日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。 -110ページ目

終業2時間前

またもや、偏頭痛に襲われた。


腹痛は治ったが、腰痛は治まっていない。


今日は、2点セットだった。


そして、頭痛が酷い。


我慢ならなかった。



仕事にならなかった。



俺は、仕事を抜け出し、頭痛薬を買うことにした。


金は無い。


カードで買う以外に無かった。



薬屋に行き、一番安い頭痛薬を買った。



水なしで、そのまま飲み下した。



俺は薬が効力を発揮するのを待った。


待っている間も、当然ながら偏頭痛は続いている。



10分。


20分。


30分。



何の変化もなかった。


薬をケチったせいなのか。


そもそも、薬などで収まる類のものではなかったのか。




くそったれが!




俺は、悶絶しながら、仕事を続けた。



そして。



数時間後には、眠って、またバイトだった。





このままで、俺は持ちこたえられるのか?




そのとき俺は、少しだけ死を意識した。




痛みの三点セット

頭痛。

腹痛。

そして、腰痛。

意欲や思考力も失われ、

洗濯はおろか、書く事など、出来はしなかった。


一日休んでも、体調は良くはならなかった。


それでも、日が替われば、バイトに行き、仕事に行くだろう。


その日は休日だった。

娘とその母親は、水族館に出かけていた。


一緒に出掛ける事を強要されたが、俺は従わなかった。

とてもじゃないが、体がもたないだろう。

俺はひとり家に残り、ひたすら眠っていた。


日が沈んだ頃。

娘達が帰宅した。

すぐに、夕食が用意されているようだった。

俺は自室で、食卓に呼ばれるのを待っていた。

しかし、呼ばれることはなかった。


娘と、その母親の談笑が、聞こえてくる。


まあ、どの道、食欲などありはしないのだが。


俺はまた、腹痛に襲われた。

ただじっとして、痛みが治まるのを、まった。

とにかくもう、たくさんだった。

詩「二両目の女」

君にはじめて出会ったのは、ある春の、二両目の列車のなか。

ポニーテイルに、ピンク色のシャツに、ミニスカート。

何か嬉しそうに、携帯を開き、微笑んだりしてた。

朝日が君の唇を輝かせる。


天使が君を祝福してた。


僕は毎日、君の列車に乗り、君の隣に立った。

夏。

君の肌が、小麦色にかわり、ノースリーブの肩からのぞく水着の跡。

少しだけ、派手になったんじゃない?


君は、天使に愛されていた。


秋が香る季節。

いつもより遠く、街が広がって見えた。

君は酷く落ち込んでいるようだった。

携帯を開く事もなく。

茫洋とした視線を、秋風がさらってく。

ミュージックプレーヤーを耳に入れ、時々眼をとじたりして。

そのとき僕は見たんだ。

君の頬を伝ってゆく、涙を。

僕は君の、ミュージックプレーヤーの、曲目表示を盗み見た。


ハナレグミ。

さらら。


翌日から。


二両目の、いつもの場所で、君を見かけることは、二度となかった。


そう。


天使は君を連れてったんだね。