幸せというのは、何か形のようなもの、ゴールのようなもの。私は当初、そんなイメージを持っていました。 世の中に漠然と広がる価値観に、私自身が多分に影響を受けていたのではないかと思います。
いい会社、社会的地位、肩書、賞賛、お金、家、車、モノ・・・・・・。
ところが実際には、幸せとは簡単に即物的な文字にできるようなものではなかった、ということも取材を通じて学びました。
例えば、こんなことを語っていた経営者がいました。
「上場を目標に突っ走ってきたけれど、上場できたときに幸せ感を抱けたのかというと、実は違った。 もちろん、うれしい気持ちはあったけれど、そのとき以上に充実感があって幸せな気持ちを持てていたのは、上場まで社員全員で必死で突っ走っていた過程にあったのだ」
端から見れば、上場できた瞬間こそ、幸せの瞬間ではないか、とイメージしてしまいがちです。
しかし実際には、そうではなかったというのです。
そこに至るまでの充実したプロセスこそが、幸せな時間だった、と。
他にも似たようなコメントをもらったことが何度もあります。 幸せだと想定するものに向かって走っている途中こそ、充実した時間を過ごせている日々こそが、幸せだったというのです。
実はその途中の日々は、苦しい日々だったかもしれなかったのに、です。
年配の方への取材でよく耳にしました。幸せは意外なところに潜んでいる。思ってもみないところにあって、手にしているのに気づけていないかもしれない。
幸せはとんでもなく遠いところにあるわけでもないのだ。 むしろ、すぐ近くにあったりする。
少しまわりを見渡してみるだけで、多くの人が、意外に、たくさんの幸せを実感できるはずだ、と。
━━ 近くの幸せを実感できていますか?
『成功者3000人の言葉』 上阪 徹(著)