政治とメタルと網膜剥離 -63ページ目

それでも闘う亀井静香

亀井静香が孤軍奮闘しているが、そのことを真面目に取り上げるマスコミは少ない。むしろ悪意に満ちた記事が散見される。金融担当大臣時代も、亀井は非常に記者に手厳しかった。その復讐をこのような卑劣な形でしているのだろうか。


以下の記事など、おちょくりが不快極まりない。


首相「一に亀井さん、二に私、三に仙谷さん」って?(asahi.com)


首相は「役人をうまく使えるのは一に亀井さん、二に私、三に仙谷(由人官房副長官)さんかな」とも語ったという。』という亀井の発言が引用され、見出しにもなっているが、亀井が記者会見で語った内容はこんなものではない。


長くなるが、印象に残った部分を引用する。


平成23年4月6日 国民新党定例記者会見より

・・・私は阪神淡路の時のことを、総理に申し上げた。村山さんは、田舎のおっつぁんみたいな総理だったけど、自分を知っていたんです。それが成功させた。自分を知っておられたから、「頼む。頼む。」と言ってやれた。みんな死にもの狂いになったよ、あの時には。だから、十分ではなかったけども、ああいう大震災に対して、ある程度のことがやれた。総理のそういう意味でのリーダーシップがあったからできた・・・


・・・挙国一致をやるという場合にはありとあらゆる人の場合を結集しなければいけない。小沢一郎さんが党員資格を停止し、座敷牢に入れられているわけでしょ。だけど、震災の起きる前(のこと)でしょ、こんな話は。こういう非常事態になったら、誰が考えたって小沢さんは、200名の民主党の国会議員の信を受けた人ですよ。これは客観的事実です。あなたたちが小沢はいつもけしからん、けしからんと言ってもそうでしょう。あの人なりの力もあるし、非常事態だから、総理が「小沢さん、座敷牢から出て、力を貸してくれませんか。」というぐらいのことを、やらなければダメなんですよ。私は他党のことだから、民主党内のことだから、そんなことを言うつもりはないけどもね。今の事態はそういう事態なんです。平時じゃないんです。そうでしょ。国が外国から侵略を受けたら、もう女子供含めて、戦争中は竹槍まで持ってやったでしょう。職業が何だ、立場が何だということと関係なく、私は小沢さんびいきじゃないんです、あの人とは、けんかして手を握ったり、けんかした方が多いんです、あの人とはね。こういう時にそこまでやれば、総理は総力戦で行くんだなと象徴的なことになるんですよ。そうでしょ。パフォーマンスじゃなくて、それぐらいのことをやれば、私は、この大復興をやれる力がこの政権で出てくると思うんですよ。・・・

・・・こんな国難の時の一般論として、小沢さんや、在野にもいろんな人がいると思いますよ。そういう人をやっぱし、参加してもらうんですよ、少々気に入らなくても。 俺だって、「政治力とは何か?」と(総理に)言ったことがあります。「菅さんに好意を持っている人、そういう人の助けを得るのは政治力じゃない。これは誰でもできる。政治力とは、菅の野郎、こんちくしょうと思っている人も協力させるのが、政治力なんだ。」と。 政治力とはそういうことだと、総理に対して震災が起きる前にも言ったけども、そういう意味でもうちょっと非常事態、非常事態という認識をしなければいけません・・・


(引用終わり)


亀井は菅の欠点を良く分かっている。「自分は頭がいいできる人間だと信じ、何でも自分でやりたがる(が、実はさほどできる男ではない)」という欠点所詮菅は担当者、もしくは中間管理職として優秀な程度で、大局観は元々なかった。社民連の頃も、農地の宅地並み課税問題など、細かい政策にのめり込みがちで、配下の秘書や市議を怒鳴りつけ泣かせることも多かった。今回の原発対応を見ても、その当時の欠点がもろに出ている。


ただ、担当者としては無能力でも、人を使いこなすことで難局を乗り切った例として、亀井は村山元首相をあげている。初動の遅さなど当時いろいろ批判はあったものの、連立相手の自民党をうまく使いこなし、結果としては復興に成功した。


実際には「頼む頼む」で、格好いいものではなかったにせよ、形としては自民を使いこなす形となった。しかし、自分の無能を自覚し、人にお願いするというのは立派な能力である。


菅は生半可自分が優秀だと思い込んでいるので、それができない自分より優秀な人間には嫉妬し、使うことができない(仙石を除く)。そのくせ亀井には官僚を使いこなす能力があるとおべんちゃらを言って、ちゃっかり自分も有能だと誇示している。度し難い馬鹿者である。

菅にはおべんちゃらであしらわれ真面目に取り合ってもらえず、復興国債の日銀引き受けも読売の渡邊恒雄には支持されているが、多くのマスコミからは無視されている。それでも亀井は諦めていない。今年75歳を迎え、政治生命もそう長くはないはずの亀井が、死力を振り絞って復興に向けた体制作りに動いている。

震災対策、幻の「枢密院」構想 亀井氏提案、首相難色(asahi.com)

(以下引用)

「対策院は与野党の党首が同意したうえで国会決議で設置。政府、政党、地方自治体、経済界、労働界、言論界の代表者でつくり、原発事故対応や復興の基本方針、具体的な政策立案を行う。政府は提案を丸のみすることを想定。「緊急事態であり、首相は代えられない」として菅首相の続投を前提にしている。」

(引用終わり)


首相を換えることによる政治的空白を避けつつ、菅を復興の意思決定過程から外そうという妙手だったが、恐らくそれを察した菅に忌諱され挫折したようである。


金融担当大臣時代も、亀井の記者会見というのは勉強の成果も窺える内容のあるものだったが、記者クラブ出入りのマスコミからはまともに報道されたことはほとんどなかった。我々は、わざわざマスコミというバイアスを通さなくても、インターネットを通じて直接政治家の発言を知ることが出来る時代に生きている。


これはあらゆる事象に通じることだが、何かおかしいと思ったら「原典」にあたることをお薦めしたい。