雷 | 脚本家/小説家・太田愛のブログ

雷が鳴ると、電気を消してベランダの窓も網戸も全開にする。
それから床に座って空を見上げる。


時丸はいつもなら窓を開けると網戸に鼻を押し付けて
外を観察するのに、雷が鳴っていると窓の側には近づかない。
そのくせ部屋からは出て行かずに、私の脇腹のあたりに身体をよせて
同じように空を見上げている。


「おまえ、怖いの?」と訊くと、
「あいつは足音があとから来るからね。ちょっと手ごわいよ」
なんて言わない。


耳をちょいっと傾けるだけ。



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