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Battle Day0-Day231までのあらすじ (登場人物についてはサイドバーを参照してください)
Day232-これまでのあらすじ
ある日、夜中に電話が鳴る。遼吾を待つコオだったが、期待に反して電話は、T大学病院。コオの同僚ソフィ李が事故を起こし、救急車で運ばれた連絡だった。命に別状はなかったが、翌日に病院に迎えに来るように、病院側に頼まれる。不便な場所にある病院とけが人のため、コオは別れた夫遼吾に車を借り, ソフィのもとに向かい、彼女の大けがを目の当たりにする。検査結果が出るまで4時間待たされることになり、コオは、一度職場に戻り、ソフィの着替えを購入した。
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結局、コオは職場までもどり、近場でソフィの着替えを購入し、そのまま大学病院にとんぼ返りしただけになる。
2往復目だというのに、またもやコオはスムースに到着できなかった。
1回目に散々迷ったせいで、どれが正解なのかわからなかったからだ。
車での道と設定しているにもかかわらず、スマートフォンに示される道は、驚くほど細かったりして、時にはバックで戻らざるをえなかった。
病院についたときは職場を出てから、結局またも2時間近くが経過していた。病院ではスムースに通してもらえるかと思いきや、またもやERの入り口で待たされることになった。コオは疲労でどうにかなりそうだ、と思った。
それでも、しばらく待ったのち、ERにようやく入りコオは再びソフィの寝ているベッドにたどり着いた。
「コオ、来てくれたの」
「ソフィ、朝も来たでしょ?」
「・・・え・・・?」
ソフィは朝コオと話したことを覚えていなかった。コオは、その時彼女の記憶が、ぽろぽろと欠けていく恐怖を感じていた。
朝と同じ内容を繰り返し、コオは着替えを差し出した。
「サイズが分からなかったから、大体、で買ってきたの。ちょっとくらいサイズ違ってても、着られると思う。」
「ありがとう。」
「ちょっとスタッフと話してくるから、着替えていて。着替えられる?」
「うん、手足は・・・擦り傷はあるけど、大丈夫。」
ソフィの傷は折れた歯も含めて、頭部・顔面に集中していた。
脳にダメージがないといいけど、とコオは考えながら、ソフィのベッドを囲むカーテンを閉めた。
これから労災の話をしなければならない。

