脚本家/小説家・太田愛のブログ -17ページ目
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

2015年は新作の小説を上梓する予定です。
『犯罪者クリミナル』『幻夏』に続く、鑓水、相馬、修司のサスペンス・シリーズ第3弾になります。
先日も書きましたように、今回は鑓水七雄が主軸となる物語です。
引き続きお手にとっていただければ幸いです。

また、『相棒season13』では、2月初旬あたりに次の担当回『アザミ(仮)』が放映される予定です。
昨年12月放映の『幸運の行方』の商店街ミステリーから一転して、ガラリと雰囲気の異なる物語です。放映日等、詳細につきましては、また追ってお知らせいたします。いましばらくお待ちくださいませ。

新しい年が皆様にとって良い年となりますように。

羽子板

 
『相棒season13』第8話『幸運の行方』をご覧になってくださったみなさま、また、感想を送ってくださったみなさま、ありがとうございます。

さて、今シーズンの相棒、次の担当回は2月初めあたりにオンエアの予定です。
放映日が決まりましたら、追ってブログでお知らせします。
いましばらくお待ちくださいませ。

師走も半ば。街中ですれちがう人々が、心なしか皆、足早に通り過ぎる時季、ふと、平井照敏さんの句を思い出します。

金色の老人と逢ふ暮れの町  平井照敏

句のまんなかにある「ふ」の柔らかな一文字が、暮れの町の鈍色の大気をあてどなく広げ、金色の老人と、読み手を包み込むように思います。

楽しくも忙しい年の瀬、みなさまどうぞご自愛ください。

snowman

 




『相棒season13」の脚本担当回、放映日が決まりました。

12月10日(水) 21:00~ テレビ朝日系

今回は、右京さん、享君、いつものメンバーに、矢崎滋さん、斉木しげるさん、両ベテランの役者さんがゲストで出演してくださいました。

昔ながらの商店街を舞台にしたミステリです。
矢崎さんは質屋の店主、斉木さんは呉服屋の旦那を演じてくださっています。
右京さん、享君とゲストのお二方との丁々発止の掛け合いを是非お楽しみください。

トナカイ

 

 

 








ご無沙汰しております。
みなさま、お変わりないでしょうか?

前回の更新が春。そして、もうすぐ冬。
四季がなければ、時が経つのに気づかず仕事に埋葬、ではなく、埋没する危険も少々。

さて、12月に『相棒season13』の脚本担当回がオンエアになります。
右京さん、カイト君、いつものメンバーに、素敵なゲストの方々が出演してくださいます。
放映日が決まりましたら、また近々ブログにてお知らせします。
どうぞお楽しみにお待ちくださいませ。

小説もがっつり執筆中です。
鑓水、相馬、修司のサスペンス・シリーズ第3弾です。
今回は、いよいよ鑓水が主軸になって展開する事件になります。生い立ちも明かされます。もちろん、おなじみの脇役たちも適材適所で活躍します。意外な人物の再登場もあります。
乞うご期待。

今年は格別に芳醇で甘かった葡萄の季節が終わり、はやくもクリスマス・イルミネーションに灯がともる頃になりました。
みなさま、お風邪など召しませぬように。

手毬

 



4月17日、ガブリエル・ホセ・ガルシア=マルケス氏が87歳で亡くなられた。

ガルシア=マルケスに熱病のように浮かされた時期があった。
二十歳になった頃、最初に読んだのは『百年の孤独』だった。驚愕の挿話が洪水のように押し寄せる巨大な物語は、紛れもない虚構でありながら、圧倒的な実在感でそれまでの小説体験を爽快に吹き飛ばすものだった。

たとえば、ニカノール神父はチョコレートを飲んでは12センチばかり空中浮揚をしてみせ、それを繰り返して教会建設の募金をせっせと集める。ピストル自殺したホセ・アルカディアの血は一筋の流れとなってドアの下から広間を横切り、通りへあふれて階段を上り下りし、右へ左に曲がって手すりをはいあがり、トルコ人街を駆け抜けて生家の正面で直角に向きを変え、扉の下をくぐって敷物を汚さないように壁際を進み、遂には母ウルスラのいる台所に現れる。

読み始めたその瞬間からマルケスは絶対的だった。

葛藤も、倫理も、幻想さえもマルケスの小説の前では「世界の或る断片」に思えた。マルケスだけが「世界まるごと」を物語として語り尽くす特権的な作家に思えた。フィクションにしたたか打ちのめされる快楽を貪るようにマルケスの小説を読みあさった。

―日曜日に初めてあの男を見かけたのだが、金糸の縫い返しの入ったズボン吊りをし、十本の指に色とりどりの石のついた指輪をはめ、体じゅうに鈴をぶら下げているその姿を見て、ぼくは闘牛場の騾馬を思い浮かべた。(木村榮一訳 ちくま文庫『エレンディラ』より)

短編『奇跡の行商人、善人のブラカマン』の書き出しの一節だ。寓意も隠喩も遠近法もない。ジャストフォーカスで描かれる事象そのものが何より雄弁なマルケスの文体は、いつもすばらしく明晰で、かつ魔術的だ。マルケスはこの文体で、眩いほどに強烈な光にあふれた極彩色の真昼の夢を無数に描き、生と死と喜びと悲しみを測り知れないほどの深さで教えてくれた。

氏の作品と出会えたことに、心から感謝している。


めずらしく風邪をひく。
日が暮れて目を覚まし、白桃の缶詰を食べる。
子供の頃、風邪をひくたびに食べさせてもらった白桃の缶詰。
蜜に濡れたひんやりとした果肉は、ひりひりと乾いた体の内側を、今もどんな薬よりもやさしくなだめてくれるような気がする。
蜜といえば思い出す一首。

蜜吸ひては 花のうへにて 踏み替ふる 蝶の脚ほそし わがまなかひに 
横山未来子

こころを直にあらわさず、対象を見つめることばだけで詠まれた静謐な歌だ。けれども、「踏み替ふる蝶の脚ほそし」という精緻な表現には、ありふれた営みのうちに生の哀しみと厳粛さを見つめる作者のまなざしがあり、それが一首に鋭い緊張感と美しさを与えている。

日付変わって三月十一日午前一時。東京の天候は晴れ。
あの日から三年がたつ。
窓を開けると、街には、空を薄墨色に変えるほどの人工の光がひしめいている。

明けましておめでとうございます。

相棒12元日スペシャル『ボマー』、ご覧いただきありがとうございました。

若干のカット部分はありましたが何と言ってもこのたびは水谷さん、成宮さんをはじめゲストの方々、レギュラーの皆さんの熱演と映画級の迫力の映像に瞠目した次第。

また、関東エリアの方へのお知らせです。
新春『相棒祭り』として、ファンの皆様の投票で「あなたが選ぶ『セレクション』」で1位に選んでいただいた『ピエロ』、8位の『ミス・グリーンの秘密』が、それぞれ明日の午後、あさっての午後にオンエアされます。もしよろしければ、こちらもぜひ。
※あなたが選ぶ『セレクション』結果は→こちらです。

新しい年が皆様にとって良い年となりますように。
では皆様、良い初夢を。

tudumi

 


 
  
  



文芸評論家の西上心太さんが、2013年のミステリー10選に選んで下さいました。
(12月18日 毎日新聞夕刊)

太田愛   『幻夏』     (角川書店)
柚月裕子  『検事の死命』  (宝島社)
中山七里  『追憶の夜想曲』 (講談社)
雫井脩介  『検察側の罪人』 (文芸春秋)
長岡弘樹  『教場』       (小学館)
佐々木譲  『代官山コールドケース』 (文芸春秋)
大沢在昌  『海と月の迷路』  (毎日新聞社)
芦辺拓    『奇譚を売る店』  (光文社)
東野圭吾  『祈りの幕が下りる時』 (講談社)
蓮見恭子  『拝啓17歳の私』  (角川春樹事務所)

先日、WOWOWで録画しておいた『新米刑事モース オックスフォード事件簿』の「華麗なる賭け」を観た。本作は御存じ、コリン・デクスターのモース・シリーズに登場する、あの個性豊かなモース警部の若い頃の事件、という設定で描かれたオリジナルストーリーなのだが、冒頭からの謎の埋め込みと伏線の巡らせ方が見事。特に、終盤の謎解きから結びに至るまで一息で見せ切る大きなフレーズは圧巻。オペラアリアがモチーフのひとつとして登場するのだが、音楽の扱い方の巧みさは、1996年のスコット・ヒックス監督作品「シャイン」を彷彿させる。
新作が楽しみなシリーズだ。


元日SPの予告編が流れたので、そろそろ書いてもよろしいかと。

来年は、今年の『アリス』から一転、ハードな爆弾魔のストーリー『ボマー』。
中村橋之介さん、宇崎竜童さんという豪華ゲストお二人とフレッシュな大和田健介さんを迎えて、右京さんを筆頭に、お馴染みの方々ー伊丹さん、芹沢さん、内村部長、中園参事官、米沢さん、大河内さん、角田課長、大木さん、小松さん、そして峯秋さん、悦子さん、幸子さん、全員、ご活躍なさいます。
先ほど予告編2作を拝見。今回はナイトシーンが多い中、ライティングと撮影が凝っていて思わず「おお!」と唸る。カイト君の顔にかかるブラインドの影や、くわえ煙草の竜童さん、銃声の方向を振り返る橋之介さんなど、とても印象的。
というわけで、伊東仁Pが作って下さった傑作予告編は下記に。
まったく異なるタッチの二つの予告編、version1とversion2がご覧になれます。
個人的には中園参事官の叫びがツボです。
    ↓
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/movie/

さて、引っ越しを終え、どの部屋に行くにも潰した段ボールの山をよじ登り、滑り降りるという童心に帰るが如き遊びがもれなくついてくる今日この頃。(向田邦子先生の脚本に「女ってのは『今日この頃』ってのが好きだねぇ」という台詞があった」)
皆さま、どうぞ胸躍る素晴らしい年の瀬をお過ごしください。
ブッシュドノエル