フィリピンのスラム街からやってきた男の子
先日、友人の家でフィリピンのスラム街からやってきた男の子のプレゼンを聴きました。
友人の大学生のお子さんが、フィリピンのスラムツアーに行って出会った22歳の男の子です。
友人やそのお子さんが主となって、
クラウドファンディングなどで旅費を出し
友人宅にご招待したそうです。
発表内容は
・フィリピンのスラム街に住む彼の家と家族
・スラム街の様子
・彼の仕事
を聴き、参加者が質疑応答しました。
参加者は友人につながりのある研修講師や研修会社の人
友人のお子さんの大学の同級生たち。
一緒にフィリピンでスラム街に行った2人の大学生もいました。
スラム街に住んでいるとはいえ、その男の子は英語を流暢に話し
飛行機の部品を作る工場で働いているそうです。
スラム街を案内してもらうスラムツアーでの出会い
私は、スラム街があるっていうことは知っていたものの、スラムツアーがあることは知りませんでした。
知識で知っているだけで満足して、実際のものを見ようと思わなかったのだと思う。
だから、本人に会えて、直接話を聴けることがとても楽しみででした。
そもそもスラムとは
国連人間居住計画 (UN-Habitat)では、
次の 5 つの項目の 1 つでも 欠如している世帯のある地域をスラム街と定義し ている。
1. 改善された水へのアクセス
2. 改善さ れた衛生施設へのアクセス
3. 住み続けられる保 証
4. 住居の耐久性
5. 十分な生活空間
友人のお子さんはスラムツアーで、炊き出しボランティアなどもして
そこで仲良くなった男の子だそうです。
日本との違いに驚いたことを聞いてみた
その1
日本だと、何かの支援をするときは「平等に、全員に」という感じですが
フィリピンのスラム街では早い者勝ち。
並ぶという概念もないそうです。
だから、日本で滞在している時にジャンケンをして、モノを獲得することに驚いたのだそう。
ケーキが7個。
そこにいる大学生が6人と、フィリピンの男の子だった。
男の子には優先的に1個渡された。
残りの6個を選ぶときに、
大学生がジャンケンをして、
勝った人から順番にケーキを選んだことに驚いたのだそう。
スラム街では、ボランティアからの物資が届けば、先に手にした人のもの。
数が足りなくても、それは仕方ない。
それが普通だそう。
だから誰も文句は言わない。
そこで、もらえる子、もらえない子がいる不公平はどう管理しているのかと尋ねると
NGOの人が、チェックリストのようなものを作っていて
前回Aさんはもらったから、今回はもらえなくても仕方ない、という感じみたい。
でも、2000人もいるから、本当にちゃんと管理できているかはわからにとのことだった。
その2
ごみの分別。
滞在中に、燃えるごみは〇曜日と△曜日
プラごみは●曜日と◎曜日
粗大ごみは▲曜日
で、ごみの収集場所は角を回った場所で。
などと説明を聞いて
「それは素晴らしい」と思ったそう。
フィリピンでは、ごみの分別はないらしい。
ゴミ捨て場に捨てられたものを洗ったり、ラベルをはがして売れそうなものは売ったりする人がいる。
その人のことをスカベンジャーという。
その中から売れるものを売って、1日を過ごすためのお金を得るらしい。
でも、200ペソぐらいにしかならなくて
本当にその日が過ごせるだけみたい。
わたし達が驚いたこと
その1
物資をもらえる人は、早い者勝ちだということ。
日本は「全員に平等に」の精神。
東日本大震災の時も、物資は有るけど、全員分無いからという理由で
配給されなかったという話を聴いたことがあります。
炊き出しにも並ぶのが当たり前で、順番を守ります。
ところが、フィリピンのスラム街では早い者勝ち。
並ぶという概念がないから
どんどん人が前に出てくるし
なんなら、横並びになってしまうそう。
その2
カナダの教会からの支援を受ける人を決めるときは
まるでビューティーコンテストのように
写真で決まると。
スラム街の子ども達の写真を張り出して、どの子に支援するのかを決めるそうです。
だからみんな、笑顔の写真を撮るのだそう。
ここにも、平等性は見受けられないように感じる。
どちらもNGOの職員さんがチェックしているそうですが、
2000人もいるスラム街の子ども達の平等が守られているのかは疑問です。
チャンスは自分から取りに行く、ということなのでしょうか。
教育と健康診断
教育は、幼稚園、小学校、高校(中学校は無いそうです)は授業料は無料だけど
それぞれ、次の段階に行くための準備は自前だそうで
貧困家庭の子たちは進学はできないそう。
性教育も満足に受けないから
10代で妊娠する子も多いらしい。
健康診断や歯の検診はスラム街で無料で受けられる。
これらのサービスを受けるためには出生届が必要だから
必ず出生届は出すのだそう。
フィリピンでは、高校や大学を出ていないと
仕事は安い賃金の肉体労働か、日雇いの仕事しかありつけない。
貧困で苦しみ、その日暮らしの人々にとって、
子どもを学校に通わせるのは難しく、
子どもも仕事や生活の手助けに駆り出さざるを得ない。
こうして貧困層の子どもが大人になり
その人々もよっぽどの逆転劇がない限り、
不安定な安い労働をして生きていくことになる。
貧困はこうして連鎖していくのだと思う。
この辺りは、日本の貧困家庭と似てるような気もする。
この男の子は、スラム街に住んでいるとはいえ極貧ではないように思った。
家には狭いながらも、自分の部屋がある。
英語も流暢に話すことができるし(海外の映画を観て学んだそう)
お姉さんが持っているB&Bにしているアパートの1部屋の掃除などをして
飛行機の部品工場の仕事以外でもお金を得ている。
将来は、飛行機のパイロットになるという夢があると話していました。
世界は広い
男の子にとって訪日できたことは素晴らしい体験だったんだと思う。
文化の違いを目の当たりにして
世界は広いってことを感じたら
より一層にパイロットになって飛び回ってみたくなったのではないかな。
私も良い体験ができた。
友人のお子さんの行動力に、いつも驚かされる。
でも、それを受け入れる友人にも感動してしまう。
来週、スラム街の子ども達にスニーカーを届けるために
大学生たちは、再度フィリピンに行くらしい。
その数、150足。
どうやって分けるんだろね、と笑っていた。
私も1足だけお願いした。
もしも、自分の子がスラム街に行くって言ったら私はどうするのだろう。
ヨルダンに行くのとは、また違う不安でいっぱいになりそう。