わかってないな。これは映画なんだよね
ジェームズ・キャメロン監督のSF超大作「アバター」が世界中で大ヒットを続けるなか、バチカン市国のロセ..........≪続きを読む≫
映画でしか、表現できないものがある。
キャメロン監督は、それを知っている。
タイタニックもそうであったように、キャメロン監督の映画は、劇中への没入感が深い。
それは観るものに、あたかも豪華客船に乗船したような感覚を与えた。
アバターは、さらにそれが深い。
見たこともないような、異境の惑星に、観客は立つことになる。
小説などでは、こうはいかない。
見たことも聴いたこともないものを、饒舌に文章で語るのは、酷く困難だし、
読み手によって、理解できない場合もある。
その点、映画ならば、観れば一瞬にして情景を理解できる。
ストーリー?
物語を語るだけなら、小説で十分だろう。
映画は、物語を越えたところに、今やあるのだ。
もっとも、
ストーリーもしっかりしているのだが。
なんで、酷評するのかな?
タイタニックのときもさまざまなメディアから、クソ味噌に酷評されたが、多くの人は耳を貸さなかった。
逆に、多くの人々が劇場に足を運んだ。
批評家たちは、エンターテイメント性の高い、大作映画が嫌いなのだろう。
彼らはいつも、あくびをしたくなるような、つまらない映画を絶賛するのだからね。
エンターテイメント性が高ければ、芸術性が低い。
批評家たちは、そう思ってないか?
アバターを観れば、その芸術性の高さも、実感できるはずなのだが。
毎度のことだね。
話題の映画に対しての、酷評、非難の類は。
映画好きならば、観るべきだよ、この映画は。
そして、ガンダム世代や、ファンタジーモノが好きな人にも、観てほしい。
ガンダムや甲殻機動隊などのSFが好きな男と、
ロードオブリングなどのファンタジー映画が好きな女。
そんな二人が、仲良く観に行ける映画です、アバターは。
死ぬときに思うこと
生きることを。
常に、
生きることを。
レイモンド・カーヴァー
人の一生って、何なのだろうか。
そんなことを考えても意味なんてないのかもしれない。
ただ言える事は、死ぬ寸前に何を思ったか。
それが、その人間の生き様を象徴するように思える。
「最後まで、ひでえ人生だったな」
そんな悔悟のつぶやきとともに、息を引き取る人もいるだろうし、
「まあ、楽しかったよ、俺の人生は」
などと嘯く人もいるだろう。
今が最悪でも、
最後の一日だけでも、
幸せな一日ならば、生きる価値もあるのではないか。
逆を言うと、
死ぬまでこんな状況ならば、今すぐ死ぬべきだ。
俺は、
希望も何もないのに、
仮想の希望を作り出し、
生きることの理由付けをしているに過ぎない。
とにかく、最悪だ。
疲れ果てた。
10.1.8~疲労と徒労と、終焉と
たったひとつ行動を起こすだけで、それまでの迷いや
不安がすべてクリアになる事もある。
ロバートハリス
バイトの帰り道、携帯が鳴った。
~◯万円おろしてきてね。銀行から何度も電話きてるから。
娘の母親からのメールだった。
今日はバイトの給料日で、振込日には必ず、嫌みと共に金を持ってこいとのメールを、送りつけて来るのだった。
ご苦労様の一言も、なかった。
あたりまえだ。
あいつは俺を、殺そうとしているのだから。
帰り道、金をおろした。
二千円ほど余ったが、また何かを支払えと言うに違いなかった。
俺は二千円を、財布に入れた。
帰宅すると、食い物を探した。
卵があったので、それを二つ焼いて喰った。
それでも昨晩よりマシだった。
昨夜は卵すらなく、飯にマヨネーズを振りかけて喰ったのだ。
飯を食い終えると、仕事に行く時間で、息つく暇も無かった。
娘の母親の顔など、観たくは無かったので、
俺は居間の扉を開け、金を置いた。
娘の母親は、金に一瞥をくれると、一枚の請求書を俺に投げつけた。
「これ、払って来てくれる!」
請求書の額を見て、俺はこう返した。
「先月は風邪をひいたり、いろいろあって何回かバイトを休んだから、これを払う金は残っていない」
「じゃあどうするわけ!お金ないのよ!誰が払ってくれるのよ!」
以前に一度、バイトの給与明細を、娘の母親に見せた事があった。
その後、口座からおろした額と、支払いに当てる金で、全てが無くなった。
きっちりと計算し、俺の手元に金が残らないようにしているようだった。
先月、俺の手元に残った金は二百円。
今月も、俺が休まずに働いていたら、二百円残った筈だ。
俺は家を出た。
気分が悪かった。
金が無い金が無いと、俺と顔を合わせるたびに、なじられた。
しかし、俺に打つ手は何も無かった。
三時間眠るだけで、後はバイトと仕事なのだ。
これ以上バイトを増やせるわけも無かった。
たまの休みに読書やpcをしていると、俺の行動は、娘の母親の親兄弟や友人全てが、閉口しているのだと、またなじられた。
俺はどうしたらいいのだ?
やはり、この家を出るべきだ。
殺されてしまう前に。
車の中だけが、安息な空間だった。
自室に居ても娘の母親は、ノックもなしに入って来て、好きなだけ俺を愚弄し、また居間に戻る。
部屋に居ても、落ち着けない。
仕事とバイトの往復。
それだけが、誰にも冒される事のない自分だけの空間であり、時間だった。
家を出て数分後、またしても、メールが来た。
~払えないってじゃあどうしたらいいの?
誰がどうするっていうの?
あなたはいつもなんでもほったらかしじゃない。
電気代も無いし、◯◯(娘の名前)の月謝も借金で払ってるのよ。
俺は。
もう。
駄目だな。
心底疲れた。
最後の手段が、頭を掠める。
終わりにしたかった。
全てを。