湿灰(しめしばい)、灰作り | タカポンの裏千家茶道教室入門

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~芝刈り爺さんが綴る茶道歳時記~

 とても地味な作業で、あまり馴染みがないと思いますが、茶人にとって、灰形や灰作りは、手抜きの許されない大切な大切な作業、と思います。

とは言えかなりの重労働。本来ですと夏の暑い、7月8月の炎天下に行うのですが、最近、師匠は5月連休前に炉用、風炉用の灰、湿灰を作っています。からりとした湿気の少ないこの時期に作るほうが作る側の健康を考えるとベストのようです。


まず最初に、灰を用意します。

灰はもちろん、昔なら、囲炉裏や、かまど,風呂ガマなどに溜まったものを使うのでしょうが、今はそんなもの無いので、薪ストーブを使う人や近くの製材所の廃棄木材を焼却した灰をもらってきます。


灰は、2種類に区分されます。

一つは風炉用。これはきめ細かで粘り気のあるもの。師匠は、「アクのあるもの」と言っています。灰形を作るには、この粘りは必須です。

もう一つは、炉用。こちらはサラサラしているもの。炉は灰形を作りません。そしてこの炉の時期に使うのが、これから紹介する、湿灰です。

そこで湿灰作りのご紹介です。

まずは、炉をしまいます。そして夏向きの茶室にします。これからは風炉の季節。





そしてこれが炉から取り出した灰です。サラサラしていて、これこそ炉用の灰です。
風炉のものはもっと細かくて、ねっとりして、灰形を作るのはそのねっとり感が必要です。




そしてこの灰のゴミを取り除きます。ゴミというのは炭の燃え残りとか、枝炭の欠片とかです。




こんな風にザルあるいはフルイでふるって、きれいな灰をバケツに入れ、それを水洗いします。







水を浸すと、またゴミが浮いてきますからそれを、ネットですくい取ります。

十分にきれいになったら、この時上にあるのは、風炉用のネットリした灰、下が炉用のさらさらした大粒の灰です。それを区分して水を切り、乾かします。






この風呂敷を園芸用の苗のケース、、ザルは師匠の試行錯誤のすえの特許です!

ござをすすめるものもありますが、ござの目地に灰が潜って良くないそうです。乾きも悪いし。


そしてじっくり乾かして。今度はこれまた、師匠独自の方法、、大きなバットに入れてさらに乾かして、番茶、時に紅茶、さらに漢方のチョウジの煎じたエキスをシッカリかけて、色を付け殺菌作用も与えます。これで灰がカビず、臭くなりません。








そうしていくらか湿った状態で、保管すればこれが立派な湿灰となります。無事完了。たんせいな湿灰の出来上がりです。




状況が良いと1日で完成。でも師匠は毎年これを繰り返しているから、灰も汚れていないのであって、汚れた灰、燃えカス混じりですと、もっと大変です。茶人の皆さん、是非廃造りにご挑戦を!!