第11回全国市議会議長会研究フォーラム報告(その2) | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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パネルディスカッション「監視権の活用による議会改革」
江藤俊昭 山梨学院大学教授
斎藤誠 東京大学教授
土山希美枝 龍谷大学教授
谷隆徳 日経新聞編集委員兼論説委員
栗田裕之 静岡市議会議長

以下、議場でのメモ

  • 江藤: 大森先生が最後に言った話。もっともです。でも、議会事務局がきちんと自立できるような制度や議会基本条例がないといけない。さもなきゃ無理ですよ。議会事務局職員の任免権限があるのは市長なんですから。そもそも議会には大きな権限がある。地方議会改革の本旨も第2段階に入った。
  • 谷: 情報公開、住民参加はこの十年で大きく進んだ。しかし、監視機能についてはどうだろうか。過去5年間、条例案を修正した事がある議会は24%、予算案を修正した事がある議会は20%以下。  今注目されている議会は二つ。富山市議会と東京都議会。ワイドショーで見る都議会は一括質問一括答弁。与党会派の方の質問は突っ込みきれていない。結果的に監視機能が働かない。結果がわかってしまう。会派の縛りがよろしくない。「予算案を専決処分させる暴挙」「地方議会の歴史に汚点を残した山梨県議会」
  • 江藤: 時間の関係上詳しくは言いませんが、あれは酷かった。しかし、専決処分は仕方ない。
  • 谷: 専決処分は明治の残滓。首長優先の象徴。
  • 土山: 住民福祉の向上とはなにか。それは自治体の事業の総体が住民のためにより良いものになる事。必要不可欠であるかどうか、市民の立場に立って監視していくのが議会の役割、そんな風に考えると、監査制度だけでは足りない。  実は監査機能を発揮する場は多様にあります。ひとつは一般質問。でも、いい一般質問が政策を動かすとは限らない。それは議員個人の権能であり、議会総体の権能ではないから。
  • 江藤: 監査委員による監視・監査機能についてご説明を
  • 土山: 事業の進捗管理などは監査出来ない。
  • 江藤: 先ほど大森先生は議会の分割統治とおっしゃった。栗田議長はいかがですか?
  • 栗田: 議会の監視権とは百条委員会による調査権や監査委員政策とされていますが、具体的にいえば、一般質問や決算認定もそうだ。政策提言や議員発議による条例制定なども静岡市議会ではやっている。私ども静岡市議会は議員発議条例はすでに6本。「目指せ茶所日本一条例」は次の時代につなげるために全議員の同意を得て作った。「ものづくり産業推進条例」「三保の松原保全活用条例」「命を守る防災減災条例」・・・  そんな中で議会の監視権には直結しないかもしれないが、条例も議会の監視権のひとつだと思う。議員発議条例を制定する中で議員間討議をしてきた。ものづくり条例を制定するだけで終わるのではなくて、条例がその後どのように運用されているかも監視を続けています。
  • 江藤: PDCAサイクルを回す事も監視のひとつと考えているということでしょうか。
  • 栗田: そうです。
  • 斎藤: 監視権を活用する中での法律の役割。ひとつは自治法96条の議決権。(地方分権推進委員会の?)答申ではこれを拡大せよという制度改正を呼びかけた。細々した契約に議員を関わらせると口利きにつながりやすいという反対もあった。政権交代後、自治法抜本改正が骨抜きに。
  • 江藤: 次の論点に移ります。決算認定と監査委員制度については?
  • 土山: 決算書のあの量をあの短い期間で見ることは困難。それよりも総合計画を財政的な裏打ちのあるものとして詳しく、実態性のあるものとして作るべき。  そして事務事業評価をやる以上、きちんと人件費も見て欲しい。月に10本づつ、3つの特別委員会を一年やると360本。それくらい通年でやるなら、地方議員も専業でいい。そうなれば報酬ではなく給与をとれるようになる。
  • 江藤: 会津若松市などは総合計画の素案のうちから議会が関わるようにしている。
  • 土山: 事業評価については相当にハードルが高いと思う。しかし、肌感覚で予算を見るためには必要不可欠。
  • 斎藤: 決算不認定とならないために、監査委員の意見が大切です。詳細な意見書を前提にしないといけない。簡単な意見書ではダメ。説明責任が首長にはあるが監査委員の責任も重大。
  • 江藤: 監査委員制度における議選の意味とは、おそらく来年の通常国会で改正されると思うが。
  • 栗田: 地方制度調査会の答申を評価したい。監査委員はより高い専門性を求めるのか、地域代表を求めるのか、各自治体の選択制も必要だろう。しかし、議員だからこそ気づいたこともある。それについては申し訳ないが議会内の議論を経ていないので、この場での回答は控えさせて欲しい。
  • 谷: 議会の役割と監査委員の役割は自ずと変わっている。
  • 土山: もちろん現状のように議員が監査委員をやった方がいい。そこでの学びもある。モッタイナイのは監査委員が委員会の討議や一般質問から離れてしまうこと。もちろん守秘義務はあるが、その度監査委員の気づきを所見として述べるような制度も必要ではないか。
  • 江藤: 私も「用心棒制度(現状の議員の中から監査委員を選ぶ制度)」が必要だと思う。
  • 斎藤: 選択制になれば、残念ながら、住民監査請求となれば、議員が資質を問われるような事になる。外部監査も議会の方で承認して欲しい。
  • 江藤: 自治検査権を議会に与えるべきではないか。
  • 斎藤: 今回の都議会のように問題発覚してからパフォーマンスするのはいただけない。
  • 以下会場との質疑応答 質問者1:一般質問は個人で行うもので議会の総意ではないとのことだが? 質問者2:チーム議会という話がありました。どうすれば良いか具体的に。 質問者3:議会と施行部は常に対立ですか?有権者は同じ。斎藤:執行機関に対して議会の権限を大きくしましょうというのは少しづつ進んでいる。リソースは厳しいが、条例その他のツールを使って欲しい。
  • 土山: 一般質問や質疑が終わったあとクローズな場で(委員会で)、所管事務調査として取り上げ、その後全員協議会で議決するような議会もある。 チーム議会にするもの・・・それは街の課題だろう。何とかしようという思いがあれば一つになることも可能。市民が議会があるからこそ街の政策がよくなていると実感させることが大切。
  • 谷: もっともっと住民との距離を縮めるべき。否決する必要はない。もめる必要はないが執行部提案がそのまま通るのでは議会の存在意義がない。
  • 江藤: 多様な監視権については、単独ではなく連動性が必要だろう。大森先生の出された分権改革答申はとても大きい。住民自治の根源です。首長と対立せよと言っているわけではない。政策提言、政策競争というものが二元代表制という制度の中には組み込まれている。