東京電力の役員報酬の減額について
東京電力より以下のプレスがあった。
役員報酬等の減額ならびに平成24年度採用計画の見直しについて 平成23年4月25日
(以下引用)
1.役員報酬の減額について
会 長 総報酬の50%を減額
社 長 総報酬の50%を減額
副社長 総報酬の50%を減額
常務取締役 総報酬の50%を減額
執行役員 総報酬の40%を減額
2.社員給与の減額について
管理職 年俸の約25%を減額
一般職 年収の約20%を減額
(引用終わり)
東京電力の2009年度役員報酬総額は、常勤役員のみで698百万円、一人当たり3,674万円である。これを役職別に推計すると、
会長・社長 5,500万円
副社長 4,000万円
常務 3,000万円
くらいと推定される。大規模な上場企業の役員報酬としては特段高いものではなく、例えばトヨタやソニー、銀行と比べればかなり安い額である。公共的な事業を行なう会社としては、それなりの節度を持った額である(異論はあると思うが)。
ただそれは平時の場合の話である。今回のように原発事故でこれだけの避難民を出した上に、その他の住民にも不安、不便を強いている状況下で、なぜこのような減額幅が決定されたのだろうか?
一般社員の給与は2009年度で平均758万であった。この給与については高いという方も多いと思うが、彼らは原発建設、安全管理などの意思決定において責任ある立場ではない。せいぜい30%減額くらいまでが限度だと思う。
しかし、常務取締役以上が一律50%減というのはどのような考えだったのだろうか?
以下に勝俣恒久会長の取締役就任以降の経歴を引用する。
| 平成8年 | 6月 | 取締役企画部長 | ||
平成9年 |
6月 |
取締役企画部担任 兼業務管理部担任兼総務部担任 |
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| 平成10年 | 6月 | 常務取締役 | ||
| 平成11年 | 6月 | 取締役副社長 | ||
平成13年 |
6月 |
取締役副社長 新事業推進本部長 |
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| 平成14年 | 10月 | 取締役社長 | ||
平成20年 |
6月 | 取締役会長 |
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勝俣会長は平成8年以降、役員を15年近くに亘って務めてきた。仮に現在と同じような報酬額だったとすると、約7億円の報酬(手取りはこれよりかなり少なくなるが)を得たことになる。
いずれはかつて得た報酬も、歴代会長・社長とともに全額を自主的に返納するか、訴訟で召し上げられるかするのかもしれない。しかし、その前にまず東電として反省の意を示すためにも、代表者2名くらいは全額の減額、返上を行なうべきではなかったか。しかも勝俣会長は既に7億円もの報酬を得ているのである。
例えば、ここでいう常務取締役は、せいぜいここ数年に経営層に入ってきた人間である。これまでの収入も会長に比べれば少なければ、勝俣会長などとは責任の重さが違う。そのような軽輩役員とトップの減額幅がなぜ一緒なのか?
確かに人件費全体から見れば、この程度の額は微々たるものである。しかし、多くの避難民が風呂に満足に入れないなど大変な不便を強いられている中で、その元凶たる東電のしかもトップが、年換算で27百万の報酬を得るということが、どのように思われるか東電の経営者たちは思い至らなかったのだろうか?
できればこのような金目の話は書きたくなかった。さすがにこのような状況になった以上、東電の経営者といえども然るべき判断をすると思っていた。
しかし、東電の中枢にはこのような決定に対して異を唱える者がいないようだ。それは東電にとっても哀しむべきことである。
このような甘い処分が罷り通ることは、他の原発を持つ電力会社経営者に対しても、「これだけの事故を起こしても、この程度の処分でよい」との誤ったメッセージを流すことになる。
このような決定が出たのは、東電の経営者が本当は責任を感じておらず、先輩たちのババを引いたくらいにしか感じていないからである。このような無責任な体制化で、大切な国土を、国民の生活を毀損した原発が運営されてきたのである。
もちろん、責任を問われるべきは東電だけではない。が、このような甘い処分が通ることをみなさんはどうお考えになるだろうか?