小説 猫と女 第二話
前回までのあらすじ
ある日突然、「僕」の前に現れた野良猫。
僕の飼い猫となったが、ある日突然いなくなってしまった。
そして。
猫のような女を連れて、戻ってきた。
ひどく傲慢で、ちょっと***な女。
「僕」と女と猫の物語。
女が猫を連れ去った後、しばらくは寂しくもあったが、二週間もすると、猫のいない生活が普通となった。
しかし、あのときの、猫のような女が時々脳裏によみがえり、下半身が疼いた。
細く涼しげな目元。
人を見下したような視線。
口元に浮かび上がる冷笑。
やせた長身に似合わないほど大きく張り出した胸元。
あの女はどこに住んでいるのだろうか?
猫が歩いて戻ってくるくらいの距離にいるのは確かだった。
僕の家の周りには、アパートやマンション、それに一戸建ての分譲地が延々と続いている。そんな地域だった。
僕は暇を見つけては、近所を散策した。
あの女が、不意に目の前に現れることを、期待しながら。
僕はあるとき、あの女の夢を見た。
女は全裸で僕の前に立っている。真っ赤な舌が出てきて、一度上唇を舐めた。
顔が近づいてきて、吐息が頬にかかり、僕は身震いした。
口元が笑っている。
ついには唇が重なった。
頭の先に、鋭い快感が突き抜けたところで目覚めた。
夢から覚めた後、僕はあの女に一度会ってるのかもしれないと思えてならなかった。
僕の妙な妄想は、その後まもなく明らかになった。
レンタルビデオ屋へ行き、アダルトビデオを物色しているとき、あの女がいた。
いや、別人なのか?
旧作コーナーの棚。
アブノーマル作品と書かれた札が棚にかかっている。
その棚の中で女は冷笑していた。
ひとつ手にとって見てみると、あのときの女より少し若いようだった。
この女の作品だけで、棚のひとつが占領されていた。
そして、手に取ったその作品は、すでに鑑賞済みだった。
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