猫 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

金曜日の深夜。


アルバイトが終わった。午前四時。


財布の中には300円しかなかった。


24時間のディスカウントスーパーへ行き、半額のコロッケとレトルトのハヤシライスを買った。




帰宅すると、案の定、妻子はいなかった。


午後7時から、午前4時まで何も口にしていなかったので、腹が減っていた。


ハヤシライスで飯をかき込み、そのまま眠った。



土曜日は仕事は休みだったが、深夜のアルバイトがあった。


昼近くに起床し、コロッケで飯を食った。


一人、家の中で過ごした。



飼い猫を無理矢理つかみあげて、抱いた。


抱き上げるとき、不本意だというように、一声妙な鳴き声をあげたが、抱いてしまうとおとなしくなった。


ひとしきり、猫に話しかけた。


目を合わすことなく、どこか別なところを見続けている。


少し腹が立ったので、怒鳴り、きつく抱きしめた。


また、不本意な鳴き声を上げた。



腕の力を緩めると、素早い動きで逃げ出した。


後ろを振り返り、鋭い目で一度俺を睨み付け、そのまま安全圏外へ移動し、床の上で丸くなった。




「お前がかわいいから抱いている」




言っても、顔は床に伏せたままで、こちらを見ることもなかった。



犬と違って、向こうから寄ってくることなどなかった。


そこが腹立たしかった。


こちらの愛情を受け入れない。孤独な寂しい生き物なのだ。





「おい、お前は何が楽しくてこの家にいるんだ」


猫が首をもたげて、俺の方を向いた。


そのとき猫が、俺に話しかけてきた。





「お前もな」