DULL-COLORED POP「くろねこちゃんとベージュねこちゃん」観劇!(2012.4.7)
DULL-COLORED POP「くろねこちゃんとベージュねこちゃん」観てきました@アトリエ春風舎
谷賢一さんの作品は2010年2月に「幸せの歌をうたう犬ども」を観ましたが、かなり観客として疎外感を感じたので、以来敬遠していたのですが。
昨年の「日本の問題」での短編「ボレロ、あるいは明るい未来のためのエチュード
(Bolero, or an etude for a better future)」を観て。力のある役者さんを繰る谷さんの演出に急激に引き込まれてしまっての、満を持しての本公演観劇。今までのイメージから、もっと尖った作風かと思ったら。ハートフルでPOPで、しかし鋭い棘を持った刺激的な作品に仕上がっていました。
結論から言うと、谷さんの脚本・演出も、役者さんも。そしてスタッフワークも含めて、小劇場では一番の実力を持つ劇団だと感じました。それほどまでに心を温められ、感動に打ち震えた作品でした。
お話は、ホームドラマ。口うるさい母と、税理士である父と、その息子と娘の話。主婦として家事をこなし、懸命に家庭を支えてきた妻。事故で亡くなった夫の部屋から遺書が見つかったことで、家族の闇が顔を見せ始める・・・。
彼女の言葉は長い年月をかけて夫を追い詰め、ついには自殺をさせてしまう。家族のために味噌汁を作ることを幸せとしていて、その愛がゆえに口うるさくなる母を、子供達は労わり偽の遺書を作る。
その家族に確実に愛はあり、登場人物の誰もがごく普通の人間に私には見えました。だからこそ、噛み合わない歯車が悲劇へと向かうことの恐怖を強く感じて。じわじわと描き出されるそれは、とてつもない重苦しさを客席へと伝えます。
驚くのは、まず、脚本。29歳の男性である谷さんが、50代の女性と男性の人生を、あれだけリアルに痛みを以って描き出せることに心底震えました。その衝撃は、10代の頃に三島由紀夫の「金閣寺」を読んだときの衝撃と同じ。自分以外の人間の生をこれだけ克明に表現できることへの驚嘆。
そして様々な環境で生きてきた様々な感性を持つ観客に、それぞれに深く思いを馳せさせ、心を掻き乱させるシナリオ。これはもう、文学と言ってしまっていいと思います。
演出もとてつもなく素敵で、母の話し相手である、実際には存在しない黒猫とベージュ猫がナビゲーターとなって、暗鬱とした展開の物語を一貫してポップに描き出していました。それは確実に、演劇でなくてはできない表現。戯曲だけでもない、演出だけでもない、そんな素晴らしい「演劇の魅力」をもこの作品は強く伝えてくれました。
さらに、開演前からコタツを配して猫役の女優さん達が観客を迎える「ねこのお茶会」で。花冷えの季節に足を運んできた観客への心からの笑顔でのもてなしに心も身体も温まって、これから始まるお芝居への期待が高まって。他の役者さんも、谷さんも総出で会場の案内やチケット係をこなしていて。地方公演で疲れているはずなのに、疲労や多忙を微塵も感じさせない笑顔での温かい接客。そこから、ゆるゆるとした開幕準備に向かう役者さん達の姿。それらが何もかも芝居を壊していない、その上芝居のエッセンスになる素敵さ。
そんな素敵な脚本や演出の要求に応える、力のある役者陣。誰一人として甘さなど微塵もなく、物語世界を何倍にも魅力的に演じていました。特に、黒猫を演じた百花亜季さん。他劇団で何度か拝見していたのですが、こんなに魅力的な女優さんだと初めて気付いてびつくり。黒猫としての自在な動作のとてつもない可愛らしさは奇跡のようで。彼女の存在感が悲しい物語の救いになっていたように思います。
そして、母を演じた大原研二さん。最初はくるくるパーマの鬘を被って演技していたのだけど、途中でそれを投げてしまって。その笑いのシーン以降も、男の姿のままずっと演じていたのにそれが芝居を壊すことなく、ものの見事に経年の母を演じ切っていて驚愕。父を演じる塚越健一さんの重厚さも素晴らしく、他の役者さん達も実力者揃いで。
なんという劇団なんだろう、と。きっと、谷さんという主宰の人間力がかなり高いのだろうなと思いました。稀有な才能があるのはあるのはもちろん、沢山の人が一緒に演劇を創りたいと集うだけの魅力的な人柄の持ち主なのだろうなと。どんなに才能があっても、演劇は一人で上演できるものではないから。人柄の良さは人を集め、優秀な人材との出会いの機会も増えて結果、成長に繋がるのだと感じました。
ダルカラ。ようやくその人気の秘密に触れて、私の演劇を観る目さえ変わったような気がします。こんなにも観客に考えるきっかけを与えてくれて、その人生と真摯に向かい合ってくれた作品は初めて。これからもその作品を観たいと思うに留まらず、なんだかすっかりファンになってしまいました。次回公演も楽しみです♪
(観た日:2012.4.7)
谷賢一さんの作品は2010年2月に「幸せの歌をうたう犬ども」を観ましたが、かなり観客として疎外感を感じたので、以来敬遠していたのですが。
昨年の「日本の問題」での短編「ボレロ、あるいは明るい未来のためのエチュード
(Bolero, or an etude for a better future)」を観て。力のある役者さんを繰る谷さんの演出に急激に引き込まれてしまっての、満を持しての本公演観劇。今までのイメージから、もっと尖った作風かと思ったら。ハートフルでPOPで、しかし鋭い棘を持った刺激的な作品に仕上がっていました。
結論から言うと、谷さんの脚本・演出も、役者さんも。そしてスタッフワークも含めて、小劇場では一番の実力を持つ劇団だと感じました。それほどまでに心を温められ、感動に打ち震えた作品でした。
お話は、ホームドラマ。口うるさい母と、税理士である父と、その息子と娘の話。主婦として家事をこなし、懸命に家庭を支えてきた妻。事故で亡くなった夫の部屋から遺書が見つかったことで、家族の闇が顔を見せ始める・・・。
彼女の言葉は長い年月をかけて夫を追い詰め、ついには自殺をさせてしまう。家族のために味噌汁を作ることを幸せとしていて、その愛がゆえに口うるさくなる母を、子供達は労わり偽の遺書を作る。
その家族に確実に愛はあり、登場人物の誰もがごく普通の人間に私には見えました。だからこそ、噛み合わない歯車が悲劇へと向かうことの恐怖を強く感じて。じわじわと描き出されるそれは、とてつもない重苦しさを客席へと伝えます。
驚くのは、まず、脚本。29歳の男性である谷さんが、50代の女性と男性の人生を、あれだけリアルに痛みを以って描き出せることに心底震えました。その衝撃は、10代の頃に三島由紀夫の「金閣寺」を読んだときの衝撃と同じ。自分以外の人間の生をこれだけ克明に表現できることへの驚嘆。
そして様々な環境で生きてきた様々な感性を持つ観客に、それぞれに深く思いを馳せさせ、心を掻き乱させるシナリオ。これはもう、文学と言ってしまっていいと思います。
演出もとてつもなく素敵で、母の話し相手である、実際には存在しない黒猫とベージュ猫がナビゲーターとなって、暗鬱とした展開の物語を一貫してポップに描き出していました。それは確実に、演劇でなくてはできない表現。戯曲だけでもない、演出だけでもない、そんな素晴らしい「演劇の魅力」をもこの作品は強く伝えてくれました。
さらに、開演前からコタツを配して猫役の女優さん達が観客を迎える「ねこのお茶会」で。花冷えの季節に足を運んできた観客への心からの笑顔でのもてなしに心も身体も温まって、これから始まるお芝居への期待が高まって。他の役者さんも、谷さんも総出で会場の案内やチケット係をこなしていて。地方公演で疲れているはずなのに、疲労や多忙を微塵も感じさせない笑顔での温かい接客。そこから、ゆるゆるとした開幕準備に向かう役者さん達の姿。それらが何もかも芝居を壊していない、その上芝居のエッセンスになる素敵さ。
そんな素敵な脚本や演出の要求に応える、力のある役者陣。誰一人として甘さなど微塵もなく、物語世界を何倍にも魅力的に演じていました。特に、黒猫を演じた百花亜季さん。他劇団で何度か拝見していたのですが、こんなに魅力的な女優さんだと初めて気付いてびつくり。黒猫としての自在な動作のとてつもない可愛らしさは奇跡のようで。彼女の存在感が悲しい物語の救いになっていたように思います。
そして、母を演じた大原研二さん。最初はくるくるパーマの鬘を被って演技していたのだけど、途中でそれを投げてしまって。その笑いのシーン以降も、男の姿のままずっと演じていたのにそれが芝居を壊すことなく、ものの見事に経年の母を演じ切っていて驚愕。父を演じる塚越健一さんの重厚さも素晴らしく、他の役者さん達も実力者揃いで。
なんという劇団なんだろう、と。きっと、谷さんという主宰の人間力がかなり高いのだろうなと思いました。稀有な才能があるのはあるのはもちろん、沢山の人が一緒に演劇を創りたいと集うだけの魅力的な人柄の持ち主なのだろうなと。どんなに才能があっても、演劇は一人で上演できるものではないから。人柄の良さは人を集め、優秀な人材との出会いの機会も増えて結果、成長に繋がるのだと感じました。
ダルカラ。ようやくその人気の秘密に触れて、私の演劇を観る目さえ変わったような気がします。こんなにも観客に考えるきっかけを与えてくれて、その人生と真摯に向かい合ってくれた作品は初めて。これからもその作品を観たいと思うに留まらず、なんだかすっかりファンになってしまいました。次回公演も楽しみです♪
(観た日:2012.4.7)
虚構の旅団「夜の森」観劇。(2012.4.7)
虚構の旅団「夜の森」観てきました@シアターモリエール
虚構の劇団を飛び出した役者さん達が旅に出た、という今回。鴻上尚史さんの手を離れて、木野花さん作演出での公演でした。
お話は精神疾患を抱えた患者達が「星の王子様」を上演する物語で、小沢道成くんが演技の高さを見せつけてくれました。精神障害者の役、しかも何ステージにも分裂した精神を自在に行き来して。指先から足のつま先まで、そのときそのときの状態を微塵の隙も無く演じていました。その立ち居振る舞いを見て、開始5秒でリピート決定。やっぱり小沢くんは凄い。凄すぎる。
けれど、作品全体を考えると、舞台の上で誰と誰が疾患の持ち主が分かりづらかったり。感情の流れが伝わってこなかったりして。
きっと、もっともっと登場人物達の感情が昇華されてどこかでつながって、最後の上演のシーンがキラキラキラキラしたはずなんだよなぁ、なんて思います。他の役者さんたちも頑張っていましたが、いつもの虚構の凄さは今回感じられなかったなぁとちょっと残念。
2回目に観たときは細かい修正が入っていて大分観やすいなぁと思ったものの、演劇は一人の役者さんが凄いだけでは成り立たないんだな、やはり舞台と客席とで心と心が繋がらないと感動には結びつかないのだなと思ってしまいました。
(観た日:2012.4.7)
虚構の劇団を飛び出した役者さん達が旅に出た、という今回。鴻上尚史さんの手を離れて、木野花さん作演出での公演でした。
お話は精神疾患を抱えた患者達が「星の王子様」を上演する物語で、小沢道成くんが演技の高さを見せつけてくれました。精神障害者の役、しかも何ステージにも分裂した精神を自在に行き来して。指先から足のつま先まで、そのときそのときの状態を微塵の隙も無く演じていました。その立ち居振る舞いを見て、開始5秒でリピート決定。やっぱり小沢くんは凄い。凄すぎる。
けれど、作品全体を考えると、舞台の上で誰と誰が疾患の持ち主が分かりづらかったり。感情の流れが伝わってこなかったりして。
きっと、もっともっと登場人物達の感情が昇華されてどこかでつながって、最後の上演のシーンがキラキラキラキラしたはずなんだよなぁ、なんて思います。他の役者さんたちも頑張っていましたが、いつもの虚構の凄さは今回感じられなかったなぁとちょっと残念。
2回目に観たときは細かい修正が入っていて大分観やすいなぁと思ったものの、演劇は一人の役者さんが凄いだけでは成り立たないんだな、やはり舞台と客席とで心と心が繋がらないと感動には結びつかないのだなと思ってしまいました。
(観た日:2012.4.7)
世田谷シルク「Kon-Kon、昔話」観劇♪(2012.3.24)
世田谷シルク「Kon-Kon、昔話」観てきました@pit北/区域
この日は、銀河劇場からの小劇場。全く違う空間での、それぞれに合った舞台が観られてとても充実した幸せな一日でした。
こちらは独特のパフォーマンスが印象的な昔話ファンタジー。世田谷シルクの売り物である繊細なダンスと、独特の台詞回しとで吸い込まれるように異空間に誘われて。
・・・これはもう、言葉では説明できません。女優さん達の声をずらして発声することで、海の中の竜宮城にいることを錯覚させる不思議な感覚だったり。空間をふわふわとかき回すようにしなやかに行き来する舞だったり。主人公同様、客席も困惑させられて。文字通り、狐につままれる感覚にスパイラルで落とされていく。
主人公の「おじさん」が朝目覚めると、自分以外の人間が全て狐になっていて。どこに行っても狐だらけ。そこにドアノブが話し掛けてきて、不思議な液体と食べ物を主人公が口に入れると、おじさんは小さくなって混沌の世界の扉を幾度も開くことになる。
そんな不思議なお話の中で、今私の中で一番熱い舞台役者である堀越涼さんが様々な役を演じていました。黒服で台詞を発したり。ドアノブの謎めいた存在だったり。(無邪気な少年のように思えた、)昔の時代のストレスを抱えた少年で、亀をいじめてたり。吉原の遊郭のやり手ババァだったり(ハマリ役wwwww)(おっぱい仕舞うなおっぱいwwwww)
おまけに冒頭に新作落語まであって、涼さんの魅力がいっぱい詰まった素敵な素敵な舞台でした。舞はどの女優さんよりも繊細で、きれいな指先に釘付け。髪型もまた変えていて、柔らかなゆるふわパーマがセクシーすぎ。照明の美しさの中で、とってもとっても素敵で。今までに観た涼さんの中で、一番美しかったです。
落語もね、和服で。ちょっとメイクもしてて、出てきた瞬間から、萌え。籠屋の会話のシーンでは自分も籠に揺られてる錯覚に陥って、なんだかとっても心地よかった。いや、気持ちよかった(笑)
ああ本当に本当に。この人の才能と実力と魅力は凄いなぁ、と。次回出演の北京蝶々の稽古にも既に合流しているのに、この本番を完璧にこなすは、新作落語は披露するは、4月入ってすぐに再演とはいえ二人芝居はあるわで。この人のキャパシティはどうなってるのだろう。きっと影で想像つかないような努力をしてるのだろうな、と。素敵過ぎる。間違いなく、小劇場で一番輝いている人。
あ、褒めすぎですね(笑)もういいや、激しくときめくのは事実ですもん(笑)
お芝居の間、その繊細な演技からひと時も目が離せませんでした。観ている間、ずっとずっと幸せで。今後もその才能と魅力に惹きつけられる予感に心臓が震えるのです。
(観た日:2012.3.24)
この日は、銀河劇場からの小劇場。全く違う空間での、それぞれに合った舞台が観られてとても充実した幸せな一日でした。
こちらは独特のパフォーマンスが印象的な昔話ファンタジー。世田谷シルクの売り物である繊細なダンスと、独特の台詞回しとで吸い込まれるように異空間に誘われて。
・・・これはもう、言葉では説明できません。女優さん達の声をずらして発声することで、海の中の竜宮城にいることを錯覚させる不思議な感覚だったり。空間をふわふわとかき回すようにしなやかに行き来する舞だったり。主人公同様、客席も困惑させられて。文字通り、狐につままれる感覚にスパイラルで落とされていく。
主人公の「おじさん」が朝目覚めると、自分以外の人間が全て狐になっていて。どこに行っても狐だらけ。そこにドアノブが話し掛けてきて、不思議な液体と食べ物を主人公が口に入れると、おじさんは小さくなって混沌の世界の扉を幾度も開くことになる。
そんな不思議なお話の中で、今私の中で一番熱い舞台役者である堀越涼さんが様々な役を演じていました。黒服で台詞を発したり。ドアノブの謎めいた存在だったり。(無邪気な少年のように思えた、)昔の時代のストレスを抱えた少年で、亀をいじめてたり。吉原の遊郭のやり手ババァだったり(ハマリ役wwwww)(おっぱい仕舞うなおっぱいwwwww)
おまけに冒頭に新作落語まであって、涼さんの魅力がいっぱい詰まった素敵な素敵な舞台でした。舞はどの女優さんよりも繊細で、きれいな指先に釘付け。髪型もまた変えていて、柔らかなゆるふわパーマがセクシーすぎ。照明の美しさの中で、とってもとっても素敵で。今までに観た涼さんの中で、一番美しかったです。
落語もね、和服で。ちょっとメイクもしてて、出てきた瞬間から、萌え。籠屋の会話のシーンでは自分も籠に揺られてる錯覚に陥って、なんだかとっても心地よかった。いや、気持ちよかった(笑)
ああ本当に本当に。この人の才能と実力と魅力は凄いなぁ、と。次回出演の北京蝶々の稽古にも既に合流しているのに、この本番を完璧にこなすは、新作落語は披露するは、4月入ってすぐに再演とはいえ二人芝居はあるわで。この人のキャパシティはどうなってるのだろう。きっと影で想像つかないような努力をしてるのだろうな、と。素敵過ぎる。間違いなく、小劇場で一番輝いている人。
あ、褒めすぎですね(笑)もういいや、激しくときめくのは事実ですもん(笑)
お芝居の間、その繊細な演技からひと時も目が離せませんでした。観ている間、ずっとずっと幸せで。今後もその才能と魅力に惹きつけられる予感に心臓が震えるのです。
(観た日:2012.3.24)