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Battle Day0-Day231までのあらすじ (登場人物についてはサイドバーを参照してください)

 

 

Day232-これまでのあらすじ

 ある日、夜中に電話が鳴る。遼吾を待つコオだったが、期待に反して電話は、T大学病院。コオの同僚ソフィ李が事故を起こし、救急車で運ばれた連絡だった。命に別状はなかったが、翌日に病院に迎えに来るように、病院側に頼まれる。不便な場所にある病院とけが人のため、コオは別れた夫遼吾に車を借り, ソフィのもとに向かい、彼女の大けがを目の当たりにする。検査結果が出るまで4時間待たされることになり、コオは、一度職場に戻り、ソフィの着替えを購入し、上司に事故の報告をした。ソフィのところに戻るが、彼女は朝コオに会ったことを覚えていなかった。コオは記憶が抜け落ちていくソフィに不安を感じながらも退院を手伝い、車で帰路に就いた。以降、ソフィの事故後処理に忙殺されるコオは、仕事を同僚たちに少しずつ分散させるようになる。しかし父・妹莉子・遼吾との離婚というプライベートが重くのしかかった上に、ソフィの事故後処理は、コオの精神を限界に近づかせていた。

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  少しずつ、季節は秋に変わろうとしていた。

 父が北寿老健に入所して、2か月が過ぎ、もうすぐ3か月。コオは、業者と選んだ2つの施設を、父を連れて見学に行くことにした。午前中に父を連れ出す。お昼は、最初に見学する施設で、お試しで1食分出してくれるらしい。

 疲れるだろうから夕飯前に帰れるようにしたい、とコオがいうと、紹介業者の藤堂は、

 

 「かしこまりました。それでは施設に連絡を取っておきます。」

 

 と、いつものように柔らかな口調で言った。

 

☆☆☆☆☆☆

 

  父は、当日外出用のシャツに着替えていた。スウェットも、少し外で見てもおかしくないような、もの。一応気を使っているらしい。靴が上履きなのは致し方ない。とりあえず、晴れてよかった。これで雨でも降っていたりしたらまた予定を組みなおさなければいけないところだ。とコオは思った。

 紹介業者の藤堂は、介護タクシーとは違うから、いつもの軽自動車だが、今まで以上に丁寧に運転してくれた。車の中で、今までコオが語った家の事情には全く触れず、父の体調を気遣い、施設の様子をはなした。必要以上に、コオの動きに対して言及することもなく、コオはその距離感が、とても心地いい、と思った。

 

 一つ目の施設。

 コオが気に入って、父がイエスといえば、すぐにでも決めたかった施設だ。少し古いけれど、温かみがある。藤堂も前回コオがそういうと、賛成していた。前と同じ女性の施設長がでてきて、施設内を案内してくれた。食事時間の少し前だったが、元気な女性たちが数名、食堂そばの

大部屋に集まって、おしゃべりをしていた。

 風呂場・リハビリ用の設備・食堂、そして個室。

 父は案内に、いちいちうなずきながら、ゆっくりと施設内を歩いた。個室は、この施設でいいな、とコオが思っていたのは洗浄式便座がついていることだ。2つ目の施設は、ついてないので、購入しなければならない。父には洗浄式の便座は必須だろう。

 

 一通りの見学を終え、食事もこの施設で試食ということで、施設の昼食を、藤堂と父の3人で、個室でたべさせてもらった

 

 「どう?私は割とおいしいと思うけど。」

 「うん、北寿老健より、うまいな。歯がまだないから・・・ちょっと噛みにくいけど。」

 

 父は綺麗に平らげ、コオは父の入れ歯を何とかしなければならないな、と考えていた