政治とメタルと網膜剥離 -57ページ目

「原発震災」を警告し続けた研究者  石橋克彦氏の主張②

前回に引き続き、石橋克彦神戸大名誉教授が展開してきた主張を掲載する。今回は、7年前に衆議院予算委員会公聴会に公述人として招致された時の議事録より紹介させていただく。



【平成17年(2005年)2月23日 衆議院予算委員会公聴会議事録より】

(以下引用。前段略)

 

(中略)

将来、具体的にどういう震災が起こるだろうかと考えてみますと、言ってみれば、広域複合大震災とでもいうべきもの、それから長周期震災、超高層ビル震災とかオイルタンク震災とでもいうべきもの、それからもう一つ、原発震災とでもいうべきものが将来起こり得ると私は考えております。

(中略)

三番目の原発震災ということでありますが、これは私が一九九七年につくった言葉ですけれども、東海地震の場合、東海地震の予想震源域という、地下で地震波を放出すると考えられている領域の真上に中部電力の浜岡原子力発電所がありまして、ことしになって五号機が動き始めました。既に四号、大分年を経た四号までも動いているわけです。
 日本の場合五十三基の原子炉が今ありますが、地震には絶対安全だということになっております。それから中部電力も、浜岡の原発は東海地震には絶対耐えられるとおっしゃるわけですけれども、地震学的に見ますと、いろいろ疑問点はあります。想定の地震、あるいは地震の揺れがまだ不十分なのではないかというようなことです。

 アメリカでは、地震というのは原子力発電所にとって一番恐ろしい外的要因であるというふうに考えられています。といいますのは、普通、原発の事故というのは単一要因故障といって、どこか一つが壊れる、その場合は多重防護システムあるいはバックアップシステム安全装置が働いて大丈夫なようになるというふうにつくられているわけですけれども、地震の場合は複数の要因の故障といって、いろいろなところが震動でやられるわけですから、それらが複合して、多重防護システムが働かなくなるとか安全装置が働かなくなるとかで、それが最悪の場合には、いわゆるシビアアクシデント、過酷事故という、炉心溶融とか核暴走とかいうことにつながりかねないわけであります。

(中略)

この原発震災が起これば、これはもう本当に、物理的にも社会的にも日本の衰亡に至りかねない

(中略)

浜岡だけではありません。例えば若狭湾に十三基の商業用原発がありますけれども、ここも地震の危険性は高いところであります。そういうことからして、全国の原子力発電所の原発震災のリスクというものをきちんと評価して、その危険度の高いものから順に、段階的に縮小する。必然的に古いものが縮小されることになる思いますので、そういうことを考えない限り、大変なことが起こって、世界が一斉に救援に来てくれて、同情してくれるでしょうけれども、逆に世界じゅうから厳しい非難を浴びるということにもなりかねないわけで、こういうことを急いでやることは日本の責務だろうと思います。
(引用終わり)


この論述は、石橋氏のホームページ内 でも紹介されているが「時間が30分に限られていたとはいえ、東日本への目配りが薄かったことは反省しています」との弁が載せられている。しかし、原発における地震の危険性については、中略した部分を含め、これでもかと述べられ、強い調子で警告が行なわれていた。

しかし、当時この主張で日本が大騒ぎになった、という記憶は私にはない。私も含めてだが、オーバーな主張と見過ごされたのであろう。結果として、石橋氏の主張通りの「原発震災」が発生し、地震についても石橋氏が当時述べていた通りの懸念が浮上している。


ただまだ石橋氏が一番懸念していた静岡の浜岡原発は、大地震に見舞われていない。若狭湾についても危険性が高いという。このままだらだらと運転を認めていてよいのだろうか?緊急で実施できる対策は当然行なうとして、可及的速やかに代替発電機能を確保した上で止めていく計画を、一刻も早く作るべきではないだろうか。


次回も石橋氏の主張を中心に書かせていただく。なお、上記リンク先で石橋氏の主張は読むことが出来るので、ぜひご一読いただきたい。