日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。 -226ページ目

Answer Book なるもの

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それは、本屋の一画にあった。

ユルイ感じのする、エッセイなどが並ぶ、女性向けの棚である。

それを手にとる。

開いたページに答えがある。

そんなことが、帯に書いてあった。

適当に、開いてみる。



そこに現れた文字を見て、俺は一瞬はっとした。


そして、片側の口元だけを上げて、声を出さずに笑った。

やっぱり、あれか

「わたしはもう疲れた。先に寝るから○○歯磨させて」

娘の歯磨き。

言われなくても、わかっている。

いつもやっている事だった。

何度も言うな。

そう思いながら、逃げる娘を追った。

また妻の声。

「ちゃんとガス、確認してよね」

ウンザリだった。

火の元の確認くらい自分でやったらどうだ。火を最後に使ったのはお前だろう。

頭の中で思っていたら、急に妻がキレた。

「なによ、その嫌そうな顔は。火の元の確認くらいなんで出来ない訳。本当に馬鹿じゃないの」



今まで、何事もなく一日が終わった事などあっただろうか。

そんな日はなかった。

どんなに小さな事でも、自分が気に入らなければ、何かしら俺を非難する。

こ馬鹿にする。



一日だけでいい。

気分よく、一日を終えたいものだった。


つねに絶望を与えられ。

たまに希望をみせられる。

だから、別れようとまでは思わないのかもしれない。

ひょっとしたら、うまくいくかもなどと、考えてしまうからだ。

それでも、近頃はこう思う。

こんな生活、何が楽しい?

俺の事を、虫けらくらいにしか思っていない奴と、一緒に生活をして、なんの報いがある。


そろそろ、決断するすべき時かもしれない。

全てはそこに

こちらが忘れていたような事も、妻は正確に覚えていた。

親戚との会話の内容である。

身内で取り交わすなんでもない話なのだが、それを持ち出し、どんなに俺が駄目な男かと、延々とまくし立ててくる。


下手に反撃しても、まず勝ち目はない。


それでも、黙って聞いていられそうもなかった。

「何で顔を合わすたびに、文句ばかり言う訳」

「言わなけりゃ、わからないからよ」

話す気力も無くなった。

妻はしゃべり続ける。

聞く気にもなれなかった。

「あんまりじゃないか」

それだけ言い部屋を出た。

俺は身構えた。

いつもなら、罵声を浴びせられるからだ。


その日は、いつもの怒声は、俺を追っては来なかった。