この記事と
この記事の続きです。
これらは私の備忘録として書いています。
ことしの１月４日に夫が旅立ち、１週間ほどして私は仕事を再開しています。
この方とのコラボ企画『MIK∀TAペンダント』の制作に取り掛かりました。
何もしないでいると気持ちがずっしり落ち込んでしまうような・・・
そんな時に
『仕事しよ～！』って声をかけてもらいました。
こんな大変な時にもう仕事をするの？と心配してくれる方もおられて嬉しかったけど、でも、仕事したい！と思ったんです。
仕事をしている時間は、自分の奥深くに入り込める時間でもあったからです。
四十九日間の法要は、
うちの近辺では、本来ならお逮夜ごとに親戚やご近所さんにお参りに来てもらって故人を送るのですが、
こういうご時世だったので家族だけで済ませました。
家族で夫君の懐かしい話を語りながら法要の時を過ごしました。
私の心は穏やかで静かでした。
仕事の再開は、心も持ち上げてくれました。
四十九日が明けた２月末日に父が老健の施設から帰ってきました。
また介護生活も再開します。
父は１年半ほど前から寝たきりになっていて、
仏間に介護ベッドを置いて、在宅で介護をしていました。
（昨年の一時期は夫君と父を介護してました。）
介護は大変だったんですけどね、
不思議なことに介護が再開してみると暗い気持ちも辛い気持ちも無かったんですよ。
朝昼晩の３回、ヘルパーさんが助けてくださったので、私には本当に辛い気持ちはありませんでした。
むしろ、ヘルパーさんとの会話も楽しかったです。世間話ですけどね。
４歳と５歳になったちび孫隊には
もう一人２歳の女の子も加わっていて３人のメンバーとなり
楽しそうにじい様の介護ベッドの周りで遊びまわっています。
認知症で寝たきりのじい様は、
私とヘルパーさんとの区別もつかなくなっていましたが、
ちび孫隊がはしゃぎまわるのが嬉しかったようです。
うるさがることもなく、穏やかな表情でちび孫隊を目で追っていました。
『子は宝』と言いますが、
こういう時にも『宝』の存在を発揮していました。
じい様にとって、ちび孫隊はまさしく『宝物』でした。
それでも、父の様子もだんだん変わってきました。
おかゆがおもゆとなり、お茶やジュースもむせ込むのでとろみをつけていました。
おかずはポタージュのようなスープになって、
スプーンで少しずつ飲ませるようになってきました。
時々無呼吸のこともあります。
すぐに呼吸は戻るんですが、
『えっ！！息してない！！』という時もしばしば。
24時間中23時間以上寝ているようです。
老衰は
少しずつ少しずつ向こうの世界に慣れるようにと行ったり来たりしながら
魂を運んでいくのかもしれません。
7月の後半、いつも寝てばかりの父なのに妙に起きている時間が長いと思った日がありました。
介護ベッドの上半身を少しだけ起こして体を庭の方に向けました。
じっと庭を見ていました。
ちび孫隊3人は保育園に行っていて庭はひっそり静か。
門番の愛犬も昼寝中。
父は最後に我が家の庭を見納めしていたのかもしれません。
父のお世話をしてくださっていたヘルパーさんは
数人が毎日朝昼晩の3回を交代で入ってくださっていました。
この時、ヘルパーさんたちが皆さん全員が来てくださったんですよ。
「もしかしたら、じい様と最後になるかもしれないと思って」って。
休憩時間の方や移動の合間に来てくださった方、「お休みだけど顔を見に来ました」って方もおられました。
こんな風にヘルパーさん皆さんが利用者さんの最期のあいさつに来られることは滅多にないそうです。
父は人徳だな・・・
ほどなくして・・・
静かな夏の夜ふけに父の息づかいは変わりました。
私は父の耳元に『おとーちゃ～ん！おとーちゃ～ん！おとーちゃ～ん！』と呼びかけました。
3回目の時、首から耳元がぴくっと動きました。そして、瞬く間に白くなって乾いていきました。
その夜、父の魂はとうとうあっちの世界へと行ってしまいました。
夫を亡くしてからの半年間、
もし父がいなかったら 私はもっと淋しくて辛かったと思います。
父は、私のためにこの半年を生きてくれたのかもしれません。
私のために傍にいてくれたのかもしれません。
父のお陰でいつもの私に戻ることができたんだと思います。
私のこの面白い人生は、両親と夫君が傍にいてくれたからこそ。
夫君と父には感謝しかありません。
そして母に感謝。
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