台所の調味料 ─酢─ | 小迫良成の【食ブログ】

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「民以食以天(民は食を以て天と為す)」
「吃是一在世(食べることは生きること)」
 この言葉を心の銘と刻み込み
 食の世界を回遊・遍歴する
 或る音楽家の魂の記録

これは我が家の慣習だったのか

それとも福山あたりの風習だったのか

良くは判らないのだけど、

我が家では何かイベントがあると

決まって「ちらし寿司」が

食卓に上がっていた。

 

それも豪華な海鮮ちらしではなく

冷蔵庫の中の有り物を使った

簡便なちらし寿司である。

 

具材には「ちくわ」とか

「さやえんどう」とか

「あさりの剥き身」「しいたけ」

「竹の子」「錦糸卵」に

「グリーンピース」などもあったりして、

「海のもん」というよりは

「山のもん」の多い具材だったかと思う。

 

これが「バースデー」とか

「Xマス」や「正月」とか、

とにかくイベントや宴会があると

必ずといって良いほど

食卓に顔を出すのだ。

 

そのくせ

「ちらし寿司」のくせに

これが和洋中華のどれにでも

合ったりするのである。

 

クリスマスの

「鶏足照り焼き」にも

ちらし寿司の酸味が

鶏肉の脂っぽさを中和してくれるし、

「クリスマスケーキ」を

たらふく食べた後の口直しにもなる。

 

正月のおせち料理は

子供の舌に合わないものも多いので

ちらし寿司をメインに腹を膨らませながら

子供用の肉団子を食べてみたり

ハムマヨネーズなどを食べてみたり…

 

餃子や春巻き、焼売にも

ちらし寿司は合うのだけれど、

考えてみれば

中華あんかけや天津飯など

酸味を上手く使った中華も多いので

ある意味、日本食以上に

親和性は高いのかも知れない。

 

 

さて、

それ程に万能な「ちらし寿司」だが、

母は格段、なにか秘伝を使ってた訳ではない。

 

ごく普通のミツカン酢に

燗冷ましの酒と砂糖を加えただけの

素朴な「寿司酢」を作り、

それを炊きあがったご飯に混ぜて

すし飯を作ってたように覚えている。

 

…年を取ってくると

面倒臭くなったのか、

「すし飯の素」を使ってたようけど…(アハハ)

 

今は一口に「酢」といっても

米酢もあれば黒酢・りんご酢もあり

ワインビネガーなども入れると

本当に沢山の種類が売られている。

 

それぞれの用途に合わせて

酢も揃えるとなると、

置き場所に困る程に。

 

でも、基本はやはり

昔ながらの「米酢」かな…

…などと思っていたりする。

 

あとは家にあるものを

創意工夫して

素材にあう酢を作っていく。

 

「二杯酢」も「三杯酢」も

そうやって作られた味だしね。

 

※写真はすし飯イメージ(写真ACより)