日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。 -334ページ目

病気

妻が病院から、帰ってきて、言った。

今日は子供と一緒に寝ないと。

インフルエンザである。



俺は、布団をひくために、妻のところへ言った。


「手伝うよ」


「いいよ」


やはり、機嫌が悪い。

熱も出ていて、つらいのだろう。

俺は、そっとしておいた。


妻は、部屋に寝床を作り、寝たようだ。



俺は子供に、飯を食わせ、風呂に入れた。

歯を磨がせて、寝室で寝かしつける。


絵本を、一冊読んだ。


子供が寝た後、ちょっと、妻の様子を見にいった。

穏やかな寝顔だった。


俺は部屋へ行って、布団に潜り込んだ。



すぐに、寝たようだった。




深夜、妻の呻き声で目が覚めた。




様子を見に、妻の部屋に入ると、咳をし、かなり辛そうだ。


「大丈夫?」


何も答えない。

額に手を、当ててみる。

熱が出ているようだ。

洗面器に水を汲み、タオルを絞って、額に当てる。


「大丈夫か?」


何も答えない。

出て行けとも、言われなかった。


束の間、妻の寝顔を見ていた。

抱き寄せ、唇を押し付けたい衝動に駆られた。


思いとどまった。

もしそんなことをすれば、きっと拒絶されるだろう。



「なんかあったら、呼んでくれ」





やはり、返事はなかった。




部屋に戻ると、今度は、子供の泣き声が聞こえた。

ショッピングセンター

「ちょっと出かけたいから、車の運転して」


その言葉で、起こされた。



俺は、何も聞かないまま、車を出した。

余計なことを聞くと、また喧嘩になる。

それは、嫌だった。

黙っていても、曲がるときには指示が出るのであった。


ショッピングセンターに着いた。

くじ引きである。


またか。


心の中で、呟いていた。


一度、ここのショッピングセンターのくじ引きで、当たった事がある。

ハンドルを回すと、赤球が出てきた。


はずれ。


くじ引きが終わると、すぐに車に乗り込む。


次に行ったのは、また同じ名前のショッピングセンターだった。


また、赤球だ。


そして、また移動。



赤球を、五回引いた。


広範囲に広がる、ショッピングセンターをすべて回ったようなものだった。

「飯はどうする」

「これでいい?」




ショッピングセンターの、食料品フロアー。

そこで弁当を買い、フードコートの端で、家族で食った。

これが、一番安上がりなのである。


それに、子供が騒いでも、あまり気にならない。



美味いな。

思わず呟いていた。


まあまあね、妻が、言った。


娘は、顔中米粒だらけで、笑っている。

一日の始まり。

妻の怒りは、朝から俺に向けられる。

不機嫌なんだよ。

そんな空気を全身に纏って、俺に、無言の圧力をかけてる。


何かしろよ。


そう俺に、態度で言っている。

俺は、自分の仕事を探した。

子供の面倒をみよう、そう思った。

俺は、子供と一緒に、おもちゃで遊んだ。



 「そんなとこ座っていないで、自分の仕事してよ」  



今度は、はっきりと言葉で言われた。

頭を回転させた。

俺の仕事?

子供に飯を食わせることだろう、と思った。


子供と一緒に、朝食を摂った。


そして、いくつかの嫌味を俺にぶっつけ、妻は出かけていった。


朝から、ひでえな。

呟いていた。



子供が、牛乳と、俺に言った。