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これまでの話

Battle Day0-Day169 のあらすじは、以下のリンクをご覧ください、

登場人物は右サイドに紹介があります、

 

Day170- あらすじ

コオの父は、紅病院から北寿老人保健施設(通称北寿老健)に移った。

父の回復は順調で、カラオケを歌い、写経をし、本を読み、好きだった囲碁にも手を付けるようになっる。離婚後の一人暮らしは孤独であったコオだが、息子たちと訪れた父の施設での夏祭りなど、ひと時、穏やかな時を過ごしていた。1ヶ月がたち、父は自宅にもう戻らず、施設にはいるつもりであることを話し、永住型の施設を探してくれるようにコオに頼む。コオはケアマネージャー・立石に連絡を取り、高齢者住宅専門の業者を紹介してもらい探し始める。その過程で、コオは、父の年金額を知らなければ話をすすめられないと認識するが、莉子を経由しなければならず、いつまでたっても情報は手に入らない。コオは父と同年代の親戚をもつ職場の長田から得た情報をもと検討をつけたところで、コンタクトを取った業者のうちの一つと連絡をとり、候補施設を見学を2つ済ませ、3件目に向かうところで、紹介業者の藤堂が自分の施肥説を選ぶ一つの基準はにおいだ、という。

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 そして3件目。

 

 「できて・・・まだ3年たちません。ですから一番新しいですが交通の便がよろしくないので、最初の施設と基本同じですが少しお安いです。」

 

 幹線道路から少し入ったところなので、思ったよりは静か。見た目は普通の低層マンションのように見える3件目のホームは、確かに新しかった。 天井が高く、開放感があった。

 部屋の間取りは1件目と変わらない。経営母体が一緒だからかもしれない。

 違いといえば、ウオシュレットが標準装備ではなくて、購入する必要があることだろうか。 

 

 「ここに入所されているのは元気な方が多いですよね、平均の介護度は…」

 「1.4ですね。」

 「1.4!」

 

 所長はここも女性だった。1つ目の施設よりはかなり年配で・・・給食のおばさんみたいだな、とコオは思った。

 聞いた藤堂が驚いた。

 

 「それはまた・・・お元気な方が多いんですね。」

 「ええ、まだ要介護もつかないけれど、一人暮らしで不安、という、要支援の方もいるんですよ。」

 「嶋崎さんのお父様は、お元気で自立歩行も問題ない方ですから、いいかもしれませんね。」

 

 藤堂は言った。

 

 3件の全ての見学が終わり、コオは藤堂にまた送ってもらって帰ることになった。

 遼吾や健弥のいるところを通り過ぎて、またなにもない部屋に帰るのだ。コオは胸がチクリとした。

 ここからだとこの混む時間だと1時間弱というところだ。

 

 「それで、いかがでしたか?」

 「私は・・・金額はともかく、やはり1番目の施設が気に入りましたね、なんだか・・・雰囲気が暖かかったし。」

 「私もそうです。手厚ですしね。一人の職員あたりに2.5人の入所者、という割合は、老健と同じです。他の2つの施設は、一人の職員で3人の入所者を見ることになっていますから。この0.5人の差は結構大きいかもしれないです。」

 

 藤堂は運転しながら、全く変わらない柔らかな声でそういった。