無責任の連鎖を断とう | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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<妊婦転落>建築士を書類送検 強度の低い手すりで事故
 岐阜県美濃加茂市で07年4月、アパート2階のベランダの手すりが外れて妊婦(37)が転落、緊急出産した女児が死亡した事故で、県警捜査1課と加茂署は11日、アパートを設計した男性建築士(51)=同市=を業務上過失致死傷容疑で岐阜地検御嵩支部へ書類送検した。強度の高いベランダ用ではなく窓用の手すりが取り付けられ、外れやすい構造になっていたという。
 手すりは高さ約1.2メートル、長さ2.5メートルのアルミ製。妊婦が手すりに干した布団をたたこうとした際に外れ、妊婦は約4メートル下のアスファルト舗装された駐車場に転落した。妊婦は骨盤骨折などの重傷を負い、帝王切開で緊急出産した女児は約8時間後に死亡した。
 県警によると、手すりはベランダのコンクリート床と壁に留め金で十数カ所固定されていたが、1カ所を除いて一度に外れた。手すりは本来必要な長さに足りず、留め金が十分機能していなかったとみられる。県警は、建築士が強度の低い設計をしたため、事故が起きた可能性が高いと判断した。
 捜査関係者によると、アパートは1986年建築の鉄骨2階建て。建てた建築会社は事故時は既に廃業、社長も死亡していた。(毎日新聞 1月11日)

 耐震偽装事件に端を発し、最高裁は建築基準法の第一条を厳格に適用する画期的な判断を下しています。2007年7月の判例です。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070706154629.pdf
 全部をお読みいただくのは大変ですが、5ページ目の下線を引いた部分に注目してください。

「設計・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があり,それにより居住者等の生命,身体又は財産が侵害された場合には,設計・施工者等は,不法行為の成立を主張する者が上記瑕疵の存在を知りながらこれを前提として当該建物を買い受けていたなど特段の事情がない限り,これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負うというべきである」

 この最高裁判断以降、建物の設計者・施工者が、その建物の居住者等の生命・身体に対する「賠償責任」を負うことが、あらためて確認されました。
 これは「NPO建築Gメンの会」が発足以来、主張し続けてきた事でもあります。

「これくらい大丈夫だろう」

強度の低い設計をした…つまり建築基準法を守らなかった建築士の24年前の「不法行為」によって、一つの小さな命が奪われました。

民法724条(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)によると、損害及び加害者を知ったときから3年の時効、および不法行為発生時から20年の除斥期間で消滅するとあります。

「経済設計」を求められても、建築士は自らの責任でそれを拒まなければいけません。
過去20年にわたってその損害賠償責任は問われますし、この事例のように事件が起きてから5年間は刑事事件、つまり業務上過失致死罪に問われないかビクビクしながら暮らさなければなりません。

鈴木こうじ