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Battle Day0-Day262までのあらすじ (登場人物についてはサイドバーを参照してください)

 

 『BattleDay232-Day246あらすじ』Battle Day232-Day262までのあらすじ (登場人物についてはサイドバーを参照してください)  ある日、夜中に電話が鳴る。遼吾を待つコオだったが…リンクameblo.jp

 

BattleDay233~ここまでのあらすじ

結局、妹・莉子からは連絡がなく、父の希望していた老人ホームは、せっかくの空き部屋に入ることができず次の機会を待つことになった。コオはいら立ちを募らせる。莉子ばかり心配する父、同僚のソフィの事故のケア、などはコオを疲弊させる。その中で重症のアレルギー事故をを起こしたコオは、体調とともに心のバランスも大きく崩していた。そして父の誕生日がやってきて、父はケーキを持ってきたコオに、莉子は母と同じ、料理学校に通ったことがあること、それも続かず、アロマテラピーの資格を取ろうとしていたことを話す。コオは、莉子が《自分で働いて、食べていく》ということを考えてないのではないかと恐怖する。

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 莉子は、自分の生活、食べていくことに責任を持つ気がない。

 その考えは、コオをイライラさせるよりも凍りつくような気持ちにさせた。

 父の、北寿老健での期限、3ヶ月が過ぎた。 が幸い、更に3ヶ月はいられることになり、コオは少しだけ安堵するとともに、なんとか父を安定した施設に入れたいと、思った。

 でも、そのためには莉子が。キーパーソンがきめなければ、つぎには進めない。

 しかも・・・

 考えたくはないが、もし莉子が、コオが思いついたとおり《自分で暮らせる分を稼ぐ気はない》のならば、一体父の財政状況はどうなってるのだ?そもそも、もしかして、父の年金に彼女はぶら下がって生活している形になっているのだろうか?いや、まさか。

 コオの考えでは父の年金で施設費を払う。目安は施設の費用の7割から8割。残りはコオと莉子が出す。すると父の年金は、コオの非常にラフな計算では、少し余るはずだ。

 それを、少しずつ積み立てる形にし保険代や家の固定資産税に当てる。

 定年までしっかり勤め上げた父だから、退職金や、貯金もあるだろうから急な病気などがあればそれで対処すればいい。

 ・・・それが、コオのラフスケッチだった。しかし。

 

 「パパ、あのさ、施設のことがあるから聞きたいんだけど、ぶっちゃけ、貯金とかってあるのかな。前金とかはどっちにしても私が出すからいいんだけど、一応、聞いておきたい。」

 「全然・・・わからない。証券会社の分があるけど、それは俺の分はもう全然、ほとんどない。株の運用は莉子ちゃんの名義でしてたんだ。でも、あの子がピアノを辞めたときに、パイプオルガンを始めるから、それを買うのに使わせてくれって言われて。多分使っちゃったんじゃないかなぁ・・・」

 

 それは前も聞いたよ。とコオは思ったが、黙ってうなずいた。全く呆れる。何度聞いても。

 

 「それだけ?N証券の分だけ?」

 「うーん、後はお母さんに任せていたからなぁ・・・」

 「そもそも、N証券でやってた株だって彼女の名義で運用してても、もとはパパのお金じゃないの。」

 「いや、そうなんだよ。それで莉子ちゃんが車を4台目に買い換えるときに、もう出せない、って俺は言ったんだ。そしたら、お母さんが、自分が出すって。」

 

 コオは前よりもさらに呆れはてると同時に

 (父の貯金はゼロ、と考えて施設にかかるお金を試算し直したほうがいいかもしれない・・・どちらにしても、やはり年金学のチェックは必要だな)

 と考えていた。

 しかし、父から出る言葉は更に衝撃的なものだった。