クリニック十四話 聖マリアンヌ 本院 


 2025 11 30

集中治療室から個室に戻る


 
 何日間集中治療室にいたのか思い出せない。手術のあと予期せぬ出血があり輸血をしたようだ。
 
 集中治療室といえども、目覚めた後は、ナース・ステーションからのナースコールの電話かあり、また個室と言えども、隣室のざわめきなどがあり、まったく静寂というわけではない。
 
 やがて久しぶりに個室に戻る。山の上の建物。最上階のフロア。17階の個室群(一泊一万円、一泊二万円、一泊四万円、・・・)は 隣の人との交流はない。
 担当看護師による朝の各種検査、点滴、朝の医者たちの回診、ベッド上での読書、瞑想、14時からのリハビリ、一連の夜の検査。
 
 寝具、下着、シーツ、テレビ、冷蔵庫などはすべてレンタル。私は通常はテレビは見ない。現世とは隔離された 時間と空間が流れる。
 
 つづく
 


 

クリニック十三話 証券会社・銀行口座の凍結 その12


 2025 11 30

資本主義の世界 その2


 
 聖マリ(本社)で手術の事前説明会。Dr. 塚本がふと漏らす。
 我々はこの病院創設以来、この手術で死者を出したことはありません。
 これから行う手術で、手術中、その後の経過観察(2-3週間)で患者さんは想定予定期間ですべて 元気に退院されています。
 
 聞きたくてもやや憚れる患者の気持ちをおくみになってか、Dr. 塚本は静かに話す。
 
 これにはいくつかの意味がある。
 銀行。証券口座は本人でなければ引き出せない。
 ああ、私は残っている少々の残高を引き出せないのだ。
 
 >認知症などになると、じつはM銀行からもN証券会社からも本人でなければ引き出せない、という話を聞いていた。
 取引執行代理人を登録すれば、代理人が引き出せます、と説明されていた。
 
 いずれ認知症とかが深刻になるだろうから、まあ、そのうちに手続きをしようと思っていた。
 だが、明日からとつぜん入院・手術ですと言われる、とは思っていなかった。
 
 その時の私の頭の奇妙な理論。
 もし手術のせいで、私の認知機能がだめにばれは、銀行のことも証券会社のことを忘却してしまっているのだろうから、それは それでいい。知らぬが仏。たぶん、名義人不在で、国家に納付されるのだろう。
 もし、Dr. 塚本のおっしゃる通りなら、退院後にまた人生ゲームを楽しめばいい。
 
 そして、結果は塚本先生の予言通り、何とか退院。ブログを再開できる程度に脳回路も指先の筋肉も動いている。
 
 病気になって初めて、不用意な送金では贈与税が50%採られる。認知症になると100%国税にもっていかれる ということを知った。
 
 こういう資本主義の仕組みをたとえば、「入院のしおり」などに書いてあればよかったのにと思う。
 
 つづく
 
 


 

クリニック十二話 集中治療室 みずほ銀行 大和支店 その12


 2025 11 30

資本主義・腫瘍削除・送金注意


 
 われわれは資本主義の世界で生きている。
 
 すべてではないが、お金がないと困ったことになる。お金のことは知っているつもりが、重要なことを知らないこともある。
 入退院ロビーでお金の概算を訊く。
 
 ふたつの話題
 その1
 個室を希望する。個室のパンフレットをふと見る。一万円/一泊、二万円/一泊、四万円/一泊、八万円/一泊...
 今空いている個室は2万円/一泊という。ちなみに二人部屋は八千円/一人一泊。4人部屋は八千円/一人一泊。
 ああ、資本主義は、この山のてっぺんの病棟をも支配している。一泊四万円の部屋かどんな部屋かは知らない。
 
 その2
 この病院では、2週間に一回費用を払う仕組みだそうだ。
 この聖マリ本院は、自宅から片道で二時間かかる。入院中の私はお金を払えないので、支払い手続きは家族に 頼む。
 みずほ銀行大和支店で私の口座から、支払いを依頼する家族名義の口座に送金しようとする、
 支店長曰く。私の口座から家族名義の幸田にお金を振り込むと、贈与になります。贈与税の税率は50% です。たとえば、2,000万円振り込むと、1,000 万円の贈与税がかかります。あなたの場合は、入院・治療費の支払いを 代行するためです。
 営利目的ではありませんので、国税庁(電話番号)のAA(氏名)さんに相談して、特別の手続きをするようお勧めします。
 
 何もしないで振り込むと贈与税が50%とか。無智の費用は1,000 万円になるところだっだ。
 
 つづく
 


 

クリニック十一話 集中治療室 その1 その11


 2025 11 29

 


 
 いつのことだったか、晩春だったような気がするが。
 一階で入院手続きをして、忘念忘月忘日、家族同伴でいらしてください。
 
 医師団四名、家族側三名。T医師がこれまでの検査結果を淡々と説明。三か月近く検査を受けているので、 想像はできる。
 以下の記述は、時間軸と空間軸が混乱し、論理的でも、時系列的でもない。
 
 車いすで集中治療室に。ベッドに仰臥。いやに明るい。これから全身麻酔をします。
 
 お目覚めですか。食道、胃、十二支腸、それからいくつかの内臓を切除しました。
 予想よりも出血が多く、二日以上かかりました。
 
 貧血状態なので、今日明日中は、輸血をします。
 
 つづく
 

クリニック十話 薬物治療 その10


 2025 11 24

あさひの丘病院 精神科


 
 忘年忘月忘日・・いつのことだったか思い出せないが、たぶん20年くらい前の話。
 
 二大薬物障害(アルコールとニコチン)になっていた。
 
 会社時代のストレスと傲慢で怠惰な生活。
 毎日、毎夜、水割りを片手にプログラムを書いていた。
 株式取引で、ランダム・ウオークを信じつつプログラミングをしていた。言語は C++ から Javaへ。 
 プログラム名は、すばらしい、「年率30% 市場平均に勝つ」
 
 AIとシミュレーション、トレンド分析、乖離理論。目標は、株式取引で年平均30%アップを採る。
 
 プログラミング中は煙草の消費量が増える。ロングピース、2-3箱。40-60本。
 昼も夜も、土日祭日も朝から夜は酔っぱらうまで、水割り。
 
 酒、女、お金。今思うに、自然はそんな生活を許すわけはない。
 気がつくと、『あさひが丘病院 精神科』にいた。この病院はむかし、精神病院と呼ばれていたそうな。
 窓には、入院患者が飛び降り自殺を防止つるするための鉄格子がはめられていた、とのうわさ。 
 医者は、入院患者を回覧後に、通院患者を診る仕組み。
 
 当時、薬物の過剰摂取には気づいていた。自分でコントロールしようとするができなかった。
 結局、倒れるまで摂取を続けた。精神が不安定になり、睡眠障害、記憶障害になる。
 
 この病院の医師、Kさんのおかげで「アルコール依存」からは脱出できた。だが、睡眠障害は今も続いている。
 この病院の医師、Kさんのおかげで「ニコチン依存」からは脱出できた。だが、煙草を飲んだ影響は累積的で、 禁煙しても、壊れた臓器は回復しない。禁煙して20年になるは肺の機能は回復しない。
 
 いろいろな経緯でいま「抗がん剤」を飲んでいるが、ときどき空咳、痰がでる。
 
 無明=無智の恐ろしさ。若いときは知らなかった。飲酒の障害も、喫煙の障害も知らなかった。
 若いときは知らなかった。飲みすぎると、朝は舌があれ、吐き気がするが、昼頃には回復し、夜にはまた 不摂生な生活に戻る。
 
 酒の害、ニコチンの害は頭では知っていた。でも若いころは症状は一時的ですぐに回復した。愚かにも 回復するものと思っていた。愚かだった。害は臓器に累積し、消えないのだ。
 
 でも、過去は変えられない。嘆かない。悲しまない。怒らない。考えない、受け入れる。
 
 『あさひが丘病院 精神科』はいい病院だった。いい医師に出会った。だが、定期的に医師が変わった。
 いまは、「S メンタルクリニック」に移った。いわゆる、心療内科である。
 
 怒らず
 恐れず
 考えず
 悲しまず
 
 つづく
 

クリニック十話 聖マリ 本院 その9


 2025 11 21

入院


 
 聖(セント)マリアンヌ病院は各地にあるようだ。
 ついに、聖マリ・横浜西部病院のDR Aから、これ以上の処置はここ(聖マリ・横浜西部病院)ではできません、 と宣言される。聖マリ・本院(菅生)のDZ Tへの紹介状を書きましょうと。
 
 ああ、ついに入院、オペなのだ。
 一階に「入退院」窓口があります。事務的な要件のパンフレットをもらってください。
 入退院手続き、病室(個室、複数部屋)。面会、入院中の生活、貴重品の扱い・簡易金庫、ネームバンド、食事、シャワー・入浴、 テレビ・ラジオ、パソコン・スマホ、 洗面用具、下着・パジャマ、洗濯・シーツ交換、各種診断書・証明書の発行、症状別平均入院期間(中央値、最大)。 交通・アクセス。
 
 横浜西部病院で連日の検査で私の記憶装置がやられていたのだろう。当時、晩春だったようなな気がする、が うまく思い出せない。
 とにかく入院する。個室希望。実際に泊れたのはやや高額。保険はきかない。数日して希望の(金額の)個室に移る。
 連日、検査。
 
 驚いたのは、オペの前にリハビリが始まる。リハビリ室は3階。私の個室は17階。看護助手が手押し車で迎えにくる。
 ゴムで上に伸ばした両手を引っ張る。椅子に座って足の上げ下ろし。スクワット20回(しんどい)。オートバイク(20分)、廊下の散歩。 階段の上り下り(しんどい)。
 ふたつの目的がある。 一日中ベッドで寝ていると筋肉が落ちる。体重が減る。それを記録する。オペの後でもリハビリ。筋力、体重がどのように 回復するかを観察する。それらの数値は、毎日主治医に連絡されているようだ。
 
 後日知ったが、リハビリは入院者にのみ行われるとか。通院者にはそのサービスはない。
 
 部屋に備えつけのテレビは見ない、パソコンは持ち込んでいない。米原万理、立花隆、曽野綾子を繰り返し読む。
 
 怒らず
 恐れず
 考えず
 悲しまず
 
 つづく
 
 

クリニック十話   聖マリ西部病院 その8


 2025 11 19

時空が消える


 
 聖マリで多くの検査/手術をする。
 
 同じ場所(臓器)を異なる方法で、異なる方向で検査する。同じ場所(臓器)を異なる精度で検査する。
 カメラ、レントゲン、CT, エコー。
 
 そのうちのいくつかは、部分麻酔、全身麻酔であり、いくつかの検査/手術の場合は誓約書にサインをする。
 「わたしは、▽▽▽の検査/手術を受けます。この検査/手術のリスクは個人差がありますが、 一般(平均)的には×××%で、致死率は○○○%、後遺症の起こる可能性は◇◇◇%であるという、説明を事前に 受けました。サイン」
 
 一週間でひとつの検査。主治医は個々の検査で次の検査を決めているようだ。
 しんどかったのはバリュームを飲みながらおこなうレントゲン検査。縦、横、斜め、回転運動。ゲップが でるとふたたびバリューム。
 
 胃の検査では、胃を空っぽにする。これは簡単。絶食すればいい。
 大変なのは、大腸の検査。
 肛門からカメラを挿入し、S字結腸、上位結腸、横行結腸を通って、下部結腸に至る。
 カメラの挿入、検査は部分麻酔をしているので、苦痛はない。医師と看護婦、研修生の会話が聞こえる。
 ここは大学病院なので研修生の教育実習も兼ねているそうだ。医師が研修生に説明しながら検査が進む。
 
 それにしても、肛門からS字結腸、上位結腸、横行結腸を通って下部結腸までカメラを通すとは!?
 
 問題は、カメラでの観測のために、大腸内の便を出し切る必要がある。
 前夜、強烈な下剤を飲む。さらに、当日の朝から2リットルの別の種類の下剤を飲む。便を観察し記録する。
 前夜の下剤で茶褐色の便、当日の下剤で黄褐色の便。そのうち固形の便はなくなる。液体の便。いわゆる下痢状態。
 これが透明の液体になるまで下剤を飲みつづける。
 下剤を飲むためのベッドは病院にはない。念のために、パンツの下に紙パンツ。幾枚かの紙パンツを持参。
 幸運にも、通院途中で紙パンツを汚すことはなかった。
 
 麻酔をすると時間と空間の感覚がなくなる。ああ、このまま覚めずにあの世に行ければ、と思ったりする。
 
 怒らず
 恐れず
 悲しまず
 
 つづく
 

クリニック十話 痛風 その7


 2025 11 15

田川内科クリニック


 
 聖マリの薬でたしかに痛風の炎症は収まった。
 ①尿酸値を下げる薬、②炎症を抑える薬、③胃の粘膜を保護する薬
 だが万事めでたしとはいかない。
 強烈な胃の痛み。
 
 山口整形と聖マリの薬の違いは②の炎症を抑える薬。
 山口整形の先生は、②の薬は中断し、胃の痛みのためには、近隣の田川内科に相談しなさい、と 田川先生に紹介状を書いてくれる。
 
 田川クリニック。麻酔をして胃カメラを飲む。
 麻酔が覚める。うち(田川クリニック)では対応できません。田川先生は、聖マリの消化器外科へ紹介状を書く。 検診結果のCDが添付されている。
 ここから、聖マリ(聖マリ・西部病院、聖マリ・本院:菅生)との長い付き合いが始まる。
 
 
 怒らず
 恐れず
 悲しまず
 
 つづく
 
◆ 智慧とは。世の中にはコントロールできることとできないことがあることを知ることである。 
 
◆ 明日(未来)のことはわからない(コントロール不能)。過去は変えられない。今、ここに集中する。 
 
◆ 人は無明。この世には考えても人間にはわからないことはある。不思(考)。 
 
◆ 事象と反応の間には選択がある。コビー。 
 
 事象の発生はコントロールできない。だが、それにどう反応するかは選択の自由がある。
 
◆ Pain is invitable. Suffering is optional.
 
 苦痛は避けられない。だが、それをどう受け止めるかは、受け取り側の考え方次第である。
 
◆ 怖れない、怒らない、悲しまない。 
 
 

クリニック十話 痛風 その6


 2025 11 14

山口整形外科、聖マリ:痛風


 
 
 山口先生曰く。「痛風は一進一退ですね。血液検査では腎臓が弱くなっています。 聖マリアンヌ(西部病院)の腎臓科、白井先生に紹介状を書きます」
 
 聖マリでは、街の医者の紹介状がないと原則として受け入れないとか。各種検査。
 
 白井先生、曰く。腎臓がステージⅢです。
 いったん悪化した腎臓は、回復する処方(手立て)はありません。
 これ以上悪くなる(ステージⅣ)になると人工透析ですね。
 
 無明、無智。知らなかったなあ。これまでの人間ドックなどの定期検査で悪化の症状はあったのだろうが。
 
 とりあえず、①尿酸値を下げる薬、②炎症を抑える薬、③胃の粘膜を保護する薬、の処方を受ける。
 
 怒らず
 恐れず
 悲しまず
 
 つづく
 


 
 Pain is inevitable. Suffering is optional.
 

クリニック十話 その5    Pain is inevitable. Suffering is optional.


 2025 11 07

Pain is inevitable. Suffering is optional.


 
 ある夜、慈悲深い女神がわたしの夢の中に現れて、おっしゃった。
 「あなたの足首に尿酸の結晶がたまっています。山口さんにご相談なさい」
 
 明け方、寝返りをうつ。左足の親指あたりに激痛が走る。
 風が当たっても痛いという病気になってしまったらしい。
 
 山口整形外科でレントゲン写真。「ほら、これですね、炎症しています。尿酸の結晶です」
 高齢化、ストレス、腎臓の機能低下。
 
 尿酸値を下げる薬を処方します。患部(左足先)を動かさないこと。氷で冷やなさい。できたら左足を高く上げる。
 2週間程度で、炎症はひきます。はげしい無酸素運動(キックボクシング)はしばらく中止ですね。
 甘く見ると慢性化しますよ。
 
 たしかに、二週間で炎症はひき、痛さもなくなる。
 甘く見すぎた。ふたたびキックボクシングを始めた。
 ふたたび、炎症。セブンイレブンで氷を買う。冷凍庫へ。足先を冷やす。
 
 二週間で炎症はひき、痛さもなくなる。ホーマックで保冷剤を買う。冷凍庫へ。冷やす。
 日常生活で、患部(足先・足首)を動かさないわけにはいかない。ちょこちょこ歩く。
 
 山口整形外科へも、歩行が入る。
 自宅→(歩行)→バス停→(バス二駅)→(歩行)→山口整形→(歩行)→バス停→(バス二駅)→(歩行)→自宅
 
 炎症、回復、歩行、炎症 を繰り返し、ついに慢性の痛風になる。
 
 それから、二年、いまも治療中。
 
 Pain is inevitable. Suffering is optional.
 
 痛みは避けがたい。が苦しみはオプショナル(こちらの受け止め方次第)である。

 
 つづく
 
【蛇足】高齢化、ストレス、腎臓の機能低下は避けがたい(私でコントロールできない)。が山口先生から 患部を動かしてはいけませんと言われていたのに、最初の回復で敵(痛風)を甘く見すぎたのだ。
 
 

クリニック十話 その4 伊勢ノ海眼科


 2025 11 04

伊勢ノ海眼科


 
 手術すればその日で終わりではない。
 数日間は、たぶん炎症防止のためだろうさまざまな目薬を定期的の指したような記憶がある。
 
 さらに、医師は、歳が歳だからと緑内障の定期検査をおすすめになる。
 緑内障は白内障よりも深刻で、悪化すると失明するという。
 毎日一回、眼圧を下げる目薬を使用する。
 
 さらに三か月ごとに通院し、眼圧測定、視力測定、眼底検査、視野検査をする。
 
 この世には、コントロールできるものとコントロールできないものがある。
 加齢とともに、後者が増えていく。耐えるより方法がない。
 
 自然はそのようにできている。怖れず、怖がらず、悲しまず。
 
 つづく
 

クリニック十話  その3 白内障


 2025 11 01

白内障


 

クリニック十話  その3 白内障


 2025 11 01

白内障


 
 ある夜、慈悲深い女神がわたしの夢の中に現れて、おっしゃった。
 「あなたは、平均寿命をすぎ、健康寿命をすぎました。
 次のなかで、ひとつだけを選ぶとしたら、なにをお選びになりますか?」
 
・ 目が見える。
・ 手(指・腕)が動く。 
・ 歩ける。 
・ 自力で不要物を排出ができる。 
・ 朝食になにを食べたか思い出せる。 
 
 「えっ、ひとつだけですか?」
 
 気が付くと眼科で視力検査をうけている。
 片目をスプーンで覆い、いろいろな方向をむいた「C」が遠方のスクリーンに現れる。
 「切れ目はどちらですか?」
 「わかりません」
 「わかるまで、前方に近寄ってください」
 「右です」「ではこれは?」「左です」「ではこれは」「わかりません」
 「視力は 0.02 です」「えっ、0.2 でなくて、ですか」
 
 医師の診察をうける。
 「白内障ですね。眼球の水晶体が濁っています。プラステック性の眼球と取り替えましょう」
 高血圧、糖尿病などの検査。
 
 2週間空きで片方ずつ二回。遠方焦点、日帰り手術。
 手術日を予約する。それから逆算して、スケジュール表が渡される。
 3-4 種類の目薬を数時間ごとに指す。雑菌対策、炎症を抑えるためらしい。
 
 部分麻酔、医師や看護婦の会話が聞こえる。手術自体は5分程度。
 
 視力は 0.02 から 1.2 に回復。遠くは見える。近くは見えない。眼鏡。
 当時、太極拳をしていた。副作用は見えすぎること。仲間の全員が美人だったが、近寄りすぎると醜女(ブス)になる。
 
 米原万理の「不実な美女か貞淑な醜女か」を思い出す。
 
 怒らず
 恐れず
 悲しまず
 
 つづく
 
 


 
 体調不良の時は、書く気も起らないなあ。
 
 急速に自然治癒力が落ちてきたのだろう。避けられないものは耐えるよりない。
 
 少し元気になってきた。
 ブログ原則① 書くことによって我が身を振り返る。
 ブログ原則② だが、ひとに不快感を与えるものを書かないようにしよう。
 「怒らず」「恐れず」「悲しまず」

 

クリニック十話 その2 帯状疱疹(たいじょうほうしん) 


 2025 10 24

帯状疱疹 


 
 野田整体師。顔の表情を見るなり曰く。
 今日の場所は電気治療院ではありません。駅の南側にある「せや皮膚科クリニック」です。
 人の手に触っただけで異常の種類がわかるのだろう。
 
 「せや皮膚科クリニック」に行く。
 帯状疱疹。名前も聞いたことがない。
 水痘・帯状疱疹ウイルスによって発生する病気。右上半身、背中側、肩甲骨あたりに水痘(水ぼうそう)。
 
 水ぼうそうは多くの人が子供の頃にかかる。しかし水ぼうそうが治ったといってもウイルスが消滅したわけで なく、体のどこかにひそんでいて、自然治癒力が低くなってくると、顕れてくる、そうだ。
 クリニックの看護師が、肩甲骨あたりに薬を塗る。
 
 右手を右肩甲骨に回す。左手を右肩甲骨に回す。届かないところがある。
 毎日クリニックに通うわけにはいかない。
 皮膚科医、曰く。「薬局に、孫の手のような器具があり、先端に薬をつける部分があります」
 
 SENOOL4 YUSKIN MADE IN TAIWAN 30センチくらいのプラスティック製の「孫の手」風の棒。
 
 薬はとっくになくなった。幸運なことに副作用もなかった。YUSKIN MADE IN TAIWAN はいまだにある。
 


 
 ここ数年、急速に自然治癒力が落ちてきた。避けられないものは耐え忍ぶよりない。

 

クリニック十話 腱鞘炎

 2025 10 22

 

腱鞘炎(けんしょうえん) 


 
 右手の指が動かない。近くの整形外科に行く。
 待合室は満席。圧倒的に高齢者が多いが、首に保護装置をつけた若い人もいる。
 いろいな角度からレントゲン写真を撮る。異常なしの診断。パソコンの使い過ぎでしょう、そのうちに治りますよ。
 
 数週間が経過。治らない。ある日ふと、駅の向こう側のガラス張りの整体院に入る。
 いわゆる「電気」治療。手の甲と手の表に電極をあて、20分くらい電気を通す。そのあとで、10分程度の赤外線治療。
 
 「どれくらいの期間、治療が必要ですか」「やってみないとわかりません」
 素晴らしい答えだ。
 「まあ、何秒、何分、何時間の正確性はいりません。平均的に言って、月か週単位でどれくらいですか」
 「どうしてもとおっしゃるなら、個人差がありますが、2-3か月でしょう」