考えます。それぞれがMARGINAL#4を組んだことへのアンサー、ひとつの愛の革命を示していきました。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第11話より】

ルイの「革命」は「ユニットという形態に不信感を抱き本気を出せない性質から、本気で四人一緒を尊ぶ」こと。第2話では人の感情を理屈で説明したルイが、今回はあえて終盤ギリギリまで当時のような冷たい視線と態度を示した上で、最後は「理屈では割り切れない」と感情が理屈を上回り、ストレートに想いを爆発させた。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第11話より】

アールの「革命」は「自己選択でリーダーを全うする」こと。MARGINAL#4のリーダーはアールだからこそ可能な役職。アールは、引っ込み思案な気質ではなく積極性として、リーダーとしての決断を下した。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第11話より】

エルの「革命」は「自身の心を統合する」こと。他者のことで己を圧し殺しがちなエルが、アトムに対する否定・諦念・迎合を経ながら、終盤につれて本心を発露していく。詳しくは後述参照。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第11話より】

アトムの「革命」は「ソロ志望かつオレ様気質から、本質的には変わらずユニットを尊ぶ」こと。同じくソロ志望だったルイとアトムが決定的に違うのは、アニメのアトムは第2話(パンツ回)や第10話(うどん回)など、担当回がことごとくギャグ回である点。これによりアニメのアトムはシリアス回特有の感情の変化を一切受けず、今回もユニットのために動く時でさえ、自分ひとりの意思決定から行った。自由で情熱的に描いてきたアトムは安易に精神面の変容をさせない、一本筋の通った構成となっている。

この他、従来メディアではルイの感情を爆発させる際は決まってアトムとの口論による「アトムをユニットから排斥したい」という怒りの表出が相場だったのに対して、アニメでは「アトムにユニットでいてほしい」という従来とは真逆のコンテクストから切り込んだ点も特筆的です。これも、ゆるやかな心情の変化を主としたアニメならではの結論と言えるでしょう。
そもそも「アトムのソロデビューからの脱退」というネタは原作が初出なのですが、ルイのユニット問題と同じく、結論は同様でも従来メディアとアニメでは過程が大きく異なっていました。つまるところ、第11話はどこまでも「アニメにおけるMARGINAL#4の集大成」だったのです。


★考察:アトムとエル、ルイとアールの関係性

アニメならではとしてもうひとつ挙げられるのは、四人のバディの振り分けです。アニメでは明に暗に呈示されてきたアトムとエル、ルイとアールの関係性にも、集大成でありひとつの通過点が描かれました。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第11話より】

ルイの不穏な動きはアールがいち早く察知し、人一倍気にかける。画像二枚目のアール達が画面中央に映されないのは、騒動をうまく収束させる自信がない気持ちの萎縮の顕れ。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第11話より】

「どうしたのアトムくん?早く部室行こうよ」
「いや、オレ様は今日は用があるから先に帰る」
アトムの騒動については、エルの言動を軸に事の深刻さ・不安の煽動を演出している。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第11話より】

ルイ宅の玄関で倒れるアールの靴は不動と停滞の象徴。アールがルイへ「気持ちを傾けている」暗示でもある。また、原作には年末の大掃除はアールのほうが終わらないエピソードがあるなど、この手の事柄に関してはエルよりもアールのほうが大雑把な面を持つ。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第11話より】

「ルイくんらしくない」をアールが、「アトムくんが考えそう」をエルが発言する。台詞の割り振りひとつとっても、今まで積み重ねてきた関係描写を丁寧に拾い、象徴している。

アニメでこの組み合わせを採用したことについては、ルイとアールで第9話のような新視点からの問題解決を試みた点と、アトムとエルで兄以外の関係描写としてアトムのそれをエルへ挿入させた点が起因するのだと考えます。
一クールという短い期間の中でアトムとルイ・エルとアール一辺倒に走らず(そのペア自体は悪いことではない)、より踏み込んで四人の複層的な関係性を描いてきたことは、相応に評価すべきでしょう。


★演出:溢れ出すエルの想い

それにしてもエルまわりがえげつなさ過ぎでしょ……。
事の不安を煽るべく、アトムと照応するエルを率先して曇らせる演出にはいっそ恐ろしさを感じました。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第11話より】

「ツバサくんの勘違いじゃない?聞き間違えたんだよ、きっと」
エルは空気を変えるようにおどける役割を担いながらも、真っ先にアトムのハリウッド行きを否定した。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第11話より】

「アトムくんなら、なれるよ、きっと」
本心を演技で隠して他者に迎合しがちなエルは、次第に否定から諦念へと、アトムの言動に同意を示すようになっていく。しかし“迎合わせたChannelに、何の個性があるんだい?”
二枚目はよく見ると汗をかいており、精神的に無理をしてアトムのボケに被せていることが読み取れる。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第11話より】

アトムの騒動におけるシークエンスは、一貫してエルの表情が優先的に映されている。エル達の背後を行き交う人々は、アトムへの不安や疑念が交差するエル達の心の演出。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第11話より】

「だって、アトムくんの部屋についたら、それでもうマジフォーは終わっちゃうんだよ」
言動から静かに顕れるエルの本心。エルの「MARGINAL#4としての成長」は、アトムを介して描かれる。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第11話より】

そして、終盤で誰よりも先にアトムへ口を開いたメンバーこそ、他でもないエル。“溢れ出す∞の、ふたりの想い 今、放り込むのさ”。

エルのどんどん影が落ちる表情はもちろん、エル役のKENNさんの演技が本当に素晴らしくて、こちらまで胸が締め付けられました。作劇にも声優にも恵まれ、色んな意味でユーザーをドキドキさせますね、彼は。


★感想:UNICORN Jr.の新コスチューム

最後はユニコことUNICORN Jr.についても少々。
アニメ以前は描かれなかったUNICORN Jr.の制服や私服が、今回初公開となりました。ステージ衣装よりも制約がかかりやすい服装ジャンルの中、主にテルマに対するきめ細やかな配慮が窺えます。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第11話より】

テルマの“男子制服”姿は、基本的に極限までボトムスを映すことを控えられている。トップス等に関しては、ステージ衣装と同様にカチューシャ、さらにはネクタイをアレンジしてリボンまで健在。

ジェンダー論者の佐倉智美先生も、学校の制服は「その根底にまずジェンダーを位置づける強力な文化的装置」だと述べています。「スカートルックだが女装者ではない」キャラクターのテルマとは非常に相性が悪い扮装と言えますが、第11話の制服描写はそれらの現実的問題とうまく折り合いをつけた、丁寧な描き方だったのではないでしょうか。
今回、MARGINAL#4は「革命」を美しく描きましたが、UNICORN Jr.においては「そのまま」を至高とする基本理念が存在します。だからこそ、“男子制服”だろうとテルマがいきなり180度違う着こなしをするわけではないんですよ。テルマってそういう子だしUNICORN Jr.ってそういうユニットなんですよ。かわいい。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第11話より】

私服についても、現実的側面を汲みつつ“テルマっぽさ”が失われないラインからの描写。かわいい。



そんなわけで、『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第11話のあれこれでした。
次回はついに最終回!と言いたいところですが、ぶっちゃけDVD第2巻の特典カバーがすご過ぎて気持ちがそこまで回っていません。哀しきかなラグジュリエット。

それでは。

ごきげんよう、柘榴です。

自担!かわいい!カオス回でもかわいいぞ自担!!
そんなわけで、アニメ『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第10話「小麦粉から作る超ひも理論」の感想とゆるい考察、時々小ネタ紹介を書いていきます。前回の感想&考察はこちら
なお、今記事でいう「原作」は主にショートストーリーやドラマCD、公式Twitterなどを指しています。



★考察:アニメにおけるシャッフルユニット

原作では比較的最近出た設定であるシャッフルユニットまで、まさかアニメでも採用されるとは。
ただ原作からの捻りがないのではなく、かといって原作の関係性を完全に無視するのでもなく、まさに力加減が絶妙(byツバサ)な描写となっていました。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第10話より】

原作では「MY♥MILKY♥WAY」と呼ばれるエル・アール・テルマのチーム「ピタ」。作中屈指の常識人であるツバサまであのノリだった影響もあり、のほほんとしたこのチームが今回まさかのリアクション要員に。
シチュエーションのカオスが過ぎるため若干わかりにくいが、活発なエルが引っ張り、アールがささやかに共感やサポートをしてユニットを安定させ、二人がテルマの頑張りを支えるバランスなのは原作通り。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第10話より】

原作での「NEBULAS」ことルイ・シャイ・アルトのチーム「ゴラ」。一見ツッコミチームのように思えるが、彼らは担当声優をもして「ボケツッコミしかいない」と言わしめた天然プリンス集団。
NEBULAS名義の原作楽曲ではルイにもアルトにも「尊敬するシャイに歌い方を寄せている」という逸話があり、そんな憧れの的のシャイが、アニメでも文字通りユニットの中心に立つ。
今回彼らが設計担当だったのは、ルイが数学好き=数字に強いという連想からか。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第10話より】

原作の「WONDER CORONA!」にあたるアトム・キラ・ツバサのチーム「ス」。ここがもっとも原作のシャッフルユニットと役割分担が異なる。原作ではアトムとキラの張り合いや突発的な行動をツバサが呆れたり承認する関係性だが、アニメではツバサが「他のユニットに勝つこと」を目的に描写されているため彼はアトムと同じ土俵に立ち、二人のライバル関係をキラが見守るバランスとなっている。これはどちらかと言うとシャッフル未確立のUNICORN Jr.登場初期のノリに近い。
うどんシーンで流れた楽曲は、原作の三人がWONDER CORONA!名義で発表した「ビバ★ラッ★チュ」。同楽曲は実際に先日行われた『Rejet Fes.2017』のライブパートで披露されており、それが原作ユーザーの笑いに拍車をかけていく。

キラがここで下手にお馬鹿キャラ路線(※原作のキラは公式で“馬鹿”と紹介されています)にいかず第4話から一貫してよき先輩キャラでいたのは、残り数話のところでキラのキャラクターを散らかさない巧妙な選択だと言えます。そう考えると、アニメのツバサがいわば戦闘マシン気質なのも、アトムと張り合える人材に穴を開けない造形だと言えるのではないでしょうか。
あとは割と個人的な視点ですが、“美少女”揃いの「ピタ」が材料調達のために登山、儚げな「ゴラ」が設計・建設なのに対して、もっともステレオタイプの“男らしい”チームに合致する「ス」が料理担当な辺りもジェンダー攪乱的で、2017年の価値観にブラッシュアップされた作品という感じがしていいですね。


★演出:シャッフル以外の原作描写

今回はシャッフルユニット以外の原作要素も少なからず挿入されており、今まで描写されなかった設定をどんどん回収しています。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第10話より】

原作でもアニメでも、指導の一環として時に後輩達を振り回すのがLAGRANGE POINTの二人。正反対な性格のキラとシャイは、強固な信頼関係の下なんだかんだで波長が合う。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第10話より】

「麺なら粉から!流すなら竹から!麺つゆならまず新鮮な水から始めるべきだ!」
アニメでは焼肉好きとアホの子加減が前面に出ていてバカ舌のように見えるアトムだが、むしろ彼は料理が大の得意。上記の台詞も大言壮語に聞こえるが、うどん作りの手際のよさから鑑みるに、時間さえ許せばそうめんも作れたのでは?


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第10話より】

原作のUNICORN Jr.登場初期のシャッフルはシャイ・ルイ・テルマが主流だった。テルマはデビュー前からルイに師事していた設定を持つ。かわいい。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第10話より】

庇護欲を駆られるほど可愛らしいテルマは、同時に転んでもへこたれない一番の体力自慢。かわいい。


★演出:アイドル達のこの密-Meet to-な関係

ついに九人全員集合が実現した今回。メインであるMARGINAL#4の倍以上の人数での作劇となる中、九人の関係性が過不足なく描写されていきました。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第10話より】

九人の配置。アトムがツバサとぶつかり合い、そこにルイとの対立関係まで持ち込むのは今回に限って蛇足であるため、再配置の際にはアトムとルイの間にテルマが入り、クッションの役割を果たしている。
アルトがもっともあちこちに移動しているのは、彼が放浪キャラだから。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第10話より】

ボウルから溢れだす水は「溢れだすアトムとツバサの感情」の暗示。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第10話より】

「仕方ありません。やるからには、完璧なものを設計しましょう!」
流し装置の設計に本気で応え、ついには物理的に遥か高みにいるルイ。うまく本気を出せない性質のルイだが、本気になったら誰よりも「格上」であることを示唆している。

シャイがいる場で(内容はどうあれ)ルイが自発的に本気を見せたことや、シャイがその本気の姿を見守っていた描写には、なかなか意義があったのではないでしょうか。
第5話や第9話などこれまでの展開を経ていなければ、第4話のルイとシャイによる「つい僕も『本気で応えないと』って。おかしいですよね」のシークエンスからの、このような進展は見られなかったでしょう。ルイまわりの描写で彼の成長をさりげなく演出するのが本当にうまいんですよ、このアニメ。


★感想:いわゆる脚本家の雑感

とんでもないカオス回を生み出した今回の脚本担当は、前回から引き続き福田裕子先生。テレビアニメ『プリパラ』等でも数々の脚本を手掛け、シリアスからカオスまでなんでもアリなお方です。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第6話より】

【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第10話より】

福田先生の担当回は第6話のUNICORN Jr.デビュー回、第9話の過去回想回、そして第10話のシャッフルユニット回と、どれも原作要素が顕著なもの。原作要素を鮮やかに組み込みつつ、一方でアニメのツバサの戦闘マシン気質は、人物同士の感情描写に秀でた福田先生ならではのテイスト。

私事ですが、福田先生には前述の『プリパラ』で毎回滅茶苦茶に楽しませていただいていたので、まさか『MARGINAL#4』にまで関わってくださるとは思いもしなかったんですよ……!
もしマジフォー二期が決まってそこでも福田先生が関わってくださる時には、ぜひシャイが後輩の美少年達を従えて王子様ムーヴぶちかます回とかやっていただきたいですね(※福田先生は『プリパラ』で天才カリスマ王子様アイドルが美少女侍らせて大活躍する話を書くのが天才的な先生です)


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第10話より】

福田先生の回だもの、そりゃあこういうコンテが切れるお話になるわ。



そんなわけで、『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第10話のあれこれでした。
もう残すところ数話とか信じられない……自分の中では三年放送の女児アニメだと思っている節があるので、余計に実感がわきません。そもそもマジフォーは女児アニメでもないのだけど。

それでは。(第11話はこちら