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Battle Day0-Day246までのあらすじ (登場人物についてはサイドバーを参照してください)
BattleDay233~ここまでのあらすじ
結局、妹・莉子からは連絡がなく、父の希望していた老人ホームは、せっかくの空き部屋に入ることができず次の機会を待つことになった。コオはいら立ちを募らせる。莉子ばかり心配する父、同僚のソフィの事故のケア、などはコオを疲弊させる。その中で重症のアレルギー事故をを起こしたコオは、体調とともに心のバランスも大きく崩していた。そして父の誕生日がやってきて、父はケーキを持ってきたコオに、莉子は母と同じ、料理学校に通ったことがあること、それも続かず、アロマテラピーの資格を取ろうとしていたことを話す。コオは、莉子が《自分で働いて、食べていく》ということを考えてないのではないかと恐怖し、父の永住型老人ホーム入居のための資金プランを考え直さねば、と考える。思ったよりも、実家の財政は深刻なのかもしれない、これは8050問題、7040問題とよばれるもなのでは?とコオは思い始めた。
膨大なストレスにコオは体調だけでなく、メンタルの調子も崩しつつあった。
そんな頃に母の一回忌がやってくる。コオは父から、莉子に法要に出席するかどうか連絡をするように言われるが、日にちの設定が謎であり、莉子に日付の確認をしてくれるように、父に頼む。同時に自分でも調べるが莉子が法要を頼んだ形跡はなく、結局母の命日は過ぎていった。
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季節は冬になっていった。
職場に行くのは、朝早くでなくても太陽にあぶられずにすむので楽になったが、寒くなってくると雨の日がしんどかった。コオは自転車用の雨合羽を買った。
父のところに行くのも、必ずパスを使うようになった。バスを逃すと電車を降りた後、2キロほど歩くことになる。それが嫌だったが、ちゃんと乗れれば、コオのアパートのほぼ目の前で降りることができる。
時折、遼吾に車を借りた。ずっとこの10年、この車で職場に通った。その車を借りて・・週末に返しに行く。その足で父の施設に行き、いつものようにバスで帰る。
相変わらず、莉子から、父の年金の情報は得られず、施設についても何も言ってこなかった。 父は相変わらず、莉子のことをただ心配し、コオが声を荒げると、必ず自分も言い返してくる。面会の時は次第にコオは気が重い時になってきていた。
「ねぇ、それでどうするの。」
「どおって?」
「次の3ヶ月はすぐ来るよ。施設だって、いつ空きの連絡が来てもおかしくない。もう諦めるって言うなら、もう、それでもいいけどどうするの。」
「そうだな、よく考えたんだけど、お金を莉子ちゃんに残すには、施設じゃなくてこうして居るほうがいいんじゃないか?」
今更…それ?
これだけ動いて…人を動かしておいて…結局?
「パパがいいならいいけど。それだど3か月でまた、チェックが入って一度家に戻って期間開けなくちゃいけないよ?それか…別の場所に移れるのかは知らないけど。私はあんまりおすすめはできない。病院も行けないしね。」
コオは、怒りとも少し違う、なんとも言えない気持ちが湧き上がるのを止められないでいた。
そこまで莉子が大事なの?私はなんなの?
私には声を荒げるのに、何故莉子には遠慮するの?
何故、莉子をたしなめないの?
何故莉子を独り立ちさせようとしないの?
何故、莉子が言っていることはおかしい、と莉子に言わないの?
これでいい、という父。
父がいいならそれでいいんじゃないの、と言い捨てるコオ。
でも、少しも自分はいいと思っていないことをコオは気づいていた。
そして、莉子に勝ちたい、と思っている自分にも。
