ヘイトクライムのこと | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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相模原の障害者施設への襲撃事件に対し、安倍首相は「真相究明に全力を挙げる」と述べたが、未だに犠牲者に対する謝罪の言葉はない。謝罪の必要はないと考えているのかもしれない。しかし、犯行予告が出ていたにも関わらず今回の襲撃を防げなかった警察当局の責任をどう考えるのだろうか。

 
マスコミも未だに犠牲となった方々のお名前を公表しない。19人一人ひとりに名前があるはずなのに、AとかBとか記号で表記され続けている。健常者であれば、家族の希望があっても、こうした横並びの報道はしないだろう。これはある意味、差別ではないだろうか。
 
19人も殺したのだ。「犯行時に判断能力はあった」としていずれ極刑は免れまい。しかし今後の裁判の過程で容疑者には、なぜ障害者を殺してはいけないのかを知り、そして自らの罪をきちんと悔いてもらう必要が絶対にある。
 
全盲・全ろうの東大教授、福島智氏がこの事件に関し、「無抵抗の重度障害者を殺すということは二重の意味での殺人」だと言った。一つは、人間の肉体的生命を奪う「生物学的殺人」。もう一つは、人間の尊厳や生存の意味そのものを、優生思想によって否定する「実存的殺人」。
 
この「実存的殺人」を裁かなければ、「重度障害者には生きる価値がない」と述べる容疑者に同調する輩が現れかねない。それがとても怖い。
 
先の東京都知事選挙で「朝鮮人は死ね」と発言するような在特会の代表者、櫻井誠が都民の1.7%にも及ぶ支持を得た。東京に住む11万もの人が、ヘイトスピーチを繰り広げるこうした団体にシンパシーを感じているという事実に愕然とする。
7/31放映のNHKスペシャルは、今回の襲撃事件の背景には「在日韓国・朝鮮人に対するヘイトスピーチが行われるような昨今の不寛容な、差別的な社会的風潮がある」と指摘していた。
今回の事件は、そうした社会的風潮を背景としたヘイト・クライム(憎悪による犯罪)なのだろうか。

 
こいつらどうかしてる…と批判する前に、私たち自身が反省をしなければならないと思う。
それは「なぜ実存的殺人を犯してはならないのか」を「常識」として定着させる努力を、私たちは怠ってきたという事に対する反省だ。
「障害者にだって人権がある。そんなことは常識だ」・・・そうしたコモンセンスを、私たち一人ひとりの血肉とする努力を怠って来たのではないか。
 
もう一度言う。
障害者にも人権はある。そんなことは常識だ。生きる価値のない人なんていない。
 
合掌