雷雷が鳴ると、電気を消してベランダの窓も網戸も全開にする。 それから床に座って空を見上げる。 時丸はいつもなら窓を開けると網戸に鼻を押し付けて 外を観察するのに、雷が鳴っていると窓の側には近づかない。 そのくせ部屋からは出て行かずに、私の脇腹のあたりに身体をよせて 同じように空を見上げている。 「おまえ、怖いの?」と訊くと、 「あいつは足音があとから来るからね。ちょっと手ごわいよ」 なんて言わない。 耳をちょいっと傾けるだけ。