『モナーの生態と行動』
中村屋吉衛門『モナーの生態と行動』学問の森出版
某巨大掲示板のマスコットキャラ、モナーの生態を分析した学術書がこのたび出版されたことは、喜ばしいことである。この謎な動物についての多くの噂はあれど、地道な観察に基づいた説明と記述はこれまでなかった。今後のモナー学への先鞭をつけたと言ってもよかろう。
モナー。顔は、「ゲゲゲの鬼太郎」に出てくる妖怪ぬらりひょんのようで、「ごめんなさいね~」「すみませんね~」と今にも言いそうな顔をしている。しかし、実際「すみませんね~」と言うわけではない。そんな顔をしているというだけである。猫耳で、垂れ目、目元まで開いた大きな口、ドテ腹で長靴を履いたような短足、丸い尻尾、これらがモナーの身体的特徴である。人間の言葉を話すが、一人称はモナで「モナは~するモナ」という話し方をする。何でも食べるが、特に豆が好物のようである。
モナーという名前の由来は、何か言われた時、「オマエモナー」と返答するということから来ている。モナーに「バカだね」と言っても、「オマエモナー」と返答され、ほとんど言葉によるダメージを受けない。暖簾に腕押しである。また、「モナードライブ」という技を使えるのもいる。
本書の特筆すべき点は、これまで半ば常識と思われていたモナーの生態と行動を、地道な観察と緻密な動物学的記述によって説明し、生態を解明したことである。モナーは奥の深い動物で、まだまだ未知数なところがあるが、それは今後の研究に期待される。学術書にしては、難解な言葉遣いもなく、初学者にも大変わかりやすい論述である。モナーへの理解を深める一助となろう。
『幽霊は見ている』
木村宇兵衛『幽霊は見ている 旅館ギコ屋の噂の真偽その2』旅館なんでも堂
木村宇兵衛氏の新刊が出た。前著『記者は見た』が好評だったため、その続編を書いたようである。前著では、眠っている時にしかギコ屋の幽霊さんは出てこなかったのであるが、話によれば、幽霊さんはいつでもどこにでも出てくるらしい。本書では、それを検証している。
前著同様、泊まる時は一般客として泊まった。チェックインすると、すぐに聞き込みを始め、幽霊さんがどこで出やすいかを調べてみた。
すると、3階によく出るようで、特に幽霊さんの部屋である314号室に行ってみることにした。扉を開けると、なんとそこには、頭に三角巾をつけたモナー顔の幽霊が眠っていた。記者は早速、持ってきた特殊カメラで幽霊さんを撮影した。写真を見ると、見事に幽霊は写っていた。
音に気づいたのか、幽霊さんが目を覚ました。そしてこう言った、
「おや、この間泊まりにきた人ではありませんか。写真ですか、かっこよく撮ってくださいね」と言い、ポーズを取り出した。記者は逡巡したが、何枚か写真を撮った。それから幽霊さんに、いつでもどこにでも出るのは本当か、と意を決して尋ねると「そうですよ~」という返事が来た。
その後、著者は幽霊さんに単独インタビューを申し込むのだが、それは本書を読んでのお楽しみである。取り付くわけでもなく、終始幽霊さんはあっけらかんとしていたようだ。
帰宅して、本書を書いていると、著者は何者かの視線をよく感じたらしい。もしかすると写真の中から幽霊さんが著者を見ていたのかもしれない。
『記者は見た 旅館ギコ屋の幽霊のウワサ』
木村宇兵衛『記者は見た 旅館ギコ屋の幽霊のウワサ』旅館何でも堂
旅館ギコ屋(ネットで検索してください)には幽霊が出るという噂があった。それは好事家の間では有名な噂で、旅館ギコ屋の広報の意に反して、ギコ屋の隠れた名物でもある。噂によれば、その幽霊は、足がなく、頭に三角巾をつけ、ぬらりひょんのようなモナー顔で、「ごめんなさいね~」「すみませんね~」と今にも言いそうな顔をしているそうである。ある人の話によれば、ギコ屋の前で記念撮影をしたら、現像した写真にそこにはいなかった、頭に三角巾をつけた人が写真に写りこんだらしい。
本書の記者は、旅行雑誌のライターで、全国の様々な旅館についての紹介記事や本を書いている。このたび、平生からの疑問であったギコ屋の幽霊のウワサを解明するために、一筆したためたということである。
「幽霊のウワサを検証しにきた」などといえば、支配人に追い返されるのは必至であったので、一般客として著者は宿泊した。それとなく常連客に「幽霊が出るそうですが、本当ですか」と尋ねると、「本当だよ」という返答を受けた。常連客にとって、幽霊は常識になっており、今更驚くことではないかのようである。そして、その晩、著者が眠っている時(正確には目をつぶっていただけだが)、時刻は丑三つ時、著者以外誰もいないはずの部屋に、突如何者かの存在を著者は察知した。その何者かは「こんばんは。今日はギコ屋にお泊りいただきありがとうございます」といい、著者の反応を待ったが、著者が反応しないので、「お休みになられているようですね」と言って、さびしそうに消えていったそうである。著者は、布団の隙間から薄目を開けて見ていたそうだが、確かに、頭に三角巾をつけ、足がなく、宙に浮いていて、モナーの顔をしていた、現実感の希薄な存在がいた、と証言している。
この後、本書では幽霊の存在について、トリックはないかと検証していくのだが、それは本書を読んでのお楽しみである。
本書は、旅館マニアの長年の疑問に一つの解決を打ち出している点が画期的である。一つの解決が提出されても、「ギコ屋には幽霊が出る」という噂はこれからも消えないであろうし、ますます好事家を引き寄せるだろう。この本は、着実に部数を重ねているそうである。