小説 猫と女 第四話
前回までのあらすじ。
猫を探しに突然女がやって来た。
いきなり僕の部屋に上がり込む女。
冷笑を浮かべ、僕を見下す視線。
しかし、そんな視線に言いようの無い心地よさを感じる僕。
この女は、はたして暴力的なビデオに出演していた女なのか。
僕は女を、女として意識し始めていた。
猫と女 第一話
猫と女 第二話
猫と女 第三話
新見美和は僕の上にまたがり、僕のものを飲み込んだ。
始めてそうなったとき、僕はそれだけで果ててしまった。
そのとき、新見美和は僕のことを蔑むことも無く、優しく抱きしめてくれた。
これで何回目なのか。
新見美和は当たり前のように僕の部屋にやって来て、僕と体を重ね、冷蔵庫を開けて何かを食べて、帰って行く。
時には食べ物と酒を携えてやってくるときもあった。
猫は何度も僕の部屋に戻って来ては、新見美和が連れ帰り、そしてまた戻って来た。
その度に僕は、新見美和に弄ばれる。
いや、僕は快楽に恍惚とし、新見美和が現れるのを心待ちにするようになっていた。
猫のおかげなのか?僕は心から猫に感謝していた。
新見美和の行為は、いたってノーマルだった。
すべての行為が新見主導で行われる以外は。
それはキスから始まり、全身を愛撫される。そして一つになる。
僕はただじっとしているだけだった。
新見がアダルトビデオに出演していたという疑惑は、もう抱いていなかった。
しかし、僕はあることを期待していた。
新見美和に、痛めつけられながら、果てることを。
その日。僕が帰ってくると新見美和は既に部屋にいた。猫を抱いて何か話しかけているようだった。
キッチンにはスーパーの買い物袋が二つ置いてあった。
僕は美和の様子が何か少しおかしいと思った。
よく見ると、
美和は、猫に話しかけながら、泣いていた。
「ねえ、知ってる?」
「何ですか、美和さん?」
僕はいつだってこうだ。彼女を呼び捨てになどできなかった。いつもさん付け。
ほんとうに、情けなくなってしまう。しかし、それが心地よかった。
彼女は涙を隠そうともせず、頬に伝うがままにして、僕の方をみてこう言った。
「猫って………」
猫は美和に頭を撫でられ、ぐるぐると喉を鳴らしている。
その音が、僕にもはっきりと聞こえた。
「自分が死ぬ姿を人に見られたくないのよ」
「え?」
「だってそうでしょう?死ぬときは猫だって人間だってひとりなの。そのことを猫はちゃんとわかってる」
「………」
「だからジュン。この子が年老いて、その時が来たら決して家にとどめて置かないでね。ちゃんと外に出してあげて」
「それは僕じゃなくて、美和さんがそうしてあげればいいじゃないですか。美和さんの猫なんだし」
美和は悲しげに笑い、僕の元にやって来て唇を重ねた。
僕は母親に手を引かれる子供のようにベットに導かれ、
服を脱ぎ、
下着を脱ぎ。
それから。
いつもなら、そのまま僕の上にまたがる美和が、その日は先にベットに入った。
僕はどうして良いかわからなかった。
美和が手を差し伸べる。
僕は美和の隣に体を入れてキスをした。
僕が体を重ねると、美和は何処に隠していたのか、スカーフをとり出した。
僕ははっとし、鼓動が倍の早さに跳ね上がるのを感じた。
体全部の血が、下半身に一瞬にして集まってしまったかのような。
ついに、美和は本性を現したのだ、と僕は思った。
僕は心の中で歓喜した。
このスカーフで僕を縛るつもりに違いない。
僕が望んでいたこと。
新見美和に、あのビデオのように痛めつけられることを。
しかし、それは叶わなかった。
美和の濡れた唇から出た言葉は、僕の想像を超えるものだった。
「ジュン」
「………」
「わたしを縛って」
猫を探しに突然女がやって来た。
いきなり僕の部屋に上がり込む女。
冷笑を浮かべ、僕を見下す視線。
しかし、そんな視線に言いようの無い心地よさを感じる僕。
この女は、はたして暴力的なビデオに出演していた女なのか。
僕は女を、女として意識し始めていた。
猫と女 第一話
猫と女 第二話
猫と女 第三話
新見美和は僕の上にまたがり、僕のものを飲み込んだ。
始めてそうなったとき、僕はそれだけで果ててしまった。
そのとき、新見美和は僕のことを蔑むことも無く、優しく抱きしめてくれた。
これで何回目なのか。
新見美和は当たり前のように僕の部屋にやって来て、僕と体を重ね、冷蔵庫を開けて何かを食べて、帰って行く。
時には食べ物と酒を携えてやってくるときもあった。
猫は何度も僕の部屋に戻って来ては、新見美和が連れ帰り、そしてまた戻って来た。
その度に僕は、新見美和に弄ばれる。
いや、僕は快楽に恍惚とし、新見美和が現れるのを心待ちにするようになっていた。
猫のおかげなのか?僕は心から猫に感謝していた。
新見美和の行為は、いたってノーマルだった。
すべての行為が新見主導で行われる以外は。
それはキスから始まり、全身を愛撫される。そして一つになる。
僕はただじっとしているだけだった。
新見がアダルトビデオに出演していたという疑惑は、もう抱いていなかった。
しかし、僕はあることを期待していた。
新見美和に、痛めつけられながら、果てることを。
その日。僕が帰ってくると新見美和は既に部屋にいた。猫を抱いて何か話しかけているようだった。
キッチンにはスーパーの買い物袋が二つ置いてあった。
僕は美和の様子が何か少しおかしいと思った。
よく見ると、
美和は、猫に話しかけながら、泣いていた。
「ねえ、知ってる?」
「何ですか、美和さん?」
僕はいつだってこうだ。彼女を呼び捨てになどできなかった。いつもさん付け。
ほんとうに、情けなくなってしまう。しかし、それが心地よかった。
彼女は涙を隠そうともせず、頬に伝うがままにして、僕の方をみてこう言った。
「猫って………」
猫は美和に頭を撫でられ、ぐるぐると喉を鳴らしている。
その音が、僕にもはっきりと聞こえた。
「自分が死ぬ姿を人に見られたくないのよ」
「え?」
「だってそうでしょう?死ぬときは猫だって人間だってひとりなの。そのことを猫はちゃんとわかってる」
「………」
「だからジュン。この子が年老いて、その時が来たら決して家にとどめて置かないでね。ちゃんと外に出してあげて」
「それは僕じゃなくて、美和さんがそうしてあげればいいじゃないですか。美和さんの猫なんだし」
美和は悲しげに笑い、僕の元にやって来て唇を重ねた。
僕は母親に手を引かれる子供のようにベットに導かれ、
服を脱ぎ、
下着を脱ぎ。
それから。
いつもなら、そのまま僕の上にまたがる美和が、その日は先にベットに入った。
僕はどうして良いかわからなかった。
美和が手を差し伸べる。
僕は美和の隣に体を入れてキスをした。
僕が体を重ねると、美和は何処に隠していたのか、スカーフをとり出した。
僕ははっとし、鼓動が倍の早さに跳ね上がるのを感じた。
体全部の血が、下半身に一瞬にして集まってしまったかのような。
ついに、美和は本性を現したのだ、と僕は思った。
僕は心の中で歓喜した。
このスカーフで僕を縛るつもりに違いない。
僕が望んでいたこと。
新見美和に、あのビデオのように痛めつけられることを。
しかし、それは叶わなかった。
美和の濡れた唇から出た言葉は、僕の想像を超えるものだった。
「ジュン」
「………」
「わたしを縛って」