病気 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

病気

妻が病院から、帰ってきて、言った。

今日は子供と一緒に寝ないと。

インフルエンザである。



俺は、布団をひくために、妻のところへ言った。


「手伝うよ」


「いいよ」


やはり、機嫌が悪い。

熱も出ていて、つらいのだろう。

俺は、そっとしておいた。


妻は、部屋に寝床を作り、寝たようだ。



俺は子供に、飯を食わせ、風呂に入れた。

歯を磨がせて、寝室で寝かしつける。


絵本を、一冊読んだ。


子供が寝た後、ちょっと、妻の様子を見にいった。

穏やかな寝顔だった。


俺は部屋へ行って、布団に潜り込んだ。



すぐに、寝たようだった。




深夜、妻の呻き声で目が覚めた。




様子を見に、妻の部屋に入ると、咳をし、かなり辛そうだ。


「大丈夫?」


何も答えない。

額に手を、当ててみる。

熱が出ているようだ。

洗面器に水を汲み、タオルを絞って、額に当てる。


「大丈夫か?」


何も答えない。

出て行けとも、言われなかった。


束の間、妻の寝顔を見ていた。

抱き寄せ、唇を押し付けたい衝動に駆られた。


思いとどまった。

もしそんなことをすれば、きっと拒絶されるだろう。



「なんかあったら、呼んでくれ」





やはり、返事はなかった。




部屋に戻ると、今度は、子供の泣き声が聞こえた。