第11回全国市議会議長会研究フォーラム報告(その3) | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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第11回全国市議会議長会研究フォーラム (備忘録その3)

 

課題討議 「監視権をいかに行使するか」

コーディネーター佐々木信夫 中央大学教授

日本の地方議会の抱える課題。地方議会の役割は行政・執行機関の監視。

以下議場でのメモ

  • 藤沢市議会の報告
    ・議員はどうあるべきか 100条委員会設置の発端「前市長の土地先行取得問題」。 平成21年、無道、無価値の農地を一億円で先行取得。土地開発公社に対する前市長の口利き疑惑がマスコミに取り上げられる。 平成23年の選挙により市議会の構成が変わり、100条委員会の設置。 住民訴訟による鑑定評価金額との著しい解離。その裁判資料の提出。 具体性のない後付の整備計画の策定。必要性から生まれた20回以上の議員間討議。 証人喚問と100条委員会を通じての議員間討議。市議会の総意として前市長の告発。不名誉なことであるが、藤沢市の議会改革はこの議員間討議から始まった。
  • 和歌山市議会の報告
    ・附属機関への参画と監視機能 かつては審議会・協議会など26の市長への答申をおこなう市の付属機関に対して参画をしていた。しかし、平成23年の地方自治法改正により、法で規定されている都市計画審議会・社会福祉審議会の2つは参画を維持。それ以外は(行政実例より)「執行部の附属機関構成員に議員が加わることは違法ではないが好ましくない」。 こうした執行機関への議員の参画については条例等で検討中。
  • 日田市議会の報告
    ・地方創生に関する政策提言 平成27年第一回まち・ひと・しごと創生総合戦略審議会に市議会議員が参加。 4つの常任委員会による政策提言の検討。議会報告会による市民の意見の聴取。 平成28年の日田市版の総合戦略の完成。その中に市議会から提言した「水郷ひたの清流復活」「日田市中小企業支援センター設置」が追加された。 こうした執行機関の附属機関に対する参画も監視権の一つだと考えられる。
  • 以下ディスカッション
    佐々木: 100条委員会設置に必要な要素とは
    佐野: 前市長派である自分は最初は前市長の説明を真に受けていた。100条委員会を立ち上げて対象人物を糾弾するということには反対した。
  • 佐々木: 委員会での集中審議方式というのが普通のやり方ですね。議会の監視権の面からのメリットとデメリットは?
    井上: メリットは計画段階から意見を述べられること。デメリットは参画したことで反対意見を言えなくなる。審議会の答申に縛られること。
  • 佐々木: 総与党化、馴れ合いになるという意見がある。しかし欧米では執行機関に議員が入っていくことは当たり前。日本の二元代表制の特色。議会から提案するという事と監視権の行使は違うものと思われるが?
  • 嶋崎: 石破大臣の言葉「車の両輪だけでは足りない。産官学の共同」これを聞いて議会としては蚊帳の外におかれる恐れを感じて参画をした。PDCAを通じてこれも監視権の行使だと思う。
  • 佐々木:二元代表制の中で、代表質問や一般質問という方法が監視権の行使としてどの程度有効だろうか。
  • 佐野: 率直に有効だと思う。一般質問という名称だが、実際には提案も多い。藤沢においては多くの結果が出ている。
  • 井上: 有効だとは思うが、チーム議会という考え方の中では会派制のもとの代表質問は使い方次第だとおもう。
  • 嶋崎: チーム議会という話が出ましたが、これからの議員に求めらる資質は「立法機関」としての役割ではないでしょうか。中津市議会では本会議場での議員間討議をしている。それを傍聴してきたが、政策論議に強い議員の育成が必要だと感じた。
  • 佐々木: 政務活動費の使い方については15年前に国会で「議会活動の監視権を強化するため」に制定されたはず。この有効な使い方は?
  • 井上: 和歌山では月額10万円。講師を呼んでの研修等にも使用できるようにしている。
  • 嶋崎: 最近マスコミ等で、あんな風に取り上げられるようになって、議会改革特別委員会で「手引き書」を作り直した。月額2万。でも議員の半数以上が使い切らない部分は返上している。
  • 佐野: 議員有志による会派を超えた勉強会にも使えるようにしている。
  • 佐々木:政務活動費を使って、地方レベルで議会法制局を作って法律の専門家を雇うなどしていかないと、これからの政策立法活動に支障が出る。国から地方自治体に求めている。市民サービス160兆円のうち100兆円が地方に委ねられている。
  • 佐々木: 議会報告会の有効なやり方は?
  • 嶋崎: 報告会というより意見交換会。このところ参加者が減少。来年は中身を変えるべく検討中。議会基本条例で「政策研究会」を設置している。テーマごとに各種団体からの意見聴取を行い、政策提言を行っている。議会報告会については皆さんのお知恵を借りたい。20箇所で400名しか集まらない。
  • 佐野: 議会報告会を止めるのか続けるのか議論してきた。今年はワークショップ形式でやってみた。各テーブル、テーマを決めて、議員が2名づつ入って市民と議論をした。 井上: 和歌山市議会ではやっていない。執行状況の報告をするのは議会のノリを超えてしまう。他市の状況を聞くと、特定の市民ばかりが参加するようなものは意味がない。
  • 佐々木: 地域代表は地域で決めることが望ましい。議員定数については上限が外された。調査会で時期尚早とされた「通年議会」だが、どう思うか?
  • 嶋崎: 必要性は感じていない。市民からの要望もない。 井上: 和歌山市議会ではやっていない。
  • 佐野: 見せる部分では意味があるかと思う。実感としては、既に通年化しているくらいにいろんな場がある。やっても問題はないと思う。
  • 佐々木: 通年議会というのは毎日議会があるという事ではない。いつでも議会を招集することができる、会期制をやめるということ。
  • (以下会場から質問)
  • Q:監査委員が事務事業評価をしている。忙しすぎて個別の仕事に支障が出ている。 A:議選監査員制度における問題。70年続いているが、監査そのものが非常に高度化している。今後、地方自治法の改正がある。議選の廃止も自治体ごとに決められるようになるはず。
  • Q:最近若い議員が増えている。ベテランの議員よりも若い議員が監視権の行使に弱い?  A:若手の方が知識がある場合もある。執行部にとっては組みやすいと思われているが、それぞれだと思う。問題は地方議員の成り手が減っていること。若者に期待したい。