*********************
Battle Day0-Day262までのあらすじ (登場人物についてはサイドバーを参照してください)
BattleDay233~ここまでのあらすじ
結局妹・莉子からは連絡がなく、父の希望していた老人ホームは、せっかくの空いている部屋に入ることができず次の機会を待つことになった。コオはいら立ちを募らせる。
*********************
父が探してほしいといったのに。
ここまでやったのに。キーパーソンが莉子だというだけで、ここまで準備したことを無駄するのか。自分はただただ無益に動いただけなのか。
父が銀行通帳の再発行をコオに頼んだときに、莉子にあっさり通帳引き換え用の書類を渡したりせず、策を弄しててでも一旦手に入れておけばよかった。自分が使うわけではないが、それでも家の財政状況が少しは・・・少なくとも父の年金額、蓄え、等はわかっただろう。お人よしにもほどがある。書類一つ持っていけば手に入るような状態にして莉子に引き渡すなんて・・・なんて馬鹿なことをしたのだろう。
コオは歯噛みしたが、今更どうしようもない。
「あのさ、もう動けるようにしておいたほうがいいと思うんだけど?どうするの?」
「いやぁ、莉子ちゃんがうん、て言わないとな。」
「だから、うんて言うも何も、話をちゃんとしないと、移るに移れないよ?それとも、パパはここを出ることになったらまた家に戻りたいの?」
「いや、僕は施設のほうがいい。」
そこだけは父ははっきり言うのだ。なのにそこから父の思いは別のところに移っていく。
「あの家は・・・莉子ちゃんが一人になっても住めるように、数年前に屋根を直したんだ。業者に頼んで、まだ20年はいけるように。それから屋根だじけじゃなくて、壁も。だから後40年は住めるんだよ?」
「うん・・・そしたら莉子も安心して住めるもんね。」
「そうなんだよ。家賃もかからない。」
「それは大きいと思うよ。私、この辺、家賃高いからね。家賃なしなら月10万あればそこそこの暮らしができるよ。」
ここまでくると、どうしてもコオは切り込みたくなってくる。だって、コオは家賃を抜いたら、光熱費や通信費を入れたって、6万円超えることは絶対ない。
「月曜から金曜まで毎日働いたらさ、9時5時のやっすい時給の事務職だって10万にはなるよ?なんで莉子はちゃんと働かないの?」
「一応、働いてはいるよ。」
「一応、ってアルバイトで、毎日じゃなくてって、それ、食べるための働き方じゃないよ。一人でやってこうとする人間の働き方じゃない。私、遼太を生んだあと、派遣で働いたことだってあるんだよ?それだってもっともらってた。毎日働いてたからね。」
コオはイライラといった。我慢ならなかった。
「それでもさ、例えば体が悪いとか、精神的に病んでるって言うなら、話は別だよ?でもそれならそれで病院に行かなくちゃいけないし、やってけないんだったら、《私はこういうわけでできないからお姉ちゃん助けて》って言わなくちゃいけないでしょ。それを、私がなにかやってもキチガイみたいに責め立てるだけ。そんな莉子のために動くのは嫌だけど、パパが必要だっていうから、莉子にはできないって言うから私は動いてる。なのに、パパは必要な情報を莉子からもらうのさえためらう。何故?何故自分の年金を知るのにそんなに莉子に遠慮するわけ?パパのものじゃないの。」
やりきれない。やりきれない。

