ごんざの「雨をふらせる者」 | ゴンザのことば 江戸時代の少年がつくったロシア語・日本語辞書をよむ

ゴンザのことば 江戸時代の少年がつくったロシア語・日本語辞書をよむ

1728年、船が難破して半年後にカムチャツカに漂着した11歳の少年ゴンザは、ペテルブルグで21歳でしぬ前に露日辞書をつくりました。それを20世紀に発見した日本の言語学者が、訳注をつけて日本で出版した不思議な辞書の、ひとつずつの項目をよんだ感想をブログにしました。

「ロシア語」(ラテン文字転写)「村山七郎訳」  『ごんざ訳』

 

「Одождяю」(odozhdyayu)  「雨を降らせる」 『あめふらする』

「Одождитель」(odozhditeli) 「雨をふらせる人」『あめふらするふと』

 

 ごんざの辞書をつかうロシア人が「雨をふらせる」という日本語をつかう機会に遭遇するとはおもえない。

 なんでこんなことばが辞書にはいっているのか。

 

 みだし語とおなじことばは聖書にでてこないけど、「雨をふらせる人」のことは「神様」の意味で何度もでてくる。

 

旧約聖書 エレミヤ書14章22節 聖書協会共同訳

 

Есть ли между суетными богами языческими производащие дождь?

他の国の空しい神々の中に、雨を降らせる者があるでしょうか。

 

или может ли небо само собою подавать ливень?

それとも、天が夕立を降らせるのでしょうか。

 

не Ты ли это, Господи, Боже наш? 

私たちの神、主よ、それはあなたではありませんか。

 

На Тебя надеемся мы; 

私たちはあなたを待ち望みます。

 

ио Ты творишь все это.

あなたがこれらすべてをなさるからです。