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ツゲにツツジを接いだそれ

感想と解釈のブログ

ごきげんよう、柘榴です。

ついにきた過去回想。ただただ最高だった。
そんなわけで、アニメ『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第9話「夏から追憶(めぐ)るカンブリア」の感想とゆるい考察、時々小ネタ紹介を書いていきます。前回の感想&考察はこちら
なお、今記事でいう「原作」は主にショートストーリーやドラマCD、公式Twitterなどを指しています。



★考察:野村アールと藍羽ルイのユニット問題


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第9話より】

四人の心を繋ぐアールの姿が美しかった今回。一方で、ついにルイの前ユニットについての過去も明かされ、そこからの心の動きも描かれました。
第9話はアールの担当回でありながら、「ユニットに関する問題」という共通項を抱えるルイにとっても、非常に重要な回だったと言って過言ではありません。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第9話より】

「ユニット」という在りように不信感を抱く、過去回想当時のルイ。誰にしろ初対面の印象が最悪だったであろう中、最初にユニット全体へ声をかけたアールを見つめる。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第9話より】

「無理に揃えることはない、ですか……」
過去回想の中で、ルイに初めて笑顔をもたらしたのはアールの発言。「無理に揃えることはない」という言葉は、ユニットを崩壊させないよう力を抑え無理に足並みを揃えていたルイへの救済にもなっている。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第9話より】

四葉のクローバーは幸せの象徴と四人揃った様から転じた「幸せなユニット」の象徴で、蝶は「幸せなユニット」を見つけるメンバーのメタファー。アールが蝶の軌跡により「幸せなユニット」を見つける描写は、同時にメンバーが「幸せなユニット」までたどり着き羽ばたけた暗示でもある。ちなみに十中八九偶然なのだが、ルイは第5話で意匠に蝶が採用されている。

第9話では「ユニット内の自分だけの役割を見つける」「ユニットをひとつにしたい」という自身のユニット問題に向き合うアールの姿が、「ユニットに不信感を抱き本気を出せない」というルイのユニット問題解決のきっかけにも連なっていきました。
なぜこれまで引っ張ってきたルイの過去を、ルイの担当回ではなくアールの担当回で公開したのか。それは、従来はアトムがルイの感情を爆発させて問題解決へ移ったところを、アニメではアールがユニットをひとつにする過程からルイのユニット不信を氷解させるという、新たな角度からルイの問題解決を図っていったためだと考えます。


★演出:野村アールと藍羽ルイの対比

そんなアールとルイは、第9話における対比関係にあります。今回の主役であるアールと、「ユニットをひとつにする」にあたってもっとも高い壁であるルイ。どちらにも相応の演出がなされていきました。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第9話より】

「アールはエルと、ルイは姉と一緒にいた際にそれぞれスカウトを受けた」という経緯は原作通り。アールとルイは「きょうだいの推薦でスカウトを受けた」共通点を持っており、そこから対比を映していく。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第9話より】

他者と距離を取ろうとする過去回想当時のルイと、ついエルの後ろに隠れてしまう当時のアール。自然ともっとも遠く距離が開き、対極の位置にいる。近くで談笑する仲になった現在との物理的な距離感の違いは、そのまま心の距離を反映した二人の心の演出。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第9話より】

このアニメにおいて、四人が座ったり列を成した際の配置は、大抵の場合各話の四人の関係性を示す。今回はルイ・アールとエル・アトムに二分されるように並んでいる。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第9話より】

「じゃあルイくんは?あの人はいつだって完璧で……」
努力を要するが全力で取り組むアールと、何事も完璧だが本気の力を出せないルイ。当時のアールは劣等感を抱きやすく、ルイの天才性も少なからずアールの感情を刺激していたことが読み取れる。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第9話より】

ユニットを崩壊させたルイと、ユニットを構築しようとするアール。二人は出発点がそもそも対極である。そこから革命を創めるし“ありえないhPaで進撃むから”。


★感想:野村アールと藍羽ルイの軌跡

前回アトムとルイのバディ感を強調されたこともあり、ルイの核心をアール回で開示したのは、人によっては意外に映るかも知れません。しかし、アニメではこれまでもアールとルイの関係描写が多く挿入されており、メインストーリーの横で二人は着実に信頼関係を積み重ねてきています。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第2話より】

二人の直接的な関係描写があったのは第2話から。まだ単独行動が目立っていたルイの孤立をアールが防ぎ、ユニットとして繋ぎ止めた。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第4話より】

「そんなの、もちろんオーケーに決まってますよ」
第4話の五月祭にあたって、ルイの案を自分達のクラスで使用することに申し訳なさを感じるアール。しかしルイは、案の使用をやさしく承諾する。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第5話より】

「それに、マジフォーはバラバラになったりはしない!」
三人とルイの心の距離が縮まった第5話。アールはここでも、ユニットの繋がりをルイへ主張した。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第7話より】

第7話では、それまでは受け身の姿勢だったルイが自発的にアールへはたらきかけ、終始二人で行動を共にした。アール→ルイの一方通行からアール⇔ルイの相互的な関係性へ変化したことに、第5話を経た軌跡が如実に表れている。

各話放送当時から「ルイとアールの関係性もさりげなく推すんだな~」とは思っていましたが、すべては今回に繋げるためだったのでしょうか。だとしたら本当によくできているアニメですね。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第9話より】

「アールくん、どうかしましたか?」
「ううん。ちょっと思い出してたんだ」
そして今回の二人。追憶するアールへ声をかけるのは、もちろん他でもないルイ。このシークエンスや本編が「おーい、ルイくん!」とアールの呼びかけから始まった点は、ある意味で第9話を象徴している。



そんなわけで、『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第9話のあれこれでした。
次回こそ全員集合するみたい?自担が来週もかわいくありますように!まず登場しますように!!

それでは。(第10話はこちら

ごきげんよう、柘榴です。

自担が二人いるのですけど、何とは言いませんが、二人とも尺の都合なんですかね~~~???
そんなわけで、アニメ『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第8話「迷宮(なぞ)から転生(よみがえ)る多元宇宙(マルチバース)」の感想とゆるい考察、時々小ネタ紹介を書いていきます。前回の感想&考察はこちら
なお、今記事でいう「原作」は主にショートストーリーやドラマCD、公式Twitterなどを指しています。



★考察:アイドル九人のパラレルな関係性

堅物なアトムと快活なルイ、従順なエルと快楽主義的なアールなど、劇中劇ではほぼ全員が普段と逆転した性格の役柄を演じていました。そこについては省きますが、今回のアイドル達は性格だけでなく、ユニットの在り様すらも逆転していたことが読み取れます。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第8話より】

「あなたとバディを組んでいるのは楽しかったですよ。たった24時間限りでしたけど」
MARGINAL#4は一見するとアトム・ルイとエル・アールのいつものバディでいるが、劇中劇の「アトムとルイがバディを組む→四人が物理的に戦う→エルとアールは二人でアトム達と別れ、アトムとルイはバディを解散する」の流れは、本来の彼らの「アトム・ルイはそれぞれソロで、デュエット活動中のエル・アールと出会う→四人が比喩的に戦う→アトムとルイがバディを組む」という物語構造の逆流となっている。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第8話より】

刑事課長として公的権力を有する劇中劇のシャイと、シンジケートとして反社会的に生きる劇中劇のキラ。LAGRANGE POINTは因習的な規範や権力へシャイが反旗を翻し、「自分は社会から必要とされていない」と自棄になっていたキラが王子様になることから始まるユニットなので、こちらも物語の逆転と捉えられる。二人が出逢わないか、出逢ったとしてもそのままでいた一種のパラレルと言える。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第8話より】

唯一の異年齢ユニットであるUNICORN Jr.は、15歳のツバサと16歳のアルト・テルマが出演シーンごと完全に別撮りとなっている。出逢うべくして出逢った三人が出逢わなかった世界線。
翻って、アルトとテルマはかたちが変わってもいずれ出逢っていたことが示唆される。

アニメならではで言うと、第6話でライバル関係を描かれたアトムとツバサが今回は親密な兄弟役、という逆転が顕著でしょうか。関係性全体まで大胆に変容させてきたのは、ほぼ一話丸々を劇中劇にするにあたっての、ひとつの飽きさせないギミックだと考えられます。


★演出:アニメでも創める原作描写

色々なものが逆転した世界観だけに終始真新しい姿の彼らを観るのかと思いきや、意外にも原作や従来メディアを履修していると目を引くシークエンスも挿入されていました。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第8話より】

「アトムとシャイの刑事モノ」というシチュエーションはゲーム『MARGINAL#4 IDOL OF SUPERNOVA』のアトムルートが初出。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第8話より】

アトム・ルイ・シャイの刑事サイド、エル・アール・キラのシンジケートサイドに分かれて進行された今回。UNICORN Jr.未登場の頃発売されたゲームでも、この分割が採用された。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第8話より】

役上の「早くに父を亡くし、叔父に可愛がってもらっていた」設定は、実際にルイ本人にも通じる環境。ルイはひとり親家庭で、おっちょこちょいな母や姉を守る内に多芸多才と王子様気質が身についていった。

オトメディア+SPRING 2017年 03月号』(学研プラス)に掲載されたシリーズ構成・横谷昌宏氏のインタビューによると「小ネタはできるかぎり拾う形で盛り込みました」とのことなので、残りの回でもこういう原作ネタはまだまだ出てくる可能性があります。


★こじつけ:MARGINAL#4の“武器”

いや確かにこのブログでも意見を戦わせるって表現はよく使うけど、誰が物理的に戦えっつった。
というわけで、まさかのMARGINAL#4の戦闘描写があった今回。やはりこじつけですが、ある意味では彼らの「意見と感情を戦わせて輝きを増す」という対人関係のスタイルの可視化ともとれます。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第8話より】

アトムの武器は銃(弾丸)。弾は「タマ」という読みだけに、その手の比喩表現が多い『MARGINAL#4』では楽曲中の関係描写において好んで用いられるワード。その王道の手段にアトムが選ばれる。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第8話より】

ルイの武器は長物。ルイの「他者と距離をとって制する」性質のメタファー。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第8話より】

エルの武器は拳(メリケンサック)。対人関係における“武器”が自己から切り離せない、他者への演技行為が自己と密接に関わるエルの心の顕れ。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第8話より】

アールの武器はナイフ。隠し持てるナイフは、引っ込み思案で自分の意見を隠してしまうアールの為人に照応される。ただし顕になった時の威力は共に高い。

エルがルイと戦おうとしたらアトムにスイッチされたり、スイッチしたことにより戦況が逆転したりと、“武器”を交えた戦闘描写から四人の関係性を考えてみるのも面白そうですね。キラキラなコンテンツを殺伐とさせたがる悪いオタクの悪い癖が出そうなのでここではしませんが。


★感想:いわゆる中の人の雑感

声優イベントに行っても声優の名前をほぼ出さないこのブログにしては珍しく、今回は「演じられるキャラクターが更に演技をする」という二重構造にちなんで、最後に声優さんについても少々。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第8話より】

藍羽ルイの担当声優はT-promotion所属の高橋直純さん。Rejet作品ではルイをはじめ『月華繚乱ROMANCE』の鹿野敦盛や『勿忘草』シリーズの斎藤一などクール・ぶっきらぼう系を演じることが多いが、他のコンテンツではやんちゃな役も少なくない。なので今回のアッパーなルイもお手のもの。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第8話より】

新堂ツバサ役の声優は株式会社S所属の蒼井翔太さん。透明感のある声からツバサのような強気ないし神秘的なキャラクターの役でメインを張る一方、本人はとてもかわいらしい印象のお方。今回のツバサがアリと感じた人には、シチュエーションCD『√HAPPY+SUGAR=DARLING』シリーズの来宮蘭々のような糖度高めの蒼井さんキャラもオススメ。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第8話より】

緋室キラを担当する声優はアミュレート所属の大河元気さん。声優活動ではキラを筆頭にワイルド系が印象的だが、『Rejet Fes.2016 -ONLY ONE-』をご覧になった有志はご存知の通り、俳優活動のステージで演じた役柄は繊細な少女から狂気の人物まで多岐に渡るお方。何故かやたらキラばかりノリノリな今回の作画も相まって、劇中劇のキラの怪演は必見。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第8話より】

第8話からは若干逸れますが、仲真テルマの担当声優はGFA所属の染谷俊之さん。第6話の公式配信を見たらテルマの染谷さんボイスについて「声低っ!」というコメントが散見しましたが、テルマの本質はそこではないのでなんら問題ないしむしろピッタリなんですよ。テルマってそういう子。今週もかわいい。



そんなわけで、『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第8話のあれこれでした。
次回からは合宿回とかで九人全員に出演のチャンスがあるので、自担二人も何とは言いませんが、ね~~~???

それでは。(第9話はこちら

ごきげんよう、柘榴です。

この二週間、所用で私生活が滅茶苦茶忙しかったのでやっとゆっくり娯楽を楽しめます……。
そんなわけで、アニメ『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第7話「昼から放送(おく)るふたご星」の感想とゆるい考察、時々小ネタ紹介を書いていきます。前回の感想&考察はこちら
なお、今記事でいう「原作」は主にショートストーリーやドラマCD、公式Twitterなどを指しています。



★考察:野村エルのふたつのココロ

今記事では先にEDの話を。今回の週替わりEDはエルが歌う「コ・コ・ロ・ヒ・ト・ツ」。人物像に本心と演技の二面性を関わらせるエルの、ふたつの精神性を示唆する映像演出がなされていました。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第7話より】

砂漠をさ迷うエルは、心が飢えた“本心のエル”。太陽が照りつける様は歌詞中の「焼け焦げた願い」の暗示で、本心から何かを渇望する度に身を焦がしている。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第7話より】

夜の大都会に現れるエルは、華やかな面が表出した“演技のエル”。痛いくらいの太陽がない世界はエルにとっても心地よさそうだが、そこには常に影がさす。

このように、前者のエルは本心・枯渇・太陽を、後者のエルは演技・充足・月を現す対比となっています。「誰かと歌って輝きを増す」というMARGINAL#4シリーズの基本理念はソロ曲においても例外ではなく、「コ・コ・ロ・ヒ・ト・ツ」はいわば二人のエルのアンチノミィなデュエットなのです。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第7話より】

砂漠へ現れ“本心のエル”に手を差し伸べる“演技のエル”、そして手を取り合う二人。エルの心には本心だけでなく、演技行為も密接に関わっていることが示唆される。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第7話より】

乗り手が手綱を引くラクダや自動車の中でも比較的各々での操作性が高い車は「自分の意思で行きたい場所まで進む」意思決定の象徴。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第7話より】

ラストの噴水が噴き出す演出は、枯渇していたエルの心の潤いの暗示。

第7話のテーマは「心の統合」であると考えます。すなわち、EDでは凡百の作品のように“演技”を排斥して“本心”のみを認めるのではなく、“本心のエル”と“演技のエル”の二面性そのものを一個の野村エルの精神性として統合(=ココロヒトツ)していく情景が描かれているのです。
エル関係の物語において「心を見つめ直す」という方向性は従来メディアでもあまりなかった試みであり、劇的な展開よりもゆったりとした心情の変化で作劇される本作には絶妙にマッチした選択でもあります。


★演出:ココロに向き合う野村エル

本編では、社交的なエルをあえて一旦一人にすることで、エルが自身の心を見つめ直し、その心を通して相手のことも見つめ直す機会を与えていました。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第7話より】

夢の内容が食い違い、戸惑いを隠せない二人。映された順に並べると二人が背を向けるようになるカット割りは、物理的には向かい合っていても内心はすれ違う二人の心の演出。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第7話より】

「アールは、俺と一緒に放送室に入って、アシスタント的なことをしてくれればいいから」
演技を駆使して誰とも関係性を掌握するエルは、四人の役割分担を簡単に作ってしまったように、四人と物理的に一緒にいると心に向き合うチャンスを得られない。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第7話より】

一度物理的な距離をとることで、アールの姿を再確認する機会に至ったエル。面と向かっているとついはぐらかしてしまった朝の風景との対比になっている。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第7話より】

「今、弟とは面と向かってなかなか言えないので、この放送を借りて聞いてもらおうと思います」と、あえて顔を見ないことで向き合えるものがあることが明示されたシークエンス。一人のエルの背景を飾る澄みきった空は、自身の想いが明瞭になっていくエルの心の顕れ。

話の展開上、他の三人は放送室を飛び出すのに対してエルは終始放送室にいましたが、決してエルが孤立したようには見せずに一連の描写を描ききった点も特筆的と言えるでしょう。


★こじつけ:野村アールと藍羽ルイの青春

本アニメのキャッチコピーは「銀河級にきらめく青春(ルビ:ステージ)、Big Bang!」です。アールもまた、兄弟を介さず心と向き合える青春(ルビ:ステージ)に立ち、今回その相手に選ばれたのはルイでした。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第7話より】

「それじゃあ、アール君。僕のほうを手伝ってもらえませんか?」
今回アールへ挙げたルイの提案は、第2話でルイの孤立を防いだアールのはたらきかけに対比される、相互的な信頼関係を感じ取れる描写。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第7話より】

アールの異変を察知するルイ。第6話がUNICORN Jr.回だった都合上、今回が初の第5話の心の進展を経たルイの関係描写となるが、他人の感情に無関心のように描かれた物語初期との違いは確か。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第7話より】

共に悩み共に駆け、青春を謳歌する二人。第5話を経たこともあって、初めて直接的な接触をした第2話と比べてもぐっと距離が縮まっている。
とっつきづらい印象のあったルイと当初から対等に接しようとしていたのは他でもないアールだが、今後の更なる進展はいかに?


★感想:野村エルの“四人で”という結論

依存的な双子キャラの「成長」にありがちな完全な自立ではなく、あくまで「いつまでも四人で仲良く一緒にやっていこう」と宣言したエル。今回考えられるテーマが「心の統合」であり「心の変容」ではない点に鑑みても、一本筋の通った結論と言えます。


【©Rejet/MARGINAL#4 FC/『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第7話より】

自身の心とメンバーの姿を見つめ直し、ひとつ成長したエルはこの笑顔!親密な距離感はそのままなところには、ただ別人のように変容させることを「成長」とはとらえない作劇のきめ細やかさが感じられる。



そんなわけで、『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』第7話のあれこれでした。
次回は早速全員回な模様?二話に一度は自担で爆ぜるという超スパンでまた爆ぜて参ります。

それでは。(第8話はこちら