日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。 -196ページ目

金曜日の深夜。


アルバイトが終わった。午前四時。


財布の中には300円しかなかった。


24時間のディスカウントスーパーへ行き、半額のコロッケとレトルトのハヤシライスを買った。




帰宅すると、案の定、妻子はいなかった。


午後7時から、午前4時まで何も口にしていなかったので、腹が減っていた。


ハヤシライスで飯をかき込み、そのまま眠った。



土曜日は仕事は休みだったが、深夜のアルバイトがあった。


昼近くに起床し、コロッケで飯を食った。


一人、家の中で過ごした。



飼い猫を無理矢理つかみあげて、抱いた。


抱き上げるとき、不本意だというように、一声妙な鳴き声をあげたが、抱いてしまうとおとなしくなった。


ひとしきり、猫に話しかけた。


目を合わすことなく、どこか別なところを見続けている。


少し腹が立ったので、怒鳴り、きつく抱きしめた。


また、不本意な鳴き声を上げた。



腕の力を緩めると、素早い動きで逃げ出した。


後ろを振り返り、鋭い目で一度俺を睨み付け、そのまま安全圏外へ移動し、床の上で丸くなった。




「お前がかわいいから抱いている」




言っても、顔は床に伏せたままで、こちらを見ることもなかった。



犬と違って、向こうから寄ってくることなどなかった。


そこが腹立たしかった。


こちらの愛情を受け入れない。孤独な寂しい生き物なのだ。





「おい、お前は何が楽しくてこの家にいるんだ」


猫が首をもたげて、俺の方を向いた。


そのとき猫が、俺に話しかけてきた。





「お前もな」

他人

「くそったれ、いくら何でも酷すぎるんじゃないのか」


「・・・・・・」


「おい、聞いてるのかよ」


「全く最低だなおまえは」


「・・・・・・」


直接顔を付き合わせているわけではなかった。


一階と二階。


階段に足を掛け、そこでとまり、俺は自室へ戻った。



義母が一緒だった。


ここは俺の家だが、俺の家とは言えない。


母子と孫の家なのだろう。



俺一人他人なのだ。


義母は、好きなときに来て、好きなように過ごし、好きな時間に帰っていく。


それでも俺は、何も言えなかった。





ばかばかしくなってきた。


もうどうでも、いい。


好きにすればいいのだ。


汗が噴き出してきた。


扇風機が欲しかった。



それは、一つだけで、俺以外の「家族」が使っている。


映画 「ハプニング」

この人の映画が好きだ。


シックスセンスは、ちょっとした驚きとともに、その後の映画鑑賞の基準となった。



あのときの驚きをまた味わいたい。


しかしそれは、未だ叶わないのだった。



サインのような、オチでなければいいのだが・・・。




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おためしあれ