地方分権改革・提案募集方式の活用について | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 平成5年「地方分権に関する決議」が衆参両院において決議され、平成12年に「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」通称、地方分権一括法が成立しました。

 平成25年12月10日の地方分権改革有識者会議からの提言を受け、それまでの「地方分権改革推進委員会勧告方式」よりも、さらに住民に身近な、地方自治体自身からの意見が反映されるよう、地域の実情にあった規制緩和を進めるため、「地方分権改革・提案募集方式」という制度が始まっています。

 もう既に第8次にまで及ぶ地方分権一括法について聞くと、よく帰ってくる反応は「地方分権と言われても、20年以上前の昔の出来事で、良く判らない」とか「地方分権で、地方の仕事が増えるのはいやだな」というものでした。「上から言われたことをその通りやっていればいいや」という考え方から一歩踏み出して、自分で考えることで、実は仕事は楽になるし、市民サービスの向上にも寄与する。それがこの「提案募集方式」です。

 幾つか例を上げます。

 例えば道路構造に関する基準は全国一律で、その勾配は12%以下でなければなりませんでした。車やタイヤの性能は近年大きく向上しているにもかかわらず、坂の多い街では、山の上の方まで道を通す場合、この基準に合わせるために、曲がりくねった道をつくらざるを得なかった。市街地の7割が傾斜地という長崎市では、この地方分権改革・提案募集制度を活用し、「長崎市市道の構造の技術的基準を定める条例」を制定し、市内の道路勾配を17%まで緩和。工事費や用地買収費用を大きく削減することに成功しました。

 例えば地震災害を経験し罹災証明の発行に苦労した九州地方の自治体が共同で「航空写真による住家の被害認定調査の効率化」を提案し、事務手続きの迅速化が図られるようにもなりました。

 「地域のことは地域に聞こう」というのが、推進室の基本的なスタンスで、この方式が始まった平成26年の、地方自治体からの提案数は535件にのぼり、その後27年228件、28年196件と推移しています。そして昨年、平成29年には207件の提案がされ、そのうち実現したものは186件と、提案募集方式の対応・実現率は89.9%と着実に増加しています。

 しかし、過去5年間の提案募集(26~30年)で、提案を行った市町村は、全体では約2割程度に止まっています。その2割の市町村は、自ら地域課題を探し一層高度な提案を行うようになっていますが、残り8割の市町村は、自ら地域課題を発見することが出来ない、もしくは提案募集方式自体を知らないというのが実情のようです。内閣府地方分権改革推進室も、この制度の周知に苦慮していると伺い、内閣府の参事官から直接、資料をいただきました。

 私たち、市議会議員からも、連日様々な要望や提案がされていますが、そうした提案も「全国一律の制度」という壁に阻まれ、未だ検討段階に止まっているものが多いという現状があります。

 例えば、富士市は「食育」に対しては他市に先駆け、先進的な取組を続けていますが、学校給食法第11条によって「食材費にかかる経費については保護者の負担とする」と定められているため、学校給食の無償化は全国的にも進みません。不登校児童生徒の救済のためフリースクールに公的支援を、という要望に対しても制度の壁が大きく立ちはだかっています。地方分権が叫ばれて20年。住民の不便を知りながらも、制度変更自体を尻込みする地方自治体も多いというのが、地方分権改革の現実の姿です。

 本年初めて、富士市もこの制度を利用し、地方分権への第一歩を果敢に踏み出しました。この地方分権改革・提案募集制度によって規制緩和が進んだいくつかの制度を例にとりながら、富士市の現状について、以下のように質問いたします。

  

①富士市が本年、内閣府地方分権推進室に提案した案件についてご説明願いたい。

②建築主事を置く市町村の公共建築物に対する定期点検が見直されたが、富士市ではどのように行っているか。

③路線バス停留所の利用に関する基準が明確化され、路線バスとコミュニティバス等の停留所を兼ねることが出来るようになったが、富士市ではどう対応しているか。

④農林水産大臣の指定する市町村に農地転用許可権限が移譲され、事務処理期間の大幅な短縮がされているが、富士市の農地転用許可までの期間はどれくらいかかっているか。

⑤この提案募集方式を「国へのチャレンジ提案」として、職員個人を含め、市民の不便を解決する提案を広く募集してはどうか。