2月定例会一般質問を振り返る(建物の安全確保義務と不法行為責任について) | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 欠陥住宅問題に取り組み始めてから16年目になりますが、昔は消費者側の権利が弱く、裁判に訴えても、柱が足りないといった酷い欠陥があっても「柱一本10万円を払え」というような「直せばいいだろう」という程度の判決しかもらえなかった。それが今では「欠陥のある建物は住宅とは言えない」という理由で、工事のやり直しや契約の解除が認められたり、精神的な苦痛を理由に慰謝料まで請求できるようになった。 欠陥住宅問題の分水嶺となったのが、平成23年7月21日「別府マンション訴訟最高裁判決」です!と前置きして、

 判決文をネット上の判例データベースから抜粋し、資料として配布させていただきましたので、ご覧になりながらお聞きください。
 資料中段の下線を引いた部分が「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」の新たな解釈。そして資料下段の下線を引いた三行が損害賠償請求可能だとした部分です。そして建築基準法の第一条にいう「この法律は、建築物に関する最低限の基準を定める」・・・つまり基本的な安全性能がない建物は基準法第一条に違反している・・・だから瑕疵担保責任ではなく、不法行為責任を問えるという理屈です。

 RC建築物の瑕疵担保責任期間は10年ですが、不法行為責任は20年。つまり20年以内に外壁が剥がれ落ちるような建物は作ってはいけない、ということになります。

・・・とまあこんなお話をさせていただき、
「耐用年数を待たずに移転する富士市水道庁舎が欠陥建築だとすれば、その費用は設計・施工者に請求出来るのではないか」

と質問しました。

回答は、
「移転の理由は公共建築物に適用される耐震基準を満たしていない既存不適格建築物であるから」
「購入後13年、完成後28年経過している」
というもの。
・・・これは予想通りなので、二の矢として

「次に、来年度予算で外壁全面打診調査をする建物1棟とはどれか」

と聞いたところで、審議が中断した。

事前に資産経営課から「瑕疵担保責任期間が終了したため調査する建物として富士市交流プラザがある」と、電話で回答をもらっていましたので、当然「富士市交流プラザです」とスンナリ回答が来ると思ったのに意外と庁内の横の連絡が無いみたい。
そこで、それは交流プラザのことなんですがと前置きし、

「全面外壁調査をする理由は何か」
と再質問した。

「瑕疵担保期間が終了したためである」

と回答されたので

「調査の結果、万一外壁に『建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵』が見つかれば、ちゃんと設計・施工者に不法行為責任を問うて下さいね」

と要望した。
 

なんか、話が噛みあってなかったけど、理解してもらえたんだろうか。
 

瑕疵担保責任期間が終了したからといって、(外壁に重大な欠陥が隠れているおそれの在る)0.3ミリ以上のクラックが見つかれば、その修補責任は施工者側にあるんですよ。安易に市民の税金で補修工事を発注すると、市民から監査請求を受けるおそれがありますよ、注意してね。

・・・と言ったつもりなんだけど。

でも幸い、今年の4月からは「弁護士資格を持つ職員」が富士市総務課に配置されるようなので、心配ないと思う。

 

「別府マンション訴訟最高裁判決」によって、消費者の立場は格段に強化された。そして市役所が消費者の立場に立つこともある。
その際、ちゃんと自分の(発注者の)権利を理解して下さいね。
「権利の上に眠るもの、法はこれを保護せず」という原則があるのだから。