浜岡原発全面停止に対する各党、各自治体の反応を見る
菅直人首相がついに浜岡原発の停止を決断した。防潮堤ができる2~3年後までの期間限定との保安院のコメントが気になるが、英断である。
浜岡原発は東海地震の震源予想領域内に位置し、近隣にも活断層が走っていることから、津波対応だけでなく地震へのより強固な対応も必須である。もし、福島第二原発レベルの事故が発生した場合、20km圏内にある東海道新幹線、東海道本線、東名高速、国道1号線という日本の東西を結ぶ大動脈4本が寸断され、東北の復興にも日本経済にも致命的なダメージを与えることが予想されていた。停止は当然の判断である。
昨日も書いたが、電力は現在捨てられている民間事業者の電力をかき集めれば、不足分のほとんどを賄えるはずである。4日のブログにも書いた今の東電のように 、一般事業者(工場等)に対して、夏場に向けての余剰電力の買取要請をほとんどしない、などという怠慢は中部電力に対しても許してはならない。もし、そのような姿勢で「電力が足らない」などと言うなら、中電も速やかに発送電を分離するしかない。我々は中電の対応を注視しなければならない。
今回の報道を受けて、各方面が反応している。我々は、これらの発言から、原発利権に浸かっている者としがらみのない者を峻別すべきである。
まずは政党から。
自民、「浜岡停止」に複雑=共社は評価(時事通信)
(以下引用)
自民党の石破茂政調会長は取材に対し「なぜ止めるのか明確な説明が必要だ」と指摘。同党の逢沢一郎国対委員長は「また思い付きで言い出したという印象だ」と語ったが、ともに浜岡原発の運転を続けることの是非には触れなかった。
党内には「稼働中の原発まで止めようとするのはおかしい」(幹部)との声が少なくないが、浜岡原発が福島第1原発の二の舞になりかねないとの危機感は専門家にもあり、「首相批判は難しい」(幹部)との声も聞かれた。党内には「(首相の)要請を評価しなければならない」(河野太郎衆院議員)との意見もある。
一方、みんなの党の渡辺喜美代表は「菅政権が浜岡原発を血祭りに上げて、政権浮揚を図ろうとする思惑が見え見え」と酷評した。
これに対し、共産党の市田忠義書記局長は「一歩前進だ。さらに廃炉に追い込むため追撃していきたい」と表明。社民党の福島瑞穂党首も「ありがたい決断だ。脱原発の未来を切り開く」と語った。
(引用終わり)
石破茂は娘が東電に今春入社したとの一部報道がある。東電は文系の場合、縁故入社が非常に多いことが知られており、彼についても影響力を行使したのでは、との疑惑がある。だからこそ、既にある程度の説明がなされているにもかかわらず、いちゃもんとしか聞こえない駄弁を弄するのだろう。逢沢については論じる価値もない。
みんなの党もこの発言で本性が見えた。この発言はかつて自民党が少しでも民意に沿った施策を打ち出した時の社会党・共産党の発言そっくりである。
公明党は毎日新聞によると、山口那津男代表が「中部電力や静岡県などに根回しした形跡は見受けられず、唐突さがぬぐえない」と述べ、首相の対応を批判したとのことである。これも野党根性丸出しである。根回ししている間に事故があったら山口代表が責任を取るのか?
自治体の反応も様々である。
浜岡原発:全面停止へ 戸惑う地元自治体「あまりに唐突」(毎日新聞)
(以下引用)
石原茂雄・御前崎市長は「話が唐突過ぎて言葉が出ない。海江田万里経済産業相と5日に会って話したばかりだ。地元の意見をよく聞いて3号機の運転再開を判断すると言っていたのに4、5号機も止めるなんて」と戸惑う。その上で「原発交付金に依存する自治体財政はどうなるのか、困惑を通り越してあっけに取られるばかりだ。菅首相は選挙目当てでこんな思い付きを言うのかと勘ぐってしまう。国策に従って原発を受け入れてきた自治体はどうなるのか。中部電力はどうするのか聞きたい」と怒りをあらわにした。
静岡県の川勝平太知事はコメントを発表し「福島第1原発の事故を受け、安全性確保に対する地元の要望を最優先した英断に敬意を表する」と歓迎した。ただし、「国におかれては地元経済に対する影響についても適切に対応していただかねばならない」と注文も付けた。
市の一部が浜岡原発から20キロ圏内にある静岡県袋井市の原田英之市長は談話で「首相は、会見に先立って地元の意見を聞くという、地域主権の原則に反しているのではないか」と不快感を示した。そのうえで「(浜岡原発が)東海地震への備えが万全でないことは理解しているが、仮に原発を止めたときの代替エネルギーの問題をセットで考えなければならず、(要請に)異議がある」と指摘した
浜岡原発の10キロ圏内にかかる掛川市の松井三郎市長は「国の原子力安全・保安院から午後7時50分すぎ、連絡をもらった。浜岡原発についてマグニチュード9クラスの地震にも耐えられる安全対策を求めてきた立場としては、今回の政府の判断は妥当だろう」と述べ、菅首相の判断を一定程度、評価した。
一方で、松井市長は「地元自治体に事前の連絡がなく、首相がいきなり記者会見で発表するなんて、いかにも唐突で遺憾だ」と、不満を示した。
(引用終わり)
御前崎市については、原発交付金について以下の記事があった。
(以下引用)
御前崎市の石原茂雄市長は12日、東京電力福島第一原発の事故を受けて中部電力が浜岡原発の発電計画を先送りしたことで、2011年度原発関連交付金の一部(総額8億8800万円)が削減されることから、市の同年度一般会計予算を含め、15年度までの市総合計画を見直す考えを示した。
削減となるのは、6号機の新設に関する国の電源立地等初期対策交付金と、4号機プルサーマル計画の県の核燃料サイクル交付金。削減分は、各種原発関連交付金の総額約25億3000万円のうち8億8800万円で、市の一般会計予算(167億8000万円)の5・3%を占める。
初期対策交付金は、中電が6号機新設に必要な環境影響評価を10年度中に開始できなかったため、開始翌年度から交付される8億4000万円が削減となる。市は今後10年間で総額51億5000万円を見込んでいた。
核燃料サイクル交付金の削減額は4800万円。県が地域振興計画を国に提出できなかったため。同交付金はプルサーマル発電に使われる混合酸化物燃料(MOX燃料)が原子炉に装荷された年度から、総額41億1000万円が交付される予定だった。
市は11年度の交付金を、道路や運動、公共施設の整備、消防署庁舎用地の取得、小中学校の運営などの事業に予算付けしていた。
(引用終わり)
他の自治体が引き受けない原発関係の施策について、一つ受けたら何十億円、という札束で横っ面をひっぱたくようなことが御前崎市でも行なわれてきた。これは週刊誌等でも指摘されていたが麻薬と言ってよい。そのため、御前崎市長も市民の安全や日本の将来より、目の前の財政(楽に手に入る財源という麻薬)しか目に入らなくなってしまっている。浜岡原発という身近にある危険に対する反応も中毒具合によるようである。
浜岡原発に関する決定は飽くまで一時停止で廃止ではない。しかし、歪み、腐りきった現在の原発推進体制を見直す貴重な時間を得ることができた。この間に、多くの方に原発推進の実態を知っていただきたい。
特に以前も述べたが、原発推進と電力会社の発送電一体体制は表裏一体の関係にあると考えている。世界的に高い電気料金もこの二つが原因と考えている。いずれ詳しく書かせていただきたい。