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これまでの話

 

Battle Day0-Day135 のあらすじは、以下のリンクをご覧ください、

登場人物は右サイドに紹介があります、

1. あらすじ BattleDay0-Day86

2, あらすじ BattleDau87-Day135

3. あらすじ BattleDay136-Day169

Day170- あらすじ

コオの父は、紅病院から北寿老人保健施設(通称北寿老健)に移った。大部屋に入った父は、前回の個室より、いいと漏らす。

父は、コオにノートを買ってきてくれるよう頼み、コオは父の回復ポテンシャルを感じる。

妹・莉子との考え方は違うが、父に長生きしてもらいたい、というのは同じなのだ、とコオは思う。

 

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 月に1,2回土曜日の北寿老健には、ボランティアのカラオケサークルがやってきて、大食堂で歌を披露してくれる。

 さすがにリーダーはプロ並み(セミプロ?)だが、それ以外の人は色々だ。老人保健施設に来るので、歌は小学校唱歌とか、童謡、懐メロなど。老人たちは、食堂に集まり大半の人はぼんやりと聞いているが、一部一緒に口ずさんでいる人たちもいる。コオは父の横に座り、聞いていたが一度、、

 

 「歌ってみませんか?」

 

と言われたので、父と一緒に、コオはマイクを取って歌った。もう、何の歌だったのかはあまり覚えていない。ただ、父がすごくうれしそうで、父のバリトンは結構きれいに響くので、ボランティアの人も喜んでくれた。その後、他にも歌いたいという入所者がいて、ボランティアの人たちは以降、入所者の参加型に切りかえた。

 

 「歌うとね、なんか頭がすっきりするんだ。」

 

と父はいった。コオは今でも、あのとき父と歌った自分たちがきっかけで、ボランティアの歌が参加型になったのだと感じているし、それは父だけではなく、入所している老人たちすべてにとてもよかったのではないかと思っている。

 歌いたい、と積極的に手を挙げる人はたくさんいたし、ただ聞いているよりもそのイベントは盛り上がりを見せていた。

 

 歌うこと、音楽を奏でること。これは人の気持ちを明るくするし、精神的にいいものなのだな、とコオは改めて思っていた。