
今回は高校の化学の教科書に出ているボルタ電池を再現してみたいと思います。
ボルタ電池なんていうと、難しいように感じてしまいますが、
電池としては一番簡便な方法ですし、基本的なイオン化傾向を知るのに
いい教材であるわけです。
しかし、高校ではそのしくみはしっかりとやる割に実験をしない
ところが多いので、一時的に覚えてもすぐに忘れてしまうところだったりするわけです。
実はマイクロスケール実験を使えば、非常に簡単にできてしまうわけなんですね。

まずはフイルムケースを用意して、ふたに切り目を入れます。
実は入れ物はなんでも構いませんが、ふたがあるものの方が金属板が安定します。

入れた切り目に亜鉛板と銅板を挟んでおきます。
亜鉛板がない場合はアルミ板でもOKです。
これらは普通にホームセンターで売っていますが、
理科実験用の金属板は売っていますので、それを利用してもいいですね。
挟んだ金属板にあらかじめみのむしクリップを挟んでおいてもいいです。

3Mの塩酸をフイルムケースに入れて、金属板を挟んだふたをします。
すると、亜鉛板から激しく泡が出て反応し始めます。
塩酸によって亜鉛が溶けていて、その際に電子を放出するんですね。
電子を放出する方がマイナス極になるわけです。
塩酸はドラックストアで買うこともできますが、許可が必要です。
でも、普通にトイレの酸性洗剤でOKですので、安心してください。

電圧計で電圧を測ってみると、約0.6Vであることがわかります。
亜鉛が溶けることで電子を放出して、放出した電子を銅が受け取ることで、
電子が移動して電気が流れているというわけなんです。
でも、電子メロディやモーターは1V以上ないと動かないので、
これで動かすことができませんでした。
これらは少ない電流でも動かすことができるのですが、
ある程度の電圧がないとダメなんですね。

じゃあ、2本ならどうだというわけで、同じものを2つ用意して、
直列につなぎます。
ここからは動画でどうぞ。
すると、電子メロディが鳴り・・・
モーターを動かすこともできました。
動画でよく見るとわかりますが、遠くでケースから泡が出ていることがわかり、
亜鉛が溶ける様子もわかります。

電圧を測ってみると、1.4Vでほぼ単3の乾電池ほどの電圧を保つことができました。
さらに電極同士のイオン化傾向の差が強いものに変えることで
強い電気を起こすことができますが、
亜鉛板をアルミホイルに変えても、電気を強くすることができませんでした。
原因としては、アルミホイルと亜鉛板では薄さが違うので、
厚さを同じにすることで、比較になるのかなって思っています。
なので、また理科実験用のアルミ板を買わなきゃです。
さらに鉄版や銀板など、いろいろな金属板でやりたくなったので、
その金属板のセットも欲しいところですが、
思ったよりも高いので、予算しだいかなと思ってしまいます。
いずれにしても、これをやらせることで実感になるのかなって思っていますので
近いうちに教え子にやらせてみようと計画しています。
そんなわけで今日の実験でした。