日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。 -73ページ目

娘の母親〜いったい、どうなっているのだ??

病院から

今日は通院日だった。

採血を終え、ロビーで順番を待っていた。

TVには、ちょっと面白い番組が流れていた。


イタリア。

ベローナ。


その街に、世界中から恋の悩みを託した手紙が届く。

ジュリエットに宛てて。

届いた手紙に、街のボランティアがジュリエットの秘書として、返事を書く。

とてもあたたかい話だった。

恋の悩みも様々だった。


人種。

政治。

宗教。

家柄。


容易に克服できそうもない問題の数々。

人は愛なしでは生きられない。

これは真実だと思う。

ボランティアが、無償で返事を書く。

その行為は紛れもなく、愛に違いない。

見返りを求めた時点で、愛は消え去り、つまらない契約へと変わる。


結婚は契約か?


俺はそこで、考えるのをやめた。



雨は止んだだろうか?

俺は診察後、何をしようかと、ボンヤリとした頭で考え始めた。

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本の不思議

俺は倦怠とともに、目を醒ました。

部屋の中はまるで豚箱で、数日前から片付けを始めたのだが、

その様相に変化は無かった。

外は晴れている。

北側のその部屋にも、光は弱々しく進入し、

俺の周りを青白く照らした。

刹那、絶望が腹の底から湧き出し、俺を蝕もうとする。

俺は呻き、眼をつぶり首を振った。

眼を開けると、ゴミの山のような部屋の隅に、一冊の本が転がっていた。

俺はそれを手に取り、無造作に開いた。

そこには、こう書かれてあった。


朝、目醒めたならば、今日一日、誰か一人でもかまわないので、
他人や知人を喜ばす事を考えるべきだ、と。


俺は本を閉じ家を出た。

その日、俺は数人を笑わせ、笑顔にした。

その時だけ、嫌な事を忘れる事ができたのだった。


本とは不思議なものだ。

ふと目にしたセンテンスが、驚くほどその時々の状況を言い当て、
問題解決の糸口になったりする。


あなたも、書店などに足を運んだ際、騙されたとおもって、一度試して欲しい。

きっと驚く事になる、と思うから。


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