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Battle Day0-Day262までのあらすじ (登場人物についてはサイドバーを参照してください)
BattleDay233~ここまでのあらすじ
結局、妹・莉子からは連絡がなく、父の希望していた老人ホームは、せっかくの空き部屋に入ることができず次の機会を待つことになった。コオはいら立ちを募らせる。莉子ばかり心配する父、同僚のソフィの事故のケア、などはコオを疲弊させる。その中で重症のアレルギー事故をを起こしたコオは、体調とともに心のバランスも大きく崩していた。そして父の誕生日がやってきて、父はケーキを持ってきたコオに、莉子は母と同じ、料理学校に通ったことがあること、それも続かず、アロマテラピーの資格を取ろうとしていたことを話す。
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コオは俄かに、焦りを覚え始めていた。
今までコオは、収入が少ないながらも彼女がアルバイトをしている、と考えていたし、パイプオルガンも、いぶかしく感じつつも以前ピアノ講師をやっていたつてで、本当に仕事としてやっていけるのかもしれない、と思っていた。けれど。
パイプオルガン。
アロマテラピー。
料理学校。
いずれも・・・学校。収入を得る以前に、莫大なレッスン、授業料がかかるのは容易に想像できる。実際料理学校だけでも、最初は生徒として入学し、講師になるためにどれほどたくさんのコースを取り、生徒として授業料を払うことになるか。母が料理学校の講師になる前を、コオはうっすら覚えていた。
しかも父の話だと、現在進行中のパイプオルガンも含めて、どれ一つ稼ぐ手段に放っていない。
莉子は、本当に仕事をしているのか?
莉子は、本当に自分の収入で食べていく気があるのか?
焦っていた(ようにも聞こえる)彼女自身の迷い、わからないではない。
コオもひどく逡巡し、迷った経験がある。あるけれど・・・
父の話は、断片的だ。脳出血のせいで、本当に忘れてしまったのかもしれないし莉子が本当のことを言ってないだけかもしれない。それを差し引いても、莉子の職の探し方は、コオには、まったく危機感も何も感じられなかった。
莉子は引きこもりではない。でも・・・
これは・・・世間でいうところのの7040,8050問題ではないのか?
莉子は・・・莉子の頭の中には、《自分の食い扶持を自分で稼ぐ》という言葉は、無いのではないだろうか?
それは莉子を責める、というよりも、恐怖に似た感覚だった。

