政治とメタルと網膜剥離 -67ページ目

石原知事の花見禁止令が招く更なる危機

3月の百貨店売上高が出揃ってきたが、予想通り厳しい状況である。被災した仙台は元より、計画停電の影響を受けた首都圏でも対前年60~80%程度となってしまった。


株式会社三越伊勢丹ホールディングス 売上速報(2011年3月)

2011年3月度 髙島屋店頭売上速報


電力需給が緩和され、営業時間が平常に近くなる今月からは多少売上の回復があると思われるが、現状では対前年を超えるようなことは考えられない。4・5月中は戻しても90~95%程度だろうか。また、6月から9月にかけては、再び電力需給が逼迫する。既に経団連が各企業にピーク時に25%の節電を求めており、これによる消費への影響は避けられない。

東日本大震災:計画停電 経団連が自主節電 ピーク需要25%減、7月から実施

この対策の中には、生産拠点の一時的な域外への移転や長期休暇、週休3日制なども含まれているという。工業・商業問わず、財務的にギリギリでやっているような企業にとっては非常に厳しい4ヶ月間となる。阪神淡路大震災の時の様に、不渡りの猶予などあらゆる措置をとっても、厳しい事態が予想される。


不要不急の消費の中でも、特に厳しいと思われるのが飲食店、それも居酒屋系である。既に3月だけでも非常に大きなダメージをこうむったが、まだ自粛ムードが続く中、6月からは猛烈な節電対策が始まる。所得・雇用への不安が高まる中、利用の減少は必至である。


そんな中、自粛ムードに更に追い討ちをかけるような発言が東京都の石原慎太郎知事からあった。


石原知事“花見禁止令” 戦争時の「連帯感は美しい」(SANKIE BIZ)


常に観念的な石原らしく、感情論としては分かりやすい主張である。しかし、既に経済的に打撃を受けつつあり、自粛ムードが垂れ込める地域の首長が言うべき言葉ではない。


5月までの小康状態を経て、6月から9月の長ければ4ヶ月間、首都圏は残念ながら経済的にはドン底を迎える。この間を耐え抜く為にも、4・5月の稼ぎが重要となる。消費できるときには消費をしてもらい、各企業が体力をつけておかなかれば、首都圏は被災地を援助するどころか、むしろ西日本などから援助される立場になってしまう。小売や居酒屋も、消費を通じて経済に貢献している。その経営悪化は、収入・雇用の悪化に直結する。その影響は他業種の人々にまで及ぶのである。


6月以降の事態は多くの企業にとって非常に厳しいものになる。石原の発言にはその厳しさへの認識や、その際に危機を迎えるであろう多くの企業に対する視点が致命的に欠けている。